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27貴族夫人と貴族子女が現れた

そろそろ、止めをさしにいけばいいかな。


引導を渡しに行くべきか。


エレラが色々と悩んでいると、彼がどうしたと聞いてくる。


「動きがなさすぎて、やり返すタイミングがなかなか掴めないなって」


おれが屋敷の家に入って、あの女の弱みを握ってくるぞと得意そうに、胸をはる。


その言葉はありだ。


いつまでも見られるのも気持ち悪いし。


先にこちらから提案する。


「なにができる?あの人貴族っぽい」


「息子に家督を譲ってるからもう正式にというわけじゃない。血筋は貴族だ。資金も時間もたっぷりあるタイプだな。孫を現在溺愛中。その孫の婿に目を付けられて宝石と監視をこちらに渡してきた」


「よくあるやつ。でも、監視はやりすぎ。私達が夫婦って知ってるよねあの人」


「ああ。勿論。戸籍を調べられているから知ってる。以前住んでいたところにも人をやって調べているらしい」


「そこまでやる?普通さ」


「孫のためなら倫理観なんてなくなるんだろ」


その会話をして十日後、例の貴族夫人が孫と共にコレスへ接触してきた。


自分達で、野に咲く花や草を見繕おうとした時に。


事前に、彼から知らない孫らしき女を伴ったやつが来た、と言われたので心の準備はできていた。


近寄ってきた二人に対応する方法は沈黙。


「あなたがコレス様?うちの祖母がお世話になりました」


助けなきゃよかったと、彼の顔に嫌悪が滲む。


過去に戻れるのなら見放していると愚痴っていた。


「あの、聞いていますか」


コレスもエレラも口を開かない。


「あ、あの、あ!奥様ですよね?エレラ様」


え、気持ち悪い。


なんで名前知ってるんだろう。


一度も教えたことがない。


この老婦人にさえ。


二人は踵を返して家に戻る。


ある程度積んだので、もう外にいる必要がない。


中に入って様子を見たら諦めて帰っていく。


しかし、そこから連日、会おうとするようになる。


こちらは無視するので居留守だ。


あちらもしつこく、コレスはギルドに訴えた。


あの家の二人が家に押しかけてくるからなんとかしろと。


じゃないと、貴族をどうにかすると言外に含ませていたらしい。


Sランクを敵に回したくないギルドの貴族を統括する委員が動き、今後接触しないように司法で警告した。


息子にとっくに貴族の地位の座を譲っていたので、警告はその家と息子の家に届く。


内容を見た息子は青ざめていたらしい。


娘と母親が、Sランクの男にちょっかいをかけていると知り。


国を滅ぼせる相手になにをやっているんだと、頭を抱えていたぞと教えられる。


「慌てて祖母と娘を迎えにきた」


監査役の男も連れ帰ったらしい。


ずっと見られていたことに関しても訴えているので、息子が慰謝料を寄越してきたが許さないと決めているコレスは受け取ることはない。


それを持ってきた執事に「妻とおれの生活を見させる気持ち悪い家族の金なんて受け取りたくない」などと声を張ったとのこと。


密談用に部屋を貸されていたけれど、コレスの声は防音を超えていたので執事が慌てても遅かった。


ギルドの中に響き渡り、同席していたギルド長は諦めた顔を浮かべていたらしい。


執事から伝えられた貴族の息子、現在の当主本人が次回来るらしいのだ。


その時の対応はミモノだなと笑う。


一ヶ月以上も見られていたし、見張られていた嫌悪は高くつくだろうとエレラは夫の腕が腰に巻き付くのを眺めて、明日に考えを馳せた。

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