24薔薇
話が一旦落ち着いたら次はバラについて聞かれた。
「それ、気になってたんだが……なんなんだ?」
「これはバラ。異世界の花」
「今にも暴れそうな色合いだな」
この世界では、襲ってくる花はある。
なので、毒々しい花は要注意なのだ。
エレラは運良く植物に関連している魔法使いなので、そういう見えている害花はわかる。
コレスも第六感的なもので把握できるらしい。
魔花とも呼ばれることがあるそれは、魔力があるので魔力感知すれば避けられるとのこと。
魔力探知に長けていても避けられる。
けれどマメに確認しておかないと、うっかり確認しなかった花がモンスターや毒の花から襲われるので。
バラを取り出して彼に渡す。
「バラはよく、愛を伝える時に使われる」
渡しながら伝えると、彼はジッとバラをくるりと回す。
トゲがないバージョンなので、持つのが楽。
彼もその美しさに目が離せないらしい。
確かにバラはどの人達にも美しいと評価されていたので、この世界からすればもっと美しいと思われてもいいかもしれない。
それと、今にも襲われそうと思われる美しさなので、そういう意味でも目立つかも。
襲わない美しい花は珍しい。
希少な花も、モンスターとして生命を抜いてから販売していたりするから。
このバラが人の生命を吸い取ると言うのなら、それは美しさに魅せられているせいになる。
勿論、そんなわけがないのでただの想像になるけど。
この世界もまあ、占いとか流行ったらすごいことになるだろう。
現に、花占いが流行り出しているとはコレスの言だけど。
外に出ないから、知らないんだけどね。
彼はじわりと嬉しそうな顔をしていく。
(そういうつもりで渡したわけじゃなかったんだけど。ま、いっか)
内心思ったけど言うのもなあと放置することにした。
言っても言わなくても、変化がなさそうな差分だし。
それに、人が嬉しそうな顔は誰であろうと嫌な気にはならない。
お客にバラを渡したとでも思えば、喜ばれたのは変わらない。
「もらっていいか」
「このふにゃっとしたものに入れておいて」
花の花びらは繊細。
ドライフラワーにもしてない生花。
潰れても見目が悪くなるだけなので、入れるように足す。
「好きなだけあげる。それも練習用で出しただけだから好きなだけ持っていって」
これからもバラを、さらに本物に近づけるために出したりするから。
コレスは興味がありそうな顔を浮かべて頷く。
「もっと欲しい」
「あればあるだけいいってわけじゃないから」
どうやら、薔薇の数イコール愛の数という法則に気付いてしまったらしい。
注意を払う。
首を振って、手を胸の前で振る。
「おれもお前に送りたい。数がいる」
「ええ……私に?」
困惑。
「ああ。欲しい。たくさんな」
「私から買って私に?」
それだったら他の花屋で花を買って渡された方が嬉しいのだけど。
バラという異次元の美しさを持つ花を見せてしまったから、バラの造形に魅せられたという目をしていた。
テレビで映るたびに、エレラも欲しいなあと思ったものだ。
しかし、現代でのバラの価格は簡単に買える金額ではなかった。
コレスは薔薇を大切そうに扱う。
知っているバラよりも頑丈に作っておいたので、簡単に崩れないようにしてある。
そうすれば、ずっと見ていられるし。
バラも好きだけど、他の花も当然好きだ。
バラだけに限ったことではない。
ピオニーやラナンキュラスなんかもいい。
ラナンキュラスはバラに似ているが、違いはトゲがあるかないか。
と、テレビでやってた。




