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19雑貨屋

それも手に取り検分していくコレス。


「生花だと日持ちしないからドライフラワーか造花がいいけど」


「造花?」


「作り物の花」


「野生にそれはあるのか」


「ないない。作った花だし。私の花も本物は本物だけどニセモノも作れるよ」


生きてない方の花を出す。


「ん?無臭だな……なるほど」


もぎ取るように手に取る彼は、先程より見つめてあちこちくるくる見回して、触ったりしていた。


崩れないとわかって、さらに遠慮なくつぶさに指で押す。


その間にサクラの花を作ろうとしたけど、うまくいかない。


それには理由がある。


実は、サクラ全体の木を含むものや落ちたものは見たことがあるけれど、一つの桜そのものをちゃんと見たことはない。


思い出してみると桜のモチーフは全てサクラの本物を使っているのではなくて、型を縁取って使われることが多い。


生花のサクラをそのまま印刷されて、目にしたことはなかったようなのだ。


桜餅なども色合いだけだし。


水に浮かぶ桜も加工されて水を吸った状態。


しっかり一つの桜を見たことはなかった。


桜の木も、群生している彼女を全体に的に俯瞰して見ているだけだ。


思い返して見ても、まだバラの方がしっかり映像などで見ている。


自身の魔法は具体的にいえば植物なので、想像に頼れば想像通りに出てくる。


あやふやでも雑でも。


桜が生み出せないのは、原因がさっぱりだった。


エレラはまた明日挑戦しようと今日の分を終えた。


「これ、貰うな」


「いいよ。サンプルとして持ってって。宣伝でもしておいて」


宣伝されてもまだまだ開く予定はないけどね。


だって、商品をある程度作り貯めておきたいから。


その数がこなせて溜まるまで。


そう決めていた。


コレスなんて、開かなくていいと最近は囁くようになってしまう。


どうやらこの二人きりの空間がとってもお気に召したらしい。


なんのために店をするのかどんどん、目的を見失いつつある現状。


しかし、お店をやっていたからわかるけど一度開くと人の出入りがあるのだ。


この世界の花屋の利用率はかなり高い。


思い出す前は平均的な花屋だったので、他の花屋と分散されていたにも関わらずかなり忙しくあった。


開こうしているのは、基本的などこにでもありそうな普通の花屋ではない。


ドライフラワーをメインにした雑貨屋のようなもの。


花屋とはまたジャンルが異なる。


「いつ頃開店させようかなぁ」


「10年後」


「おっそ。それは伸ばし過ぎっ」


ツッコミどころが満載でつい。

そういえば、よくこの人と話すようになったなぁ。


二人きりの空間で話しかけられたら答えてしまうのは、話す人間のサガなのかも。


今の在庫の具合をもう少し増やしたい。

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