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115/119

115新進気鋭の新人Sランクくんだとさ

バカを見ると相手はこちらの顔を見ても引いた顔をせず、嬉しそうに笑う。


「なに笑ってるの?向こう行け」


「ははは。地元じゃこんな反応ないから新鮮だなぁ」


「あのね、私既婚者なのあっちいけ」


シッシッと手を振る。


確かにこの世界は美形は目白押しなくらい、多いがこの美形は一つ群を抜いていた。


コレスに迫るくらい。


「あっちいけよ。商売の邪魔」


水筒を手に持ち、武器として構える。


「えっ、この対応は予想外だ」


本気で驚く仕草にイラ立つ。


「聞こえなかったの?警備さん!警備さーん!」


近くにいた巡回していた警備の兵に声をかける。


目の前の男は「へっ」と間抜けな声を出す。


「どうしました?エレラさん」


準備とコレスの知名度で有名なエレラ。


当然、彼もこちらの素性を知っている。


「この人、急に声をかけてきて営業妨害してきたんです。気持ち悪いので連れて行ってください」


告げると兵士の男が睨みを効かせる。


話を聞こうかと、彼を詰め所へ持って行こうとさらに寄る。


「待っ、待ってくれ!僕は怪しい者じゃない!」


などと言い、ギルドカードを見せてくる。


「え、Sランク!?」


「……だからなに?兵士さん、ギルドランクが高いからって私に声をかけてきた変態に、変わりありませんけど!」


言い切ると兵は困った顔でこちらを見る。


確かに持って行けなさそう。


「誤解だよ。本当にっ。ただ、君が可愛くて声をかけただけで」


「じゃあ、二度と顔を見せないでくれるんなら見逃します」


「な!」


変質者は驚いたあと、うっとりした顔でこちらを見る。


「なんて気丈なんだ。僕がSランクと知って尚、そんなことを言うなんて」


「気持ち悪い」


「う……まぁ、確かにいきなりすぎたかな?」


「存在が不快だから二度とこないで」


あしらうと、兵士の人にこの件は記録に残しておいてくれと言い募る。


「そんな!」


この人を連れていけないにしても、詰所に連れていかない代わりに事件化させる。


「僕は君に惚れたのに」


「Sランクが遂に犯罪に手を染めたか」


新聞社にリークした方がいいかな?


「時間内にどこかへ行かないと新聞社に駆け込みますよ。それか、あなたを訴えます。消えて?」


粘着質なやつは夫だから許しているのであり、赤の他人に執着されるなど絶対にお断り。


「き、キツイな君は。なんで高ランクにそんなに言えるんだい?」


「もう一匹いるからだけど?」


兵の人はちらちらコレスを見てしまう。


一匹イコールコレスだと解読できてしまったらしい。


口元が蠢いている。


笑いそうになっているのか、悲観に暮れているのかは本人のみぞ知るってやつだ。


「既婚者だったよね?君をだれよりも愛せるから夫と別れてみないか?」


「同じムジナに乗り換えたとて、意味はない」


思わず異世界の言葉を組み合わせて遠い目になった。


この男はSランクの己の方が価値があると思い込んでいて、高位互換と思ってるけど。


下位互換なんだよなー。


同等に見えるかもしれないけど、利いたところこの人にも会いに行ったと思うし。


「Sランクっていったよね?名前は?」


「プロム!君は?」


名前を聞いていたくせに白々しいが、教える気はない。


「Sランクプロム?」


「つい、三ヶ月前に認定されたのさ」


プロムは自慢げに言う。


「知らないのも当然か……」


自信満々に言おうと、横にいるコレスの存在に気付けない時点でSランクの面汚しなのではないかな?


「どうだい?」


「早く消えてよ。何度言えばいい?」


「凄いな君は」


「あなたの感心なんてどうでもいいから消えて。今すぐ。近くにいたら訴えるから。今ここで訴えてもいいけどね?」


いつまでここにいるのだ?


「警備さん。被害届を出すから紙を持ってきてくれますか?」


「分かりました」


男はコレスがいるからか、簡単に離れていく。


「いいの?味方がいなくなるよ」


「黙って」


イライラする。

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