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113/119

113妖精は国を跨いでもついてきてくれる

ついてきてくれるかについて、たずねてみると彼は腕を組み、妖精に聞き込む。


「どうだ」


(ここで妖精は生きてるのについてきてくれるかな?次は水の国に候補を定めてるし)


エレラの中では最も行く可能性の高い国だ。


「ついていくそうだ」


「ついてくるの?」


「愛し子に一度つくと妖精は離れない。土地は関係ない」


「火の国の妖精なのに、火の国を離れることになるのに?」


「関係ない」


「そうだったら他国が愛し子を欲しがるよね?誘致されるんじゃ?」


「されるな。愛し子協会が派遣する」


「ああ、派遣システム。私は聞いたことないけど」


「おれがいたから」


「それもそうだっ。コレスいたら下位互換の愛し子を呼ぶ必要ないね。コスパいいね〜高いけど雇うには」


「そうか?モンスターは定期的に間引きしてたから金はあまりかかってない気がするけどな……」


そういえばこの人、趣味で間引きしてたな。


エレラのためとか言ってたけど、やっていくうちにやりすぎただけなのではと、疑っている。


疑惑を向けるほど、彼はモンスターを大体暇な時によく狩る。


ていよく名前を使われて好きなだけ戦っているだけなのではと。


「妖精は無事連れて行けるとして、ここの国の妖精いなくなってない?周りの反応的に凄くたくさんいるよね?」


「いる。凄く。愛し子の中で一番多い」


「なら、火の国のからいなくならない?」


「平気だ。ここら一帯にいる妖精だけいなくなっても、他からすぐに入ってくる」


彼はなにもかもを把握している顔で言い含める。


「他の愛し子の妖精がこっちに引っ越してきていることについて、興味深い」


コレスはなんてことないように言う。


一瞬、自分もそうなんだ〜と言いかけたが途中でぴきりと止まる。


「え、妖精が愛し子から移動??なんでっ?」


「さぁ?不明だが、多分こっちの方が貰えるからだろ?」


「当然みたいに言うけど、妖精は本来……愛し子から離れないよね?」


確認するも、彼は頷く。


「離れないが、それはなにも知らなかったからだろ?だれだって、いいもんをくれる方に行く」


「それはそう……だけどさぁ。私たちがあげるものよりいいものあげたら、移るってことでしょ?」


ホイホイついていくということに、気分は良くない。


「はは。それは気にする必要はないぞ。エレラの花は唯一無二だ。それに、妖精の言葉がわかるおれの方に妖精達は来たがる」


「え?」


笑う相手に他の人は妖精の言葉がわからなかったのかと、驚く。


今まで愛し子は話を全員可能だと思い込んでいた。


「コレスしかわからないの?」


「わからないと思う」


「なんでわかるの?ニュアンス?」


「妖精の言語には特殊な響きがあって、翻訳魔法を使ったらできた」


他の人にはできないのかと聞く。


他の人はそもそも高度な翻訳魔法も、現代の知識も知らないからと断言される。


なるほど、現代から妖精の言語の可能性を引き出したのか。


そうならば、他の人は不可能だと言い切られる理由がわかってホッとした。


「知られてもいいけど、妖精達に人間のプライバシーとか私生活のなんなるかを、配慮する気持ちがあるかかけるなんて嫌だもん。だよね?」


隣にいるコレスに話しかける。


「そうだな。だが、こいつらにもいざという時は魔法の制約をかけられるから、その心配はしないでいい」


「そう?それなら話せる人がいても安心できる」


「可能かもしれないのは、妖精使い、精霊使いだ」


「精霊もいるの?」


「妖精が時間をかけて進化した姿に分類される」


講義が始まった。


「進化。始祖とかじゃないんだ」


「妖精が生まれることに精霊は関与してない、と思う。妖精や精霊を観察することはなかった」


「観察って言っても、時間がかかるし無理じゃないかなぁ」


首を振っておく。


長い時間の長い、の中身が人間の時間の中で行われる響きじゃないし。


二人は話し込み、片手間に妖精へ話しかけたりもした。

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