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111/119

111当主印と平民落ちを交換するのだそう

コレスはその手を掴むと撫でてきた。


それくらいなら許している。


あまり我慢させていると、さらなるスキンシップになるかもしれないし。


それに、不快感にはならないから。


撫でられている手から意識を逸らして、エレラは文字盤に必要なインクを用意することにした。


あと必要なのは……ないな。


彼が木を整えるまで、なにもできることはない。


妖精達がスタンバイするだけ。


「コレスだけの負担になるけど」


「構わない。妻のやりたいことを全力でやるのが夫の勤め」


「夫の勤めっていいたいだけでしょ?そうでしょ」


「そうでもない」


というが、多分合っている。


何故なら、認めるわけにはいかないという顔をしているが、誤魔化すためだろう。


「それより、ほかのことをやっておかないと」


「他のこと」


こくりと首を縦にして、腕を組む。


組むのは考えるのを深めるため。


「うん。例の侯爵子息」


「足りないよな。ボコボコにしてくる」


「それもいいけど、親が謝りに来ないよね?」


「王に怒られて謹慎ってやつをしている」


「謹慎してるから来ないの?こじつけじゃん……不誠実」


貴族のくせにごめんなさいも言えないとは。


「手紙は最低限送れるよね?おかしくない?」


「王に怒られたから、それで手一杯ってことなのかもな」


「はぁ〜。そんなわけないよ」


手を抜いているか、平民だからと下に見下している。


普通、迷惑をかけたらなにか言うよ。


まさか、息子がしたから親は謝らなくてもいいなんて思ってないよねっ。


「こうなったら、嫌がらせしよう」


「賛成だ」


「なにしよう……うーん」


「ふふっ。なら、いい考えがあるぞ?」


ニヤリと笑う彼。


「え、なに?」


実に楽しそう。


こちらも、嫌がらせしたいので聞く。


「例えば」


彼が語るのは、うちの商品が侯爵の手に渡ると破壊される魔法を仕込む。


侯爵が誰かに送っても、破壊される仕様にする。


「いいね!」


採用。


即日ね。


笑って同意して、破壊するいたずらは最高。


そうしたら、侯爵がヤバいことをしていると噂になるし後々じわりじわりとダメージを被るだろう。


エレラはどうせ、平民にされるんだよなと気づく。


「どうやって平民にするの?」


「ここに奴らの貴族を証明する当主の印がある。ここにあるということは、やつは永遠に当主の証明ができなくなる」


「よく小説とかで出てくる、当主の証だ」


「よく出てくるのか?」


変なことを言ったみたい。


この世界では常識的なものなので、小説に出てくるのはあまりないかも。


皆は当然のように、ある前提で過ごしている。


あるものをわざわざ、文章にしないのだろう。


「それ、どうするの?」


「今のところ隠しておく」


「そのあとは?」


「多分王に持っていく」


「返すんだ?」


「平民落ちと交換する」


侯爵らを罰する気があるのか、ないのかあやふやな態度で信用を落とした影響だ。


王は駄々をこねた形になる。


「信用ならないからな、あいつ」


「あいつに言い方格下げされてる」


王が知ったら卒倒する。


Sランクに嫌われてるって。


国が高ランクに嫌われるということは、楽観視したり軽くみてはいけないことになる。


高ランクに嫌われるということは、それだけなにかしたと、国単体の屋台骨が揺らぎかねない評価。


Sを指標とする商人もいるので、ギルドや民間人もSランクが評価を落とした国に対して、厳しい見方をされる。

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