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11宝石を持った厄災

花屋というより、花に関する雑貨屋を密かにオープンさせようと準備する日々。


エレラはせっせと商品を作り置きした。


フリーズドライにしておけば長持ちする。


更にさらに、魔法なので長持ち期間アップ。


コレスがやりたがったので長持ちの魔法をかけてもらう。


催促してない、本当。


本当の本当に無言の圧力もかけていない。


「できた」


「飲み物入れた。休憩したほうがいい」


「お、ありがとう」


礼を言って立ち上がる。


作業机から離れて、ご飯を食べる方のテーブルへ移動する。


一旦頭を切り替えるためにも、作業机から離れた。


先にいて用意してくれるなんて、やはり有能だ。


そういうことに関してだけは。


内心を褒めておいた。


言葉にすると、嬉しがって抱きしめてくるから言わない。


エレラは、コレスに腹雑たる思いを抱きつつ飲む。


丁度良い甘さに頭の疲れが癒やされる。


忍耐を削ってまでやっておく価値がある。


お土産屋さんとしても営業していきたいからだ。


魔法の防衛を使えば、無人でも楽に売れる。


店員がいなくても、料金を支払うまで商品は外へ通らない。


異世界の魔法は、かなり万能だ。


モンスターに関しては、プロ任せだが。


そこは異世界と変わらない。


エレラは無人でやれる店を体ばかりではないが、手が離せない時は楽だし。


あるならば、使うシステム。


割と使われているから、自分も使うと言うだけ。


やるから使わないと言う選択肢は、はなからない。


あちらの世界でも無人販売という概念があるので、抵抗感は薄くこちらの世界ならばプラスアルファで防犯が完璧だからこそ、使いたくなる魅力しかない。


使わなきゃ損。


というわけで、早速そのシステムのために家を空けて確認したりと余念に事欠かない日々だ。


コレスは相変わらずピタッと張り付き暑苦しささえ感じるけど、邪魔しないのならいいや。


「そういえば」


「え、うん」


話しかけ来たので聞く。


条件反射というやつかな。


「魔物退治に行ってきたらこれをもらった」


彼が差し出してきたのは、キラキラしたもの。


「宝石?」


その場に身につけてきたものを渡してきたらしい。


なんだか、嫌な予感のするアイテムだ。


返品してきてもらっていいかな。


辟易とする予測に溜息を吐きたくなる。


彼は人の感情に鋭いと思い込んでいるけど、杜撰なのだ。


女の嫉妬や男への視線を遮断することはするが、こちらへの配慮がざっくり存在しない。


本人曰く存在してくれているだけでいいから、らしい。


なんじゃそら、である。


はっきり言われても、はっきりしない理由だ。



正直、はっきり言われてもわからないことが多々あるけれど。


コレスはこれをこちらに残そうとしたけれど、なんだか呪いの品っぽくて嫌だ。


受け取ったら最後のような気がする。


これをくれたのは、誰だと聞くと、老婦人と言われて微妙な判定。


老婦人といっても、人によって年齢の感じ方は違うので、彼が老婦人と言っても、夫人は歳を老いているかどうか定かではない。


何せ、彼は適当だからだ。


無頓着と言うわけではないが、人に興味がない。


人を率いていたからといって、人に興味があるかと言うのと、コミュニケーションは別物だし。


バットコミュニケーションと言うわけでは無いから、腹が立つ。


人付き合いが良くなければいいのに、ある程度あるんだよなあ、この人。


問題の宝石について、問題を見送ることにした。


臭い物に蓋を振る。


これ常識。


エレラは彼の視線をものともせずに、宝石を押しやる。


あげるから体につけろと言いたいらしい。


やるわけない。


怖い。


なんか、怖い。


女の感が、ビンビンバンバン。


アンテナに引っかかっている。


もらった本人は、何の曰く付きもないと信じているのが、高ランカーの無駄遣い味。


そこは、第六感とか七感とか覚醒させといて。


この人よりも、自分の方が感じているのがもう笑えない。


それでも無言でつけてくれと言うオーラを纏う男を無視する。


なんだか命が欲しいから、絶対につけない。


つけたら、命の危機を感じると言う予感がビシビシさする。


こういう感覚が、女にしかわからないのかもしれない。


わかる男はすごい。


この人は強いし頼りになるが、女の機微には疎いゆえに役にたつことはないと思う。


やりとりをしていると運動する時間になったので、散歩するために外へ出る。


「あら?奇遇ですね」


「だれ、この人」


外に出てすぐに現れたのは老女。


先ほどの会話を考えると、該当者本人っぽい。


「この宝石をくれた、妙齢の女だ」


「みょ、妙齢?」


なんだかやけに、難しい言い方を引用するコレス。


話術で上手く行かないから、誰かの真似をしているのかもしれない。


女性は小声で話していたから、聞こえないのだろう。


こちらに再度話しかけてきた。


「あらあら、その方は、えーっと、妹さんかしら」


「妻だ」


「どうも」


挨拶を常識だからしたのだけど、彼女の視線が下から上まで見聞するように見回してくる。


普通なら気づかないが、現代の知識や人の観察の仕方、スパイのあり方をドキュメンタリー番組で学んだことを加味した。


ということなので、彼女の探る目つきにあっさり気付く。


こういうの、わかるときめっちゃ気持ちもいいんだよねえ。

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