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103/119

103貴族子息が宣戦布告したらSランクに一撃でやられる

どのようにしてくるのか気になる。


まさかと思うけど、抗議を飛び越えて襲撃してくるとか。


「なにかトラップ仕掛けておく?」


「面白いものでもあるのか」


「攻撃してきたら、反撃するのは当然として……相手が言った言葉が何日も本人の耳にだけ聞こえるとか、周りにも聞こえるとか」


言ったことがそのまま帰ってこれば、相手は精神的にボロボロになっていく。


頷きながら己の案になかなかよいのではないかと、自画自賛した。


「いいな、それ。それにする。その魔法ができるように組み立てる」


「やること多すぎて労働過多になってない?」


倒れてもおかしくない量を彼はやっているので、気になって聞く。


「大丈夫だ。こんなの十日間魔物を狩り続けたときに比べたら生ぬるい」


「そんな最悪な事件あった?」


思い出そうとしても、魔物が街を襲いにくるエピソードなぞない。


「それに関しては勝手におれがやっただけだ。無性にやりたくなってな」


「えー、自分を追い込んでんじゃん」


エレラは忘れていたけど、この人はそういえば、戦いたい男だった。


やってくれと言ってないのにギルドで依頼を受注して、進んで戦っている。


頼まれてもノーと言えない。


いや、あれは言う理由がなかったって感じだ。


昼過ぎなので、夜ご飯に向けてなにをしようかと考えることにした。










二日後、また侯爵を名乗る人達が兵士を連れてきた。


たった二日で団体を集められるなんて、別の意味で関心する。


褒めてない。


男が馬車から出てきて、声を張り上げる。


「侯爵家三男のモミリズ様に攻撃をしたコレスへ、宣戦布告を宣言する!」


などと、多分侯爵家の使用人がペラペラと説明し出す。


「うーわ、バカだなー、あの人達」


「言わずもがな。人んちに来て温泉を寄越せと宣うやつらだしな」


コレスとエレラはやれやれという呆れた顔を隠さず、相手に向ける。


ここは郊外の家というわけではないのだが、その兵達を街中で暴れさせていいのかなと薄ら思った。


が、この町の領主は確か王城に近いから管轄的に王になるのでは?


「王のお膝元でやるって、侯爵でも許されないよね?」


王の管轄で兵士を連れて一般人の家に来る。


まとめてみたけど、どう見繕っても進退が分かれるに違いない。


バカを見る目で彼らを見続けた。


「よって、明日の」


「失せろ。グラディオスゼロ」


呪文付きの魔法をコレスはさらりとこなし、相手は放つ。


──ドオオオオンン


鈍いような、派手な高音が侯爵の馬車をペシャンコにした。


「ぎゃあああああ!!」


数秒もせずに馬車から男の甲高い音が聞こえる。


「あ、生きてる」


「王城に放り投げるには生かしておかないと生き地獄を味合わせられねぇからな」


何気ない言葉だが、生かしていることがすごいなぁ、と純粋に感じた。


こういう人は、いずれ逆恨みして報復してくるしさ。


馬車をこれでもかと目の前で粉砕して、使者とわがままボンクラの男の心がへし折れるまで敢えて見せつける。


「ひ、ひぃ」


「たすけ、て」


「こりょされるっ」


「なんでお前らのために犯罪者にならなくちゃいけないんだ。現実見ろよな」


まともに相手が彼の言葉を聞いているとは思えないけど、それでも彼は楽しそうに目を細めて宣う。


やはり、彼らは這いずり後ろへ下がる。


中にいる侯爵の息子を、助けなくてもよいのだろうか?


「ひぃ!命だけは」


「命がないと罰を受けさせられないから、命だけはあるだろ?見てわからねぇか?」


こちらは冷静に言うが向こうが冷静じゃないので、言葉がいつまでも通じない。


コレス的には証拠が残っている状態なので、仕方なく手紙と報告書を棒に結びつけて向こうへ投球の動作で投げつけた。


空へ飛んでいくそれに、あの方向に投げた真意はなんだろうかと首を捻る。


帰ってきた彼は王城に投げつけたと述べるから、驚く。

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