101.天変
(淡雪筍だけが暴走の要因じゃないのか)
栞太をみすみす妖怪の妖具に取り込まれた事に対しての猛省は後回しにする事にして、凍夜はどうすればこの状況を楽に収められるかを考えた。
暴走の要因である淡雪筍を栞太ごと妖具に取り込んでも尚、妖怪の暴走は収まっていないので、他の暴走の要因を探し出す事。
淡雪筍を妖具に取り込まれて怒り狂う琅青を止める事。
暴走している妖怪を止めて、正気に戻して、栞太を妖具から取り出してもらう事。
(多分、あの槍は捕縛用で、取り込んだ相手の命を削ったり傷害を負わせたりする物じゃない、と思うから。あの子は無事。暴走した妖怪に合わせて妖具も暴走していなければの話だけど………あの子が来てから面倒な事が立て続けに起こっている。今回の件が済んだら、即刻この子と大仙人様を異世界に送ろう)
栞太を元の世界に戻していいのか。
突如として誕生した、囁き回る己は無視をする。
(これ以上、仙界に居たら、もしも。って事があるかもしれないし。それにしても)
琅青と妖怪の闘いを注視していた凍夜は、天空を見上げた。
月の力が強すぎるのだ。
瞳を、瞳を通して全身を凍りつかせてしまうほどに。
漆黒の夜の世界に万遍と降り注ぐ。
否。
漆黒の夜の世界を月光一色に塗り替えてしまえるのではないかと危惧するほどに。
折り目があり膨らんでいる裳が踊りにより華麗にゆったりと揺らめくように、かわるがわる、七色の眩い光が妖しくたゆとうている。
(………違う。これは、月の光じゃない。これは、)
(2024.4.13)




