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9.天使
一目見た時。
天使、だと思った。
名前は忘れたけれど。
天使の歌声と称される海外の合唱団に所属していそうな、少年の姿だった。
サラサラのおかっぱ金髪に、華奢で、柔らかそうで、いい匂いがしそうで、光を放つ身体。
眠気眼と死んだ魚の目の中間に位置する目。は。うん。まあ、こんなやる気のなさそうな天使も、いる、と思うよ、うん。
八雲と一緒に、次から次へと飛んでくる雷に、次から次へと直撃してしまった栞太は、宝貝、仙羽衣に守られながらも霞ゆく意識の中、見たのである。
のんびりゆったりと歩いてくる少年と、そして。
「ス、スター、〇ォーズ」
等身大の金ピカ超合金ロボットを。
(2024.3.8)