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135.同病相憐れむ
人間界の竹林。
心槍の妖具、青丹の中にて。
(同病相憐れむ、を狙っているのかな。君は。でも、)
凍夜は栞太の首をしっぽで優しくそっと触れ続けながら、心中で九尾の妖狐へと話しかけた。
もしも、栞太が仙界に逃げて来ていたとしても。
もしも、栞太が己の意思で、元の世界に帰る事を望まず、仙界に残る事を選んだとしても。
栞太が本当に望んだ事であるのならば、反対はしない。
同じく逃げてきた身だ。
無理やりに元の世界に帰そうだなんて、そんな事はしない。
そんな事はしないけれど。
(もしもこの子が仙界にずっと居る事になったとしても、僕は絶対、この子を相棒として認めない)
凍夜は、二度目になったなと思った。
九尾の妖狐の後継者にならないという一度目だけかと思いきや、これで二度目になったのだ。
九尾の妖狐への反抗が。
そして、どんな事があろうと、栞太を相棒として認めない。絶対に。だ。
例えば、
(僕が本能的にこの子を欲していたとしても)
(2024.4.18)