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134.青き春
はしゃぐ無邪気な姿に、けれど、違和感が生じる。
ぎこちない、と言うべきか。
まだ抑えつけている、と言うべきか。
年相応の振る舞いを、今になって、この仙界に足を踏み入れて、大仙人と出会って初めて、漸く赦されて、行っていると言うべきか。
誰に?
誰に赦されたと言うのか?
青き春を謳歌してもいいと誰に、赦されたと言うのか?
守られるべき子どもであっていいと誰に、赦されたと言うのか?
それは無論。
(自分自身、に、か)
人間界の竹林。
心槍の妖具、青丹の中にて。
涙を堪える栞太の首を、凍夜はそっと優しくしっぽで触れ続けていた。
(どこが似ているんだか)
正真正銘、我慢しているだけの、我慢している事すら気づいていない、幼子ではないか。
(………いや、まあ。我慢してるって言えば、我慢してるけど。僕も。仕方がないって、受け流しているけど。淡々と………でも、受け流す事ができなくて、逃げて来た。仙界に)
同じなのか。
ふと、湧いた思考。
同じなのではないか。
(この子も仙界に逃げて来たのか)
(2024.4.18)