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13.安心安全
眩く白い閃光が次から次へと襲いかかって来た事は覚えている。
やる気のなさそうな目の天使と、金ピカの超合金ロボットを見た事も覚えている。
ただし、そこまでだ。
栞太は気が付いたら、シダ類の植物とマングローブが生い茂る熱帯林のような場所で横たわっていたのだ。
虎が間近で、仰向けの状態の栞太を見下ろしていたのだ。
最悪の状況を考えてしまい、顔を真っ青にさせてしまったのは、致し方ない事であった。
が。
即刻思い直した栞太は、顔の血色を即座に回復させたのであった。
何たって。
(爪で突き刺されたり、歯で嚙みつかれたりされようとしたら、宝貝、仙羽衣が守ってくれるから大丈夫か!何たって、大仙人様が俺の為に作ってくれた特別仕様の宝貝だし!)
にこにこにこにこ。
安心安全をもたらしてくれる宝貝、仙羽衣に包まれているが故に、栞太は心の底から笑った。
身体が痺れて仰向けの状態から脱せそうにない、危機的状況から逃避する為に笑っているのではないのだ、決して。
(2024.3.12)