表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/165

123.土下座




「迷惑をかけて、大変すまなかった」


 三十分が過ぎた。

 正気に戻った心槍しんそうが土下座しては微塵と動こうとしないまま。


 心槍しんそうが正気に戻れたのは、來凱らいがいが奇跡を起こした。

 わけではなく。

 数時間はかかるはずの黒龍と白龍の鱗の生え変わりの現象が、果ては三十分というとても短い時間で終わったのだ。


 灼蛍しゃっけいは黒龍と白龍の鱗の生え変わりの現象が三十分というとても短い時間で終わったのは來凱らいがいが起こした奇跡だと、來凱らいがいを褒めはやし、八雲やくも灼蛍しゃっけいに同調して來凱らいがいすごいと褒め称え、今は調子が戻らないので槍に取り込んでいる淡雪筍あわゆきのたけのこを出す事はできないと心槍しんそうに言われた琅青ろうせいは、無念だしかし先延ばしにされればされるほど旨味が増すだろうと自らを慰めつつ、草苺を食べるようにみなに勧め、灼蛍しゃっけい八雲やくもに褒め称えられていた來凱らいがいは気を失うように眠っていた。


心槍しんそうよ!もう三十分も土下座をして己を罰したのだ!そろそろ己を赦し、草苺を食べながら己を癒し、ゆっくりと休んでのち、己を鍛え直せばいい!」

「………いや。妖怪として、しかも、捕吏ほりに手を貸している妖怪として、途轍もなく強力な超自然的な現象であれ、無様に影響を受け、あまつさえ暴走するなど。赦される事ではない」

「うむ!では、己を赦さないままでいい!土下座を解いて、草苺を食べながら己に歩ける活力を与え、ゆっくり休んでのち、己を鍛え直せばいい!今度は超自然的な現象を受けて暴走するのではなく、己の真の力として受け取れるようになればいい!敵ではない!味方だと思えるようになればいい!」

「………そなたは本当に常に前を向いているな。前を向き、熱く、周囲の者を奮い立たせる」

「誉め言葉嬉しや!」

「………來凱らいがいが目を覚ましたら、共に草苺を頂こう」

「うむ!」

「大丈夫。俺が琅青ろうせいが全部草苺を食べないように見張っているから」

「安心しろ。吾輩が八雲やくもがすべて草苺を食べぬように見張っておる」

「うむ!安心しろ!俺が琅青ろうせい八雲やくもが草苺をすべて食べないように見張っている」

「………ああ」


 よろしく頼む。











(2024.4.14)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ