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120.無味




「とゆーわけじゃ」

「何がとゆーわけなのか、さっぱりわからないんだけど」


 人間界の竹林。

 心槍しんそう妖具ようぐ青丹あおにの中にて。

 無意識なのか意識的なのか。

 槍である青丹あおにの中に入り込んだ、ポメラニアン化した凍夜いてやは何故か、九尾の妖狐と相対していた。

 凍夜いてやはポメラニアンの姿のままであるが、不思議な事に意識は明確で、加えて、仙界の言葉も話せており、とろとろと異世界の仙界の黒龍と白龍の物語を九尾の妖狐から聞かされては、どうじゃと得意満面な顔を向けられたわけだが。


「妾はこの異世界の黒龍と白龍を見て、そちにポメガバースの呪いをかけたのじゃ」

「………ふ~ん。あっそう」


 全く興味がありませんと言わんばかりの無味の声音に、九尾の妖狐は頬を思いきり膨らませた。


「何じゃ何じゃ。ここは僕も黒龍と白龍みたいに強い想いで交差する関係を、相棒である栞太かんたと築いていきますと宣言するところであろうに」

「だから、僕はあの子と相棒になるつもりは一切合切ないって言ってるでしょう」

「そちがどれほど拒否しようが、決定事項じゃ」

「当人の意思を無視するなんて最低だね。最低最悪」

「はは。九尾の妖狐である妾には、誉め言葉であるが?」

「………あの子を僕のところに連れて来たのは、君?」

「そうじゃ」


 膨らませた頬から空気を抜いては、にんまりと九尾の妖狐は笑った。


「あの子を槍の中に取り込ませたのも、君?」

「吊り橋効果を期待してのう」

「………あの子はただの人間だよね?」

「秘めたる力でもあれば受け入れるのかのう?」

「………そうだね、ただの人間よりはまだ受け入れようという気にはなったかもね」

「そちがそれを望むのならば、付与しても構わぬが。さても。妾は、ただの人間に、そちの相棒になってほしいゆえ。考えを改めてもらえると、有難いのじゃが?」

「………脅迫しても無駄だから」

「脅迫などしておらぬが?」

「無駄に強い圧力を発しているんだけど」

「はは。それは悪い事をした。かよわいポメラニアンになってしまった今のそちには、とてもとても、苦しい想いをさせたのう」

「………」


 凍夜いてやは脱力しきった目を九尾の妖狐に向けたのであった。


「え?なに?悪者扱いしてほしいの?」

「ふふふふふふふ」











(2024.4.14)




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