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116.渇望





 精神的な重圧が溜まればポメラニアン化するというその飲み薬を、地上で買っては飲み干した。


 白龍と黒龍は、二匹で一匹の存在。

 片方に異変が生じれば、不要の烙印を押される事は。仙界から追放される事は。

 容易に想像できた。はずだった。


 ただただ、あの方を傷つけない身体になりたかった。

 ただただ、あの方を傷つけない思考を持ちたかった。


 突発的と言っていい。

 幼稚な行動だった。


 仙界を守る。

 あの方の強い信念を砕くつもりはなかったのだ。


 本当に。

 問いかけてくる声に、是と、確固たる声で返せは、しなかった。


 望んでいたのではないか。

 仙界の守り手という縛りから解放されたかったのではないか。

 あの方を解放したかったのではないか。


 仙界の守り手としてのあの方を守りたかった。

 仙界の守り手ではないあの方を引きずり出したかった。


 どちらも本当の心。

 どちらも本当に。




『すまない。黒龍』




 何故、あなたが謝るのですか。

 謝るべきは、俺なのに。


 ごめんなさい。

 ごめんなさいっ。


 黒龍に戻りたい。人化でもいい。

 謝りたい。

 莫迦な事をしてごめんなさいと謝りたい。

 もう、こんな莫迦な事はしない。

 あなたが望む、義弟に徹するから。

 どうか。

 どうか、そんな顔をしないで。

 苦しそうな、悲しそうな、顔をしないで。











(2024.4.14)




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