表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/165

11.亀雲




 宝貝パオペイ亀雲きゅうき

 亀の形をした雲の乗り物。

 歩行、疾走、飛翔、水泳。

 使用者の気分と状況と場に応じて、移動方法が変化する。




 霊獣の紅鶴べにづるから知らせを受けた大仙人は亀雲きゅうきに乗って、凍夜いてや震霆しんてい八雲やくもが居る場所に降り立つや否や、凍夜いてやに視線を定めて、叫んでしまった。




「なんみゃらめもしてぽるまみふめぇえええええ!!!」

「大仙人様。何を言っているかわかりません」

「わかりません」

「わからないよ」


 凍夜いてや震霆しんてい八雲やくもに立て続けに言われた大仙人は、両頬に手を添えて繰り返した。

 口を閉ざした状態で鼻から空気を取り入れて、両頬をパンパンに膨らませてのち、すぼめた口から、空気を緩やかに吐き出す深呼吸を、一回、二回、三回。

 深呼吸を終えると、もにょりもにょりと唇を回すように動かし、口の動きを滑らかにして、再度叫んだのだ。




栞太かんた少年を異世界に戻したとはどういう事じゃ!!!」

「だって、只の人間じゃないですか。異世界の、しかも、仙界に居たら危ないですよ。帰すでしょ」


 至極真っ当な凍夜いてやの意見に、大仙人はぐぬぬと言ったのち、只の人間じゃないもんと言い返した。


「わしが、大仙人のわしが釣り上げた異世界の少年だもん!!!只の人間じゃないもん!!!」

「大仙人様が釣り上げようが、只の人間は只の人間です」

「全く以て、凍夜いてやの言う通りです」

「えー。大仙人様が釣り上げたんだから、すっごい人間なんだよ」

八雲やくも


 賛同してくれた八雲やくもに、ほろり、大仙人は両目に涙を滲み出させたのであった。











(2024.3.10)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ