救いを求めて
毒親とヒステリーのハーフ、周と申します。周という名前は、勿論のこと偽名です。
今作、つまり「救いを求めて」は処女作です。私は男ですが、貞操は奪われていないので、処女作で間違いはありません。
一時期、小説家の夢を親に語りましたが、完全否定されました。ですから、私が生み出したものの評価をしていただきたく、ここに投稿致しました。
感想や改善点などをコメントしていただけると幸いです。
私の親は、毒親だ。
幼少期、親に夢を語ったことがある。人を救えるような人になりたい、と。すると彼らは「医者になれ」と言ってきた。当時、おそらく四、五歳の時分であったが故に、医者という職業に対して正しい認識を持っていなかった。けれど、幼き頃の私は、とにかく医者になりさえすれば良いものだと思っていた。だから、死に物狂いで勉学に励んだ。テストはいつだって百点。学年の首位を譲るようなことはしなかった。
しかし、完璧に全てをこなせる人間など存在しない。ある日、一つ、解答用紙のたった一つの問題に、×がついて私の手元へ返ってきた。少し悔しかったが、実のところ私は満足していた。「よく頑張った」「それでも九十八点、十分だ」「きっと、お母さんもお父さんも褒めてくれる」。そう、私は彼らからの賞賛を期待していた。
帰宅後、すぐに両親に結果報告をした。すると彼らの目から、光が消えた。すぐに私に向き合って、こう問い詰めてきた。
「どうして間違えたんだ!こんな簡単な問題、どうして落としたんだ!信じられない!」
彼らは直前まで夫婦喧嘩をしていたのか、空気のピリつきが肌に伝わってきた。おそらく、それが彼らの感情を制御不能にした直接の原因だろうが、正直、まだ誕生日を十回も経験していない少年でさえも、彼らが異常であると察せられた。たしかに簡単な問題で、自分でもどうして間違えたのか分からなかった。それくらいには簡単な問題だった。だから、彼らの言い分は理解できる。よく理解できる。しかし言い方というものがあるだろう。彼らの剣幕は、狂気染みていた。今でも目を閉じると、虎の貌を彷彿とさせる、彼らの顔が脳裏を過ぎる。トラウマなのだ。
その日を境に、彼らの怒号が家の中を飛び交うようになっていた。原因は様々だが、どうしてか、結論は私のせいだというように落ち着く。そして私は、またもや猿のように甲高く、またライオンのように鬼気迫る声を聞き、小さなハムスターのように無様に部屋の隅で怯えていた。
今では食器とスプーンがぶつかる金属音を耳にするだけで、身体がビクつく。成績は徐々に低迷していった。中学生三年生の今では、定期テストで九十点代を出すのがやっとだ。
非常に、生き辛い。この日本という国に生まれたのに、私が吸う空気はいつも淀んでいて、窒息してしまいそうになるのだ。苦しい。プレッシャーと闘うのはもう疲れた。本音を書き出すなら、死にたい。消えたい。責任を、身分を、礼儀を、全てを投げ捨てて、この世から私という存在を掻き消してしまいたい。
ずっと、走り続けているのだ。おもりを肩にのせながら、水を飲むこともなく、延々と続く人生という道を走る。休憩所が存在しないのだ。
いけない。心が不安定だ。自分を表現するほど、自分の価値を見出せなくなる。所詮、私という人間はあの未熟な親のもと生まれた人間なのだ。両親と兄から注がれた、濁った愛情が、私の本質だ。それを否定したい。なんとしても、彼らを否定してやりたい。
自分でさえも気が急いで、思慮に浅い理論だと理解できる。けれど、もう止まれない。どうしたらいいのだろう。酷い寂寥感と孤独感に苛まれている。それらを掻き分ける。霧のような、靄のような、そんな鬱屈とした感情を掻き分ける。暫くして、何かが掴めた気がした。形としてそこに存在する、何かを。
私の本質が彼ら、両親や兄だとするなら、その本質を破壊してしまえば、万事解決ではないか。そうだ、私はいつか渇望していたじゃないか。自らの死や終わりを。ならば、今こそ実行に移す時だ。それは求めるという行為に他ならないが、しかし今の私には最適解を得られた気がした。
誰か、私を殺してくれ。誰か、私を消してくれ。誰か、ダレカ、だれか…。
誰か私を、救ってくれ。