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【生存率/生きろほど、気持ち悪い言葉は無い】

真っ暗闇を抜けた先には、先程までいた空間とほぼ同じく、扉や窓がない真っ白な空間であった。 ただ今回の空間には正面の壁に巨大なモニターが仕掛けられてあったが。


「モニターがあるだけで、デスゲーム感が増すなァ……」


「でも、モニターがあるってことは。きっと、何か映し出されるんだよね?マスターの姿とかさ…」


「――モニターの前に立ち、生存率を測るといい」


「うわぁっ、びっくりした…。てか、この声はあの時の…ん?生存率? 」


突如、不気味な謎の声と共にモニターの電源が点き。生存率を図れと指示される。

生存率を図って何の意味があるのか分からないが、見たところ害はなさそうなので一依から順番に図ることにした。


先程とは違って、自分の生存率は100%であると過信しているのか。上機嫌で自信満々にモニターの前へと立つ一依。果たして結果は――、



「はっ、え?は、あ、ん?え、えっ、21……? 」



一依の生存率は21%と結果が出された。

100%ではないことは勿論の事、まさかこんなにも低いとは思わなかったのか。

驚きのあまり言葉が出ず、呆然として立ち尽くしている。暫くして、結果が事実であることを再認識すると。高らかな声を更に高くして盛大に驚きの声を上げる。


「――はあああああああ!? この、わ、わた、ワタクシが21%ですってェえぇえええ!? 」


「低いね」


「なんか微妙だし、納得」


「確かに一依さんは死にやすそうですよね」


驚く一依に対し、快輝達は心当たりがあるのか。驚きはせず、結果に納得している様子。 驚きの声を上げたまま、その場で立ち尽くしている一依を押し退け。次は綿枷が図る。



「69…、まぁ、普通なのかな? 」



綿枷の生存率は69%。

一依とは違い、安定している数値に見える。ただこれが普通であるのかは分からないが。


続いて図るのは、夢玖。

夢玖の結果は綿枷より1%低い、68%だった。綿枷より1%低いのは何かあるのだろうか。



「40。これは、低い方なのか…? 」



次に図ったのは、彗亜だった。

結果は40%。綿枷と夢玖に比べれば低く、一依と比べれば高いといったところだろうが。実際は分からない。



「75%。デスゲーム基準で考えれば、高い方でしょうか? 」



彗亜の次に図ったのは色だった。結果は本人が言っている通り、75%。

確かにデスゲーム基準で考えれば、高い方なのかもしれない。ただ残りの25%が無いのは何を意味しているのだろうか。


「あー、俺も低い方だったわ。まぁ、一依よりはマシだけど」


色の次に図ったのはもちろん、快輝だった。

快輝の結果は43%と彗亜よりも3%と高い数値であった。

こうして断刈を除く、それぞれの結果を見返してみれば。色が一番高く、綿枷と夢玖はまあまあ、彗亜と快輝は低く。一依が一番に生存率が低いという事がわかる。高い、低いといった理由や要因が何なのかわからないが。あくまでもこれは結果であって、ただの数値であって、恐怖心を煽ろうとするものであって、気にするようなことではないと――。



『生存率100%……』



そう思いたかったが、断刈の生存率が100%であることに間に受けて気にせずにはいられなかった。 だって断刈は即死効果のある道具で自殺を図っても死にはせず、平然と生きられているのだから。 いいや、それだけではないだろう。断刈は数えきれないほど自殺未遂をしてきた。いつもなんだかんだて生き延び、生き残って、生存してしまい、地獄へと巻き戻されてきたのだ。この結果がただ恐怖心などを煽るモノではなく。事実であると、現実であるという証拠になる。


『あー、あははは…は? ふざけんなよ、気持ち悪い。

生かすのが、生かされるのがどれだけ地獄で最低であるのか理解もしてねぇのか!あぁ!? 』


断刈には、嫌悪、憎悪、怒り、殺意、絶望、失望、そして地獄と苦痛でしかなかった。

こんなに現実は酷く最低であるものだというのか。

生きたところで、生き延びたところで、生き残ったところで、生存したところで、いい事なんか一つもないというのに。欠片さえ、何もかも全て無いというのに。どうして、どうして、どうして、どうして――、


『――ああ、本当に気持ち悪いッ! 』

「ここまで、極度に死へ。執着と固執をし、歓喜感銘の声を上げ、希望と意思を持ち。

極度に生へ。憤怒・憎悪・嫌悪を抱き、敵意と殺意、絶望……そして、失望している者は初めてだよ」


言葉を被せるように、正面から声が聞こえてきた。

負の表情を浮かべたまま、正面へ――モニターの方へと向くと。

のっぺらぼうのような顔立ちをした不気味な何かが、モニター画面に映し出されていた。その不気味な何かを断刈に続いて快輝達も把握すると、一気に困惑と疑心、警戒心に包まれる。そして――、



「挨拶が遅れて済まないな。私は、このデスゲームのマスターだ。

そして、君たちを催眠魔法で眠らせ、連れ去り、此処に閉じ込めた張本人でもある。

最初に宣言した通り、是非とも生死を彷徨ってほしいが。その前に、煮締那 断刈。

我が即死道具を容易く生き延びるうえに。死のカウント入れさせ、扉を出現させるとは……

【人の役に立つ】気はないと、【駒】として働く気はないと、そう認識していいのかな? 」


声音を低くして更に不気味に仕立て上げながら、断刈に怒りと疑惑を向けた。




―――




『一切、無いですけど。それよりも…、あれ、本当に即死効果が付いていたんですか? 威力も火力も何もかも…、低すぎません? あんなんじゃ、死ねませんよ。もっと、威力を上げた方がいいですよ』


「――なに、敵にアドバイスしてんだ!これ以上、危険物を増やしてどうする!? 」


相変わらずの死にたがりさを前面に出し、敵であるデスゲームのマスターへとアドバイス兼助長しようとする断刈。 そこにすかさず、助長するなと制止に入る快輝。だけど、本当に相変わらず断刈は死の事しか言わない。


『はぁ…、だって。本当に死の導きの欠片もないですもの』


「だからって、アドバイスして助長するんじゃねぇ!

これだから、死にたがりは…!もういい!お前は黙ってろ!

おい、デスゲームのマスターさんよォ。定番だが…、何が目的なんだ!

こんな卑劣で馬鹿な真似事してもいいと思っているのか! 」


定番の台詞を言いながら、鋭く咎める快輝。

しかし、マスターも定番の台詞と目的、そして断刈に――。


「こちらも定番だが、ただの復讐だよ。復讐の為にこのデスゲームを開催したまで。

まぁ、そんなことよりも今は。煮絞那 断刈。人の役にも駒にもならないと申すのであれば…、【生きろ】」


『は? 』


「【生きろ】。特別に此処から…いいや、強制追放として。此処から出してやる。

お前が此処にいては、誰も生死を彷徨いそうにないからな。だから、【生きろ】。【生きるんだ】」


吐き捨てるように冷たく【生きろ】と告げる。

そう冷たく【生きろ】と告げ、告げられた瞬間――、何かが割れるような音が空間中に響き、微かに血の臭いが漂う。 何事かと気づいた時には、断刈が憎悪と殺意で満ちた声音と表情で淡々と吐き出していた。


『自分にとっては【生きろ】は【死ね】と同義語なんですよ。軽々しく言わないでください。気持ち悪い』


そして、吐き出した後。思いっきり、モニターを叩き割り。二度と何も映し出すことができないようにした。


断刈にとっては、【生きろ】は【死ね】と同義語。

死にたくて死にたくて堪らず、普通はならない些細なモノから一撃でなる物騒なモノ等。この世に存在するありあらゆる物事を試してきた。しかし、一度も成功したことはなく、何だかんだで生存してしまっている。生きることが、生き延びることが、生き残るのが、生存するのがどれほど地獄であるのか。これは断刈自身しか理解できないであろう。だからこそ、【生きろ】と言われるのは。【死ね】と同義語もしくはそれ以上の反吐が出るほど気持ち悪く、地獄で最低な言葉であるのだ。


『はぁ…、本当に気持ち悪い。ああ、本当に吐き…うぐぇっ……、』


「ちょっと、大丈夫ですか!?さっき、モニター叩き割ったせいで。手、腕からも出血して……」


「と、とにかく手当てを……! 」


「俺に任せろ、このくらいの傷なら…とりあえず、服でもちぎって……、」


『――やめてください。この程度なら、どうせ自然回復しますから。心配はご無用で余計なお世話です』


心配する一依、色、彗亜を振り払って立ち上がる。

しかし、即死効果を持った道具を使用した時といい。先程、モニターを叩き割ったことによって、更に出血してしまったせいで。意識が朦朧とし、体がフラフラと左右前後に揺られている。それでも、平然とした気持ちでいられるのは。前にも同じような事が何度もあったが、何だかんだ生存してしまっていたからだ。 だから――、どうせ生存する。それに自分は生存率100%なんだ。だから、悲しい事に。


『生きたくないのになァ…、なんで逝かせてくれないんだろう。あーあ、本当に生き地獄で気持ち悪い……』


そう呟いた同時に扉が出現する音がした――。

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