二十一話
雲が隠していた月を露出させ、辺りが少し明るくなる。
「な、何で……」
「ん? ああ、このロボットは私が動かしてたのよ」
月明かりに照らされて現れた予想外の人物に、脳の処理が追い付かなくなっていく。
「ねぇ、何があったの?」
奥から、京香の声が聞こえてくる。
どうなっているんだ?
どうして? どうして? どうして? “京香が二人いるんだ?”
「お前は何者だ!」
目の前の人物にレールガンを向ける。
「フフフ、分かってるくせに。私は京香よ」
「嘘を言うな、後ろにいる京香が本物だ」
俺の言葉にまたバカにするように笑いだす。
「本物? ああ、うん。そうね、全部本物で嘘者よ」
何を言ってるんだこいつは。
「どうして、私がいるの」
俺の横に来た京香が驚いた声を出す。
「もう、お話の邪魔よ」
笑っていた京香は黒い小さな長方形の箱を取り出して、左手で操作する。
すぐに横にいた京香が突然姿を消した。
「どうなってるんだ」
「もう用もないから、消えてもらったの」
「消えてもらったって、殺したのか?」
「殺してなんかいないわ、消しただけ」
消すのは殺すのと違うのか?
もしかしたら別の場所に飛ばしたとかか?
「お間が京香だというなら、違う時間軸の奴か?」
「虎太郎が何を言いたいのかは分からないけど、そうじゃないわ」
「じゃぁ、お間は一体?」
「だから、京香だってば。もう、こんな時間に意味ないのに」
そう言いながら、黒い箱を手の中で回転させる。
「意味がないって、ちゃんと説明しろよ!」
イラ立ちを隠さずに、怒鳴りつけた。
「この世界でも、失敗のようね」
俺の言葉など気にした様子もなく、独り言のようにそう言葉を漏らす。
「何を言ってんだよ!」
手に持っていたレールガンを投げつける。
「危ないわね……」
体に触れる前に、はじかれるように地面に落とされてしまった。
「答えてくれよ……」
地面に膝をつき、涙をこらえる。
山田が死んで、京香も消えて、こんなの悪夢以外の何物でもない。
「お休みなさい。虎太郎」
京香と名乗る人物は、優しく微笑む。
そして、黒い箱を撫でるように指で操作する。
俺の体が淡く光った。
このまま何もできずに消えるのか?
悔しさのを感じながら、意識が徐々に失われていった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
この物語は面白いのでしょうか? 感想と隠れると嬉しいなって笑っ
続きはお昼に更新します。




