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プロローグ
遠くから、声が聞こえてきた。
俺の手を誰がが強く握っている。
その温もりがなんだかとても懐かしく感じた。
身体が動かない。ぼやけた視界では誰かは分からない。
「目を覚ましたぞ!」
「巴瑞季プロジェクト成功しましたね!」
はしゃぐように、歓喜の声が上がった。
ベットに寝てるらしく天井の照明が上で眩しく光っている。
ここはどこなんだ?
そう聞きたくても口を何かが覆って、うまく声が出せない。
ただ一人、はしゃぐ周りと違って、俺の手を握る人は泣き声を殺して泣いていた――