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漫才シリーズ

コント「質問の多いラーメン屋さん」

作者: まさかす

「腹減ったなぁ。あれ? こんな家の近くにラーメン屋なんて出来てたのか。しかし新しい店なのに『ガンソ』なんて暖簾(のれん)に書いてあるけど、何処からか移転してきたのかな? まあ取り敢えず食べてみるか」


 ガラガラ


「へい、らっしゃい! 100名様ですか?」

「100人って何だよ。見て分かるでしょ? 1人ですよ」

「いや分かりません」

「何でだよ! 見て分かるだろうよ。つうか100人も入るような店じゃないでしょ? いいとこ10人で一杯の店だよね?」

「まあ、お好きな席にお座り下さい」

「無視かよ……」


 客:カウンター席に座る


「では注文どうぞ」

「じゃあ……ってメニューには醤油ラーメンしかないみたいけど」

「ご注文は?」

「だから醤油ラーメン以外に選択肢ないんでしょ? なら聞く必要ある?」

「ご注文は?」

「……じゃあ醤油ラーメン下さい」

「いくつ?」

「いくつ? いや、1つで……」

「麺は?」

「硬めで」

「野菜は?」

「しゃきしゃき少なめで」

「お代は?」

「お代? そりゃ少ない方がいいけど変わるの? 時価なの?」

「体調は?」

「無視かよ。ってタイチョウ?」

「体調」

「まあ元気ですが……。それが何か?」

「トイレは?」

「は?」

「トイレ」

「え、あ、ああ、大丈夫です……」

「肝臓の具合は?」

「肝臓?」

「肝臓」

「元気だと思いますが……。つうか何?」

「心臓の具合は?」

「心臓?」

「心臓」

「元気だと思いますが……。つうか何なのその質問は?」


 店主:軽く笑みを浮かべると背中を向け料理を始める


「…………だから何の質問だよ!」

「……」

「無視かよ……」


「はい、おまちどう」

「おっ、早いな。つうか結局こっちの質問には一切答えないんだな。まあ良いけどさ……」


 ズルズル


「ごちそうさま」

「毎度、500円になります」

「おっ、結構安いじゃん。じゃあこれで」

「丁度頂きます。またのご来店を」


 客:席を立ち帰ろうとする


「……って、何も無いのかよ!」

「は?」

「何も無いの?」

「は? うちは醤油ラーメン専門店なんで醤油ラーメン以外には何も無いですが?」

「いやそうじゃなくてさ!」

「は?」

「あんなに質問しておいて何も無いの?」

「は?」

「何で体調だの心臓だの肝臓だのトイレだのを聞いたんだって聞いてんの!」

「は? そりゃうちのラーメンを美味しく食べてもらいたいからですよ」

「……え?」

「体調が悪けりゃ味覚にも影響して折角作ったラーメンの味も分からないでしょ?」

「そりゃそうだけどさ……」

「何すか? 不味かったとでも言いたいんですか?」

「いやそんな事は一言も言って無いじゃん」

「味について言えばこっちに文句言われる筋合いは無ぇよ!」

「いや味についてはそっちに文句言うのが筋でしょ? まあ美味しかったから文句は無いけどさ」

「味以外についての文句なら聞こうじゃないか」

「だから何でだよ!」

「お客さん、ふざけちゃいけないよ? うちのラーメンは大手食品会社の爆売れしてる即席ラーメンだよ? 袋の裏のレシピ通りにキッチリ作ってんだよ? 不味い訳無いでしょ?」

「インスタントかよ! ここで作ってんじゃねぇのかよ! 完全に手抜きだろ!」

「手抜きとは聞き捨てならないね。一流のメーカーが出してる立派な商品だよ?」

「いやそうかもしれないけどさ」

「それにインスタントじゃないなんて事、店のどこにも書いてないでしょ?」

「いやそうだけどさ、じゃあ大将はお湯沸かして即席麺を茹でてるだけ?」

「お客さん、ふざけちゃいけないよ。ちゃんとした器に綺麗に盛ってるでしょ? 食べ終わった後に食器を洗うのもあっしですよ?」

「それって即席袋麺での最低限必要な事だよね? 一般家庭に於いても必須の行動だよね?」

「お客さん、ふざけちゃいけないよ。数種類の野菜も乗ってたでしょ?」

「ああ、乗ってたね。自分で作る時には具無しが普通だからなぁ。そう考えると手間はかかってるか……」

「でしょ? コンビニのカット野菜だって安くないんですよ?」

「コンビニのカット野菜かよ! つうか野菜ぐらいは市場かどっかで自分で仕入れて包丁使って自分で切れよ!」

「ちょっとお客さん、カット野菜を馬鹿にしてんすか?」

「してないよ! つうか暖簾に元祖とか書いてあったらそれなりの腕というか物を期待するでしょ? それなのに即席麺だわカット野菜だわで作った物を元祖ってのはどうなの?」

「元祖なんて書いてねぇよ!」

「カタカナだったけど『ガンソ』って暖簾に書いてあるじゃん!」

「あれは元祖じゃないよ!」

「他にどんなガンソがあるんだよ!」

頑固(がんこ)素人(しろうと)頑素(がんそ)だよ!」

「何の意味があるんだよ!」

「アンタ人の店の名にケチつけんのかよ!」

「店名がガンソ? つうか自分で素人いうなよ!」

「アンタ素人を馬鹿にしてんすか?」

「そのキレ方もおかしいだろ。つうかよく素人で店だしたな。ある意味尊敬するわ」

「アンタ文句の多いひでぇ客だな。もうとっとと帰って明日にでも又食いに来てくれよ!」

「ツンデレかよ! つうか明日もわざわざ店に来てインスタントラーメンを食えっての?」

「アンタ一言多い客だな。もう何でも良いから常連として毎日来てくれよ!」

「毎日インスタントの醤油ラーメンなんてやだよ!」

「アンタ我儘(わがまま)な客だな。なら好きな銘柄教えてくれよ。味噌でも塩でもカレーでも好きな味の買っといてやるからよ」

「かーちゃんかよ! つうかインスタントなら自分で買って自分で作るっての!」

「アンタ本当に我儘だな。ならアンタのかーちゃんの口癖を教えてくれよ。真似しながら作ってやるからよ」

「そんなの望んで無いわ!」

「たんとお食べ」

「そんな昔話に出てくるお婆ちゃんみたいな言い方、俺のかーちゃんしないから!」

「ささ、冷めないうちに『乾麵の中華風かんめんのちゅうかふう醤油汁煮込み(しょうゆじるにこみ)』食べちゃいな」

「醤油ラーメンをそんな言い方もしないけどね」

「親の作ったものにケチつけるなんて、そんな子に育てた覚えはないよ!」

「いや大将はかーちゃんじゃないし。それに俺のかーちゃんは手料理を大事にしてて、むしろインスタントなんて食べさせてくれなかったし」

「そんな事言うならもうご飯作ってあげないからね!」

「大将がラーメン作らないのは単なる仕事放棄だよね?」

「アンタほんと口数の減らない客だな。もうとっとと帰ってくれ! でもって明日また食べに来てくれよ!」

「ほんとツンデレだな」

「明日来れるだろ?」

「いやそんな懇願するような表情で言われても――――」

「お湯沸かして待ってるからさ」

「だからそれは俺でも出来る」

「要望も聞くぞ」

「要望?」

「どこのメーカーのインスタントが良い?」

「いやそうじゃなくてさ――――」

「分かった!」

「は?」

「袋麺よりもカップラーメンの方が好みなんだな? じゃあ今一番人気のを沢山用意しとくから!」

「更に手抜き(てぬき)になってるじゃん!」

「タヌキそばが喰いたいのか? しゃーないなあ。買っといてやるよ」

「タヌキじゃなくて手抜き! つうか手抜きどころかラーメン専門店なのにラーメンでもなくなってるし!」

2022年04月04日 初版

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