第1話 死
◇弁野元気
◾️7月28日AM8:20
俺の名前は弁野元気。至って普通の男子高校生だ。パッとしないが、平穏でそれなりに幸せな生活を送っている。...いや、送っていた。何故過去形なのかと言うと、俺の平穏な人生は今、唐突に終わってしまったからだ...
◾️7月28日AM8:10
「♪〜」
鼻唄を歌いながら自転車を漕ぐ。最近発表された新曲だ。夏の暑い日差しを受けながら、俺は軽快に学校への道をすすむ。暑い中自転車を漕ぐのも今日で終わり、明日から夏休みが始まる。そう思うと俺はこの暑さの中でも気分が高まり、走るスピードも自然と速くなる。
(今日は午前で学校が終わりだ!帰ったら涼しい部屋でゲームができる!)
そう信じて疑わなかった。当たり前だろう。いつもと変わらない日常。それを疑い続けながら生きている人などほとんどいない。
「♪〜……ッッッ!?!?!?」
辺りに響き渡る轟音。飛び散る血。元気には何が起きたかわからなかった。いや、見えてはいたのだ。赤信号で止まることなく突っ込んできた大型トラックを。だが、状況を認識する前に元気の意識は途絶えた。…もし、走るスピードがいつも通りだったなら、トラックにぶつかることはなかっただろうか。それとも注意深く右左を確認してから横断歩道を渡れば、止まる気配のないトラックに気付けただろうか。そんな事を考えることもできず、元気は死んだ。
◾️7月28日AM8:20
気づけば暗闇の中にいた。
(……?)
浮かぶのは疑問だけ。意識が朦朧としているのだ。自分の状況についてさえ考えることができない。ただ、時間が過ぎる。
(…………………!)
気づき、があった。それが何かはわからない。何もわからぬまま、元気は吸い寄せられるように動きだす。「呼ばれた」のだ。
頑張って投稿してくぞー!おー!