先輩と助手君のコントロールの出来ない日常
「助手君これを見たまえ! この眼鏡を付ければ人の心が覗けるんだ!」
「プライバシーの侵害でしょっ?!」
先輩から眼鏡を分捕ると、片手で思い切り握りつぶす。
「あぁぁ・・・」
粉微塵になった眼鏡の残骸を前に、悲壮な表情をしている女性は俺の学校の先輩だ。
全国でもずば抜けた天才と呼ばれる彼女ではあるが、その頭を何故か残念な発明にしか使わない。
この頃は、惚れ薬だの巨乳になれる薬だのと、そういう方面のものが多くなってきている。
それを毎度の如く破壊している俺である。
うん? 理由?
・・・まあ、察してくれ。
こんな先輩ではあるが、俺にとっては大切な人な訳だ。先輩が誰にその感情を抱いているかは知らないが、せめて発明だけでも壊すのが俺の醜い足掻きだった。
そもそも恋愛感情を発明でどうにかしようとするのが間違っているのだが、どうやら先輩は初恋らしいので盛大に空回っているのだろうと思われる。
(せめてそいつを一発殴りてえな)
華奢な体でぶかぶかな白衣をどや顔で着用し、盛大に部室を荒らしては俺が片づける毎日。
しかし、その笑顔が、輝く瞳を浮かべながら夢を語る姿が・・・いつしか俺を呑み込んでいた。
全く、とんだ泥沼だ。
魅了の精神攻撃付きというのが手に負えない。
「はぁ・・・まあ、当たって砕けろか」
聞こえない程度の声で呟くと、覚悟を決めて立ち上がる。
「あのっ、先輩っ!」
「ふははは! 助手君! ボクは学ぶ女、こんな事もあろうかと本命は別にあるのだよ! じゃじゃ~ん、恋愛カウンター。その名の通り、装着者に対して、どの程度の好感度を持っているかを測定するものさ! さあさあ、君は一体ボクにどれだけの・・・」
な、なにぃ!
そんなもので見られたら告白どころじゃねえ。
男らしく砕ける前に、そんな発明で粉砕されてたまるか!
「それはずして下さい!」
「ちょっ、危なっ!」
焦るあまり覆いかぶさるように先輩へと飛びつく。
「いっつ・・・す、すいません! 大丈夫ですか先輩!」
「大丈夫だけれども、ふぅ、全く君は」
先輩に怪我がない事に安堵すると、ふと頭に何かが引っかかっているのに気付く。
「何だこれ?」
手で軽く触れると、そのままその物体はカチャリという音と共に俺の目の辺りに装着された。その状態で先輩に向けると、何やら数字が表示されて、
「ひゃく・・・?」
「っ?! ひゃぁあああ!!!!」
先輩は顔を真っ赤に染めて絶叫した。
反射的に振られた掌が俺の顔を捕らえ、大きな紅葉を作った。
その後は、ご想像にお任せします(*´▽`*)