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ろーるぷれい


 アルマさんにキリのいいとこまで読ませてもらった新聞を返し。


 記事スレッドの内容について話す。


「結構大事っぽいですねメインクエスト」


「だな……にしても、滅びゆく世界だったんだな。今一番アツいコンテンツの設定にしては皮肉なもんだ。」


 中々に重大発表だったからか、こめかみを揉んでため息を零した。


 ぼくもちょっと困惑してる。


 3年後に何が起きるのか、どんな物語シナリオが待っているのか。


 何故なにゆえに世界が滅ぶのか、何故なにゆえに『邪神の使徒』に世界を救わせるのか。


 そして、ぼくはどうすべきか。



「世界の滅びを終わらせる……か。ヒロイックでカッコいいじゃねぇか」


 アルマさんは楽しそうにニッと笑った。


「さてと、オレもチェリムス目指して見るかな。」


 と言って立ち上がって振り返る。


「ラティはどうする?」


「ぼくは、とりあえず大聖堂のジジイの顔を拝みに行きます!」


「じ、じじい? ……まぁ、じじいか。了解、じゃあまたな!」


「はいっ!」



 そうして、アルマさんと別れた。




_______________



「うーん…」


「どうしたラティ、また考え込んで。まるで知恵が有るみたいだぞ」


「ちょっと待ってね、人を考え無しのケモノみたいに言うのをやめようね。」



 大聖堂へ向かう道からそれて、裏路地をフラフラしてる。

 この辺りは見るものも無いし、プレイヤーとすれ違わない。

 左腕エルと普通に話していても目立たない。


「考えてるのは世界の滅びのことなんだけどさ。」


「まぁ、滅んで良い事なんて無いから助けるんでしょう?」


「それはそう思うよね。でもさ」


 スッと息を吸う。


 路地裏の、人にとっては少し冷たい空気が肺を満たす。


「敢えて、()()()()()()って思うんだよね」


「……正気?」


本気マジだよ


 シナリオの選択は自由なんだ。


正しそうな道を選ぶのは神様アンドレイの掌の上って感じで気に食わない。」


 この世界ゲームでぼくを自由にしていいのは、ぼくだけだ。


 世界が滅ぼうとも、ぼくはそれを曲げるつもりは無い。



 メイカさんやレジスタさん。他に門番おじさん、司祭おじさん。あとは占いお婆さんに、イカした服屋さん。

 ほぼ人と変わらないNPCが生きてる世界。


 アズさんやアルマさん、まだ知り合って無いプレイヤー達もきっと楽しく生きてる世界。


 望んで滅びを受け入れたい人なんていない。だからこそ、異邦人ぼくたちはここにばれている。


 みんなにとって大事な世界だ。()()()()んだ。


 現実あっちの世界は、毎日だらだらと()()()()()ってだけ。仮想こっちの方が人がイキイキとしていて、世界の活きがいい気さえする。


 だからこそ、()()()()がある。


「ねぇ、ラティ。」


「なぁに、エル。」


「やっぱりお前はオカシイよ」


 失礼なやつだなぁ。


「違うよ。同じ人間だからこそ、人の込めた想いを楽しめる。


 想いをかけて作って、守ってる物を壊した時に得られる愉悦はその想いを理解してないと得られない。って思うんだよね」


 なんていうの、カタルシス?ってやつ?

 そんな感情のさざめきが、それへの欲求が、ぼくをワクワクさせてくれる。



「あぁ、無いはずの背筋がザワつく程に気持ち悪いな。これが人間か。」


 化物エル人間ぼくの生態を教えてあげよう。


「思えば小さい頃は弟の作った砂の城を蹴り崩すのが楽しかったな。これが童心に帰るってやつか。」


「このナチュラルボーン外道と一心ではないのに同体なのか……」


「運命共同体さ、魔王の右腕ってやつだよ。」


「左腕としてくっついてるのに、右腕とはこんがらがるね。」


 他愛もなくって、酷く軽やかで不謹慎。


 エルはぼくに共感を覚えちゃいない。

 まったくぼくを理解してない、ぼくらは異物同士だ。


 でも、


「止めないんだね。」


るんだろう?」


「あぁ、るよ」


「狂気の沙汰ほど面白い。特等席でお前を見ていてやろう。」


 ギョロリと体表の目玉がコチラを覗き込んでくる。

 その目玉を微笑みながら見つめ返す。


「いや、左腕そこは舞台の上でしょ。」


「……それはまいったね。」


「一緒に踊ってくれないか?」


「私とじゃ、一人芝居としか観られない踊りになりそうだ、ね。付き合ってあげるけど。」


 クスクスと笑いを含みながら、路地裏にて。一人と一体の共犯宣言が交わされる。


 これは、本当に些細な会話、他愛もない駄弁おしゃべり。


 路地の石畳だけが吸い込んだ、この犯行宣言の重さをまだ世界は知らなかった。


 しかし、脅威は後に知れ渡ることになる。


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