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アンドレイは演説を終えると

ふぅとクールダウンし、


「チュートリアルはこれくらいでよかろう。また、困ったことがあれば呼んでくれたまえ。

まぁ、イベント等でも案内人をつとめるので、呼ばれなくとも会うかもしれないがね。

では、さらばだ」


と、言うだけ言って

あっさり虚空に消えてしまった。



頭の中でアンドレイの言った言葉を思い返す。


「現実を殺す……?」


随分と物騒な表現だ、何か怨みでもあるのだろうか?


「まぁ、楽しんでくれとも言ってたしバンバン狩りをしようかな!」


さっきはエルのおかげでなんとかって感じだったし、今度はもっと上手くやろう!


次の空き教室に向かうべく。


何事もなかったように、ただほこりの舞う空き教室を後にした。


_____________


ガラガラガラ


戸を開ける


「クウ、クウ、クウ、タベ……」


駆け出すッ!


「オラァッ!!」


左腕エルで殴る


圧倒的なSTRが保証してくれる

膂力りょりょくが『飽食鬼』の醜い土手っ腹を撃ち抜く


轟音と衝撃


空き教室特有の停滞した空気が、オレの入ってきたドアから逃げ出すように吹き抜けていった。


「グゥェッ!?」


くの字に曲がった『飽食鬼』が教室後方のロッカーへ叩きつけられる。


追いかけるように駆け出し

痛む腹を抑えようとする『飽食鬼』の両手を

エルを変形させて拘束する。


我駆道がらんどう【クルミ割人形】発動!』


短槍が鬼の鳩尾みぞおちに突き刺さる。


「ガァァァア!?」


腕の拘束に使っていたエルをほどき


「セァァアッ!!」


苦痛にうめく鬼の泣き顔に

腰の入った正拳突きが容赦なくぶちこまれ


鬼はすべなく倒れる。


うつ伏せに倒れた鬼を蹴り転がす


突き立てた槍をグリグリと動かし、

深く、深く突き立てる。


「あ、消えた」


光になって『飽食鬼』が消え、槍が床の木を削る。


「邪悪な鬼は滅んだ……」


クルクルと槍を回して格好つけて言ってみる


「……鬼みたいなのはまだここに一人いますがね」


左腕から飛んでくる軽口をスルーする。

戦いに慈悲はないのだ。


実はさっきの『飽食鬼』で三匹目だ。


レベルを上げてより強いモンスターに挑みたい気持ちもある。


しかし、

今は亡き(ぼくが殺りました)

ナマハゲ師匠の遺品をペナルティでロストするのが怖い。


よって、今日のところはレベル上げはストップして程よい難易度で遊ぶことに決めている。



あの自信過剰なアンドレイが 創ったゲームだ。

飽食鬼コイツ』しか出ないとは思えない。

もっとった造りのレアモンスターや亜種がいるはずだ。


そう思っていたぼくは、

空き教室をガチャでも回すかのように

どんどん開けた。


そして、『飽食鬼』が出る度に表情筋と

《《ハズレ》》を殺していくのだった。


空き教室を5つ程開けて気付いた。


……武道館も部活の無い今日なら空いてる!


教室とは違った規模の空間で、条件の揃った場所に沈みかけていたテンションが上がった。


そういう場所には、特別なモンスターがいるはず!

ゲーマーとしての勘がそう言っている。


ぼくは、足取り軽く少し離れた武道館へと歩いて行った。


_____________


その日は曇りの日で、少し降りそうでもある微妙な天気だった。


テスト前で部活無しだから降ってしまう前に、早く帰っちゃおうと思っていた。


そんな私に


水澄みすみちょっといいか?」


担任の小林先生から呼び出される。

間違いなく雑用だ。


内心、ため息をつきながら振り返る。


「どうされました?」


人当たりの良さそうに笑顔で応えた。

私はこの自分のイイ子ぶってる顔が嫌いだ。


「テスト前なのにすまないな、このプリントを先生の机まで運んでおいてくれないか?これから 先生は会議があってな……」


あなたのホームルームが長いのが悪い、

そう思いつつも口には出さない。


小林先生の先輩に高林先生という人がいる。

その人は高等部の先生だけど、その人もまた、ホームルームが長いそうだ、当たりたくない。


「はーい、わかりましたー」


考え事をしながら適当に返事する。


「すまんな水澄!」


とだけ言って、先生は駆け出していった。


「…はぁ」


「いつも、お疲れー。じゃあねー」


「はーい、またね」


クラスメイトが足早に出ていく。

まぁ、面倒だし手伝ってもらう程の量ではないしね。


さっさとやって帰ってしまおう。




「……それから、こうなると…」


職員室の小林の机にプリントを置いて、帰り支度を整えて玄関に来ると雨が降っていた。


ざぁざぁとアスファルトを叩く音が開けられたドアから、廊下まで伝わってくるような強い雨だ。


「ついてないなー」


ちょっと図書室で時間を潰してから帰ろうかな。


お母さんにスマホで遅くなるとだけ伝えて図書室に向かった。




試験に関係ない古典ファンタジーをついつい読んじゃっておそくなっちゃった。


帰ろうと廊下に出たとき、鼻歌が聞こえた。


高等部の木更津きさらづセンパイだ。


キレイめな顔をしてるけど、いつも何にも興味がない感じでフラフラしてる人だ。


一時期は手の付けられない暴れん坊だったらしい。


上級生・下級生問わず、時には教師にすら暴力を振るっていたと噂がある。

同じ部活のセンパイからも要注意人物だと教わった。


しかし、最近は暴れてるって話を聞かないから大人しいイメージしかない。


いつも無気力なセンパイが鼻歌を歌って楽し気に歩いてる…


……コイバナだっ!

華のジョシコーセーの雛たる私、

水澄みすみ 鏡子きょうこ15才!

中学3年!


私の女子としての勘がこう告げる。


これは間違いないね!

ラブコメの匂いがするね!


というわけで、こっそりあとをつけてみちゃおう。


センパイは体育館横の渡り廊下をスキップしかねないような足取りで歩いてる。

向かう先は武道館だ。


部活の無い今日なら人が来る用事も無く密会には持ってこい!

センパイ、考えましたね!


渡り廊下は遮るものがない。


木更津センパイが渡りきってから、そっと中の様子を伺うことにした。


そこでセンパイは……


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