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ガイアに愛をもらった男  作者: かんじがしろ
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戦略会議

戦略会議

 作戦室に赴くと、長いテーブルの中央に総司令官は既に待っていた。

「子ども達は?」

「ミルクとクッキー付きで、コーA.Iのイメージ‘キャラクターとスクリーンで会話をしています。」

「今回の会議は、これからの計画を、説明してもらえると言う事ですか?」

「これが、これからの作戦行動です。」

タブレットを渡され、内容を確認すると、

仮設外壁工事は、航宙隊を中心に行う。

陸戦隊は、補佐と護衛を任務とする。

範囲は、半径一キロメートルの円形とし、高さは、十二メートルにする。

材料の丸太は、太さ二メートルの物を地中に杭打ち工事する。

期間は、一ヶ月間内に完成させる。

仮設外壁工事完成後の森跡地に、果樹園の造園と農作物の作付けを、陸戦隊で行う。

併せて、猫亜人集落の調査、情報収集を行う。

諜報員を構成して、二十キロメートルと三十キロメートル先のヒューマン似がいる、街を調査と情報収集を行う。

特に書物とモノに対する、貨幣価値の調査と貨幣経済を調べることが重要な事である。

仮設外壁工事完了後、航宙隊は本格外壁工事に着工する。

第二次工事は高さ十五メートルで、一辺三キロメートル四方に石での防護壁とする。

期間は、五ヶ月間内に完成させる。

併せて、航宙隊は鉱山の踏査と反射炉の建設を行う。

かなりの強行日程であるが、豊富な開拓機を品揃えしているので、可能であると付け加えられた。

諜報員の選抜は現地語を睡眠学習後、優秀な人材を充てる事とした。

俺は全て了解して子ども達の所へ行くと、猫似キャラクターがボールで遊んでいる映像に、歓声を挙げていた。

「違うよ、それは後ろに蹴ると言うよ。」

とアーマートは、猫似キャラクターの間違い言葉を修正しているのは、どうやら、コーA.Iが言語学習している様子である。

スクリーンに夢中のアーマートの肩に手を置き、

「お姉さんと話しましたか?」と尋ねた。

アーマートは顔を画面に向けたまま、

「お姉さん。ここに来る準備をしているから、ここで待っているように言われた。」

「お姉さん、此処へ来ると言ったの?」

「言ったよ。」

「来る日が決まったら、忘れないで教えて下さい。決して忘れないように。」

アーマートの顔は相変わらずスクリーンに夢中で、頷くだけであった。

総司令官に、

「子ども達を私に預からせて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」

子ども達がこんなにも夢中になっているのに、断る事は出来ないと思い了解した。

キャラクターが失敗している画面で、なぜ失敗したのかをキャラクターは子ども達に尋ねていた。

子供二人は口々に教えだした。

子供たちを夢中にさせてるのは、流石に教育に特化されたコンピューターである。

俺はその場を後にせざるを得ないのではと思い、自室に向かった。


杭打ち工事が始まり、木を伐りそれを二十メートル位に切断し、それらを無人トラックは杭打ち工事場所へ運んでいる。

杭打ち工事場三ヶ所では、穴を掘る機と杭打機がせわしなく動いて、瞬く間に壁が出来ていく。

それに合わせて、魔獣やら爬虫類等の物が続々と出現しだした。

それらは格好の陸戦隊の戦闘訓練になり、肉弾戦の苦手なホルヘ‘ゴンザレス一等陸士さえもダーホー三頭相手にして、苦労しながらも怪我無く仕留めている。

仕留めた魔獣やら爬虫類等の赤色石を持つものからは赤色石を集め、肉の美味しものは輸送艦の冷凍保存庫に運んだ。

石に至っては、コーA.Iが調べたところ蓄電具の一種であることが解った。

小さい赤色石であってもかなりの量を蓄えているらしく、四人家族半年分の電量が有るらしいので、蓄電具としての活用ができたならば、用途は多岐にわたるとの事である。

丸太杭打ち工事は廿日で終わった。

三ヶ所での工事とは言え、一ヶ所一日二キロメートル以上進めたのである。

この事でも、コーA.Iの優秀さを認めざるを得ないと思った。

工事中の一つの出来事を紹介すると、アーマートとマクリーの姉マティーレが現れたのである。

アーマートから、今日姉が来る事を知らされ、ビリー、とタゴールとアーマート、俺の運転で、川沿いをジープで迎えにいくと、白いダチョウを五匹の黒いコヨーテ似豚鼻が追いかけている。

突然にアーマートが叫んだ。

「お姉が危ない!」

よく見ると、ダチョウの背中に人型が見受けられる

後の席に居るビリーとタゴールに、

「前から来る、黒いのを撃て!」

と怒鳴ると、太めのレーザー光線が全ての黒い頭を蒸発させた。

骸に近寄ると、駝鳥に乗ってた姉のマティーレが現れたが、駝鳥と言うよりはエミューである。

俺たちが赤色石を取りだそうとしたが、赤色石はないとのことをアーマートに教えられて、姉とアーマートは黒いコヨーテ似豚鼻の皮を剥ぎ始めた。

アーマートの肩にかけた紐付けは、一角獣の皮で起用に作ったナイフ鞘を掛けている。

自分のナイフよりもアーマートのナイフがよく切れるのを見た姉は、アーマートのナイフを取り上げて上手に早く剥ぎ始めた。

骸と皮をジープに載せ、川を大きな溜池に作り替えた生け簀に放り投げた。

溜池の大きさは幅二十メートル、長さ五十メートルの川を一部掘り下げて広げたものであり、溜池の中には大小様々な魚が泳いでいる。

大きめの魚は一メートル位である。

上流側と下流側には、魚だけが通り抜けられる格子を設置していた。


姉マティーレを総司令官に紹介し、ここで働きたいとの事を伝えた。

「どうして此処で働きたいのですか?」

「此処には、ガイア様に愛さてる人が居るから安全です。料理も農作業もできます。」

総司令官は怪しい計算をした微笑みで承諾した。

“女の親切○○目当?”と、感じた。

その後総司令官はマティーレに料理のレシピと調味料を教えながら、語学力を付けていったとの事を伝えられた。

お蔭で毎日、温かな美味しい料理を頂ける様に成った。

そして、最も驚くことが起きた。

陸戦隊が森跡地に果樹園の造園と農作物の作付けをしたら、果樹は日に日に伸びてひと月位で大きく茂り、ふた月で花が咲いたのである。

麦、イモ類、に至ってはふた月で収穫出来た。

葉物野菜も半月ぐらいで、収穫出来るまでに育つ。

果樹園の花に妖精の様なハチドリが現れて蜜を吸い、果樹に巣を作った。

巣の形は卵柄で、大きさは幅四十センチ位である。

そして果樹園の花は連続絶え間なく咲き実を付けていく。


仮設外壁工事完成ひと月後位、作戦室に総司令官の呼び出しで出掛けた。

そこに、マティーレと総司令官が待っていた。

「マティーレの集落の人々を、ここに移住して頂く為に、マティーレと集落に行きます。ご了解ください。」

護衛とジープの運転を含め、トーマスと三人の隊員たちを付けた。

集落の生活は自給自足で、食糧はいつも不足がちの生活らしい。

おまけに、怪獣や猛獣が時折出没するのだとの事である。


そして、数度の会合で猫亜人と移住合意したとの連絡を受けた。

三百人予の移住である。

総司令官の手腕には驚かされた。

そして、三百人予の移住は無事に完了した。


外壁の外回りを巡回中に、総司令官からの無線が入った。

石切場に大型爬虫類が現れたと、監視衛星からの通信が入ったとの事である。

大型エアークラフトが用意され、隊員達五人と共に石切場へ向かった。

ティラノサウルス型の体系で、背中に三角の棘が並び、腰から尾にかけては鱗に覆われ、

尾の先には長い鋭い刃が三本生え出ている。

ティラノサウルス型の高さは十三メートルもあり、尾の先には長さ五メートルの刃を生やしていて、尾の鱗部位を加えると十メートル尾の怪物である。

近くを動き回る石運搬車両の厚さ十センチの荷台鋼鉄を、爪で一メートル位を切り裂いて、荷台鋼鉄ごと握りつぶしてしまう。

更にティラノサウルス型は、動き回る石を乗せた鉄製の無人運搬車両を赤く発動した尾で一振りして切断し、更に他の無人運搬車両は十メートルも飛ばされた。

エアークラフト搭載のレールガンで二十ミリの銃弾を打ち込んで見たが、全ての銃弾は跳ね返ってしまった。

二十センチレザー砲は、体を赤く染めただけで苦しがることは無かった。

トカゲモドキと違い、弱点を見つけられないのはやばい強敵だと感じた。

「これが、魔物か?」

誰も勝てないと言われた通りに、防御力は強いと思った。

エアークラフトに気づき、魔物は石を掴み取り、投げてきたがコントロールは余りいいとは言えなかった。

しかしながら頭は回るようである。

魔物は雄叫びを上げ、森の中へ入っていった。

その後二日三日の間隔で石切場近くに現れるようになり、石切作業が出来なくなった。


コーA.Iの協力で、衛星画像とエアークラフトから映した魔物の動きを仮想シミレーションプログラム作成してもらい、対魔物戦闘訓練を始めた。

立っている魔物に近寄る事はできないと判断し、転ばす作戦から進める事とした。

そんな訓練の中で猫亜人の長老たちが現れ、昔話として語りだした。

一万の軍勢で谷に追い込み、矢で目を潰す事ができので、谷の上から大石で頭も潰したが、

尾は何時までも動き続け為に、近寄る事が出来ずにいたら、しばらくの間に顔も目も復活したとの言い伝えを話した。

赤い石を取り出さなければ魔物は死なないと言い、魔物を倒す事が出来るのは魔物だけとも言った。

それが事実なら、いや事実だろう。

赤い石を取り出すのには尾を封じなければ、勝てないと悟らされた。

先ずは転ばす事、超熱弾丸で所構わず焼き、爆裂砲で頭も腕も足と尾までも千切り飛ばす。

コーA.Iにこの作戦で可能かどうか、シミレーションするよう伝えたら、うろこの部分はかなりの強度なので、爆裂砲だけでの攻撃で尾を千切り飛ばす事は、可能性が低いと返答された。

体全て凍りつかせ、動きを止める必要が有るのだが、液体窒素を三台有るポンプ車に搭載して稼働しても、巨体の魔物を凍らせるのに時間が掛かるので、いつ回復するか予想できないので、尾と下半身だけを凍らせる事が時間的にベストと答えた。

赤い石は、心臓の裏側で肋骨に守られているので、尾の動きが止まった時間内に、早く取り出す工夫しなければいけないだろうから、それを重点課題とした。

いろんなシミュレーションをして、陸戦隊だけでは無理であると判断して、航宙軍を加えての総動員戦術作戦が決まった。

ジープ二台に貫通超熱弾丸を撃てるレール砲、貫通爆裂砲積載の二台の装甲車と、航宙隊員に任せた三台の放水車に液体窒素を搭載し、其々運転手と射出を組ませた。

エアークラフトは操縦士が二人だけなので、二機それぞれにミサイルを装備しレール砲に爆裂弾丸と超熱弾丸を搭載し、空から攻撃する事にした。

コーA.Iは、それぞれに攻撃点に標準合わせる事と、攻撃手をサポートする事とした。

総司令官の操縦するエアークラフトには、俺とトーマス、ビリー’、ヤンが乗り、赤い石を取り出すこととした。

ビリーはエアークラフトから飛び降り、重力任せに肋骨沿いに肉を切り裂き、俺は切断された肉から肋骨を引きはがし易い様に、反対側の肉を削ぎ落とす。

トーマスは、飛び降りる勢いで肋骨を叩き切ると、俺が掴んでいる肋骨を外に蹴りだし、ヤンがかぎ爪を使い、赤い石を取り出す。

この間の時間を、少しでも早く終わらせることの訓練に明け暮れた。

 

 監視衛星から石切場近くの草原に魔物が現れたとの連絡があり、攻撃に向かった。

魔物は逃げ惑う三匹のダーホーを尾の先で両断し、それらを丸飲みしているが、矢張り尾刃の切れ味は鋭いようなので、一番危険部位だとの確認を航宙技官らに知らせて、慎重に攻撃するように伝達した。

二発のミサイル発射を合図に、成果を確認する為に全面攻撃を始めたが、然し魔物は無傷なのか仁王立ちのままである。

怒った魔物は一列前面に整然と並んだ陸戦隊に突進したが、陸戦隊は退散しながらも次の攻撃に備えUターンしている。

次の狙いは魔物の足元狙いなので、皆が訓練通りの動きで位置に向かっている。

魔物の右足が上がり、踏み込む直前に、

「今!」と、叫んだ。

爆裂弾丸とミサイルが、魔物の足元で炸裂し、五メートル位の穴ができたところへ、

魔物は踏み場をえぐられたために、踏み場がないので勢い激しく右側を下にして倒れた。

それを合図に、顔への攻撃が始まった。

超熱弾丸、爆裂弾丸、ミサイル、等の、集中攻撃である。

目と口から、爆裂の炎が噴き出し、十分間の攻撃が止んだ時は首から上の肉は削ぎ出され、表鈹だけが残っていた。

それでもなお尾刃は激しく周りを払っているので、尾の動きを止めるために放水車は激しく動く尾刃先が届くギリギリの距離で、尾の根元に液体窒素を掛けているが、尾刃の動きは所かまわずに周りの岩をも切り割っている。

魔物の左腕が上がり、脇がさらされたのをコーA.Iは見逃さなかった。

「左腕の脇に!爆裂弾丸と、ミサイルの集中攻撃!」

コーA.Iの声が聞こえた。

作戦にない行動命令であるが、しかしながら皆は脇がさらされたのを確認して素早く行動した。

岩に絡んだ尾の動きが弱く見えた時だったので、丁度ビリーの肩を叩く寸前だったが、コーA.Iの攻撃命令でビリーへの飛び降りる合図を停止した。

魔物の左腕が吹き飛んだ後に、赤い石を取り出す組の安全援護する為か、車輌組は車輌から飛び出して魔物の右手首腕の関節を攻撃し始めたのを確認して、ビリーの肩を叩くと、ビリーは頭から垂直降下して飛び出すと、心臓を庇っている肋骨沿いに刃を刺して、頭を下にしたままで落下しながら、ゴツゴツした怪物の出っ張った表皮を蹴りながら怪物の胸を無理やりに裂いて行った。

俺もビリーの裂いて行った骨の裏側の肉を裂く様に、刃を傷跡に沿って落下した。

トーマスが肋骨を切断したようで、骨を抱いていた俺の身体は骨ごと表皮の外へ出た。

血の雨が降り、上を向くとヤンとトーマスがかぎ爪を握ったまま落ちて来る。

俺は地上まで二メートル位の所でチェーンソーのスイッチを切り、トーマス達の落下に備え、骨をビリーの切り裂いた方へと傾けた。

ヤンは骨沿いの肉に刺さり、トーマスは外向きであったので、骨を突き出すように押したためか、内臓の内へ落ちた。

二人とも無事であったが、ただ魔物の心臓を破いた為に血のシャワーを浴びて、アーマーの隙間からしみ込んだ魔物の血で、下着までもが真っ赤であったとの事であった。

そして、赤い石は内臓深くに落ちていたが無事に取り出した。



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