上陸作戦
上陸地点を特定できたので、選抜隊員たちを決めて、偵察隊の降下は整えられた。
上陸作戦
上陸作戦
ジャンプが無事完了の知らせで、皆、一斉にシートベルトを外し、場を離れようとしているのを感じ、「番号」と呼びかけた。
皆が直立姿勢で、十一名全員順番にせわしなく数え立てたが、解散の声掛けでトーマスを除き皆一斉に駆け出していった。
トーマスに声をかけた。
「みんなどうしたの?」
「スクリーンに向かたのでしょう。興奮しているのか、不安なのか、怖いもの見たさなのか?」
「すべてを含んでいるのかも?」
「隊長、この後は、どちらへ。」
「上陸作戦の命令を、しなければならないだろうから。司令室で待機している。」
司令室の雰囲気を皆が知れるように、司令室へコーヒー三人分頼み、トーマスと分かれた。
司令室に入ると、艦長は推測を混ぜながら、コーA’Iと会話していた。
俺に気付くと にこやかな顔で、十五分程で青紫惑星の周回軌道に入ると、報告された。
「最適な上陸地点見つかりましたか?」
「候補は五か所ほど選定しましたが、他の候補地をダントツに超え、選定基準を80%超えた場所が見つかりました。」
コーA’Iの長い説明が始まった。
要約すると、
草食動物が多く、食料の確保がたやすい。
土壌が豊かで、植物性食料の生産が容易い。
近くに大河があり、更に上陸地点の傍には、広めの川も流れているので、飲み水と軽工業用水の確保がしやすい。
森林の脇なので、建築の材料確保がたやすい。
鉱物資源が、近くに多く点在的にある。
将来、銀河連合に帰る為に十万人都市を目指し、化学工業を発展させたいので、それの安全のための壁に必要な岩山がある。
ほかに戦略的な発言がなされたので、艦長に確認することにした。
「戦略的に多数の人口を確保すると、聞き取れたのですが?」
「救助を待つだけでは希望が持てません、科学を発展させ、帰還する努力も必要です。」
「で、この星を占領すると?」
「占領でなく、星座連合に併合です。法的にも認められた行動です。」
「併合には、相手の同意が必要では?」
「戦略、戦術を使う必要がありましたら、使って下さい。」
「併合した後は?」
「教育を充実させ、知識を与えます。そうする事で化学工場力をつけます。」
「ヒューマン似に、それが可能と?」
「コーA’Iは可能だと、断言しました。」
「コーA’Iは信用できると?」
「コーA’Iは、多数の戦略を立て、帰還出来る可能性を探しているのです。」
「戦略的な作戦計画は任せるが、誰一人犠牲者を出さないよう、戦術は私が指揮を執る。」
頭脳明晰なマーガレット司令官の印象は、【先見の明】を持つ人のようである。
俺は銀河連合に帰る為の事など、何一つ考えたことがなかった。
ましてや、工業力などと俺には考え等々及ばない。
矢張り、マーガレット‘パラベシーノ司令官を総司令官に任命し、自分はただの陸戦隊司令官で、現場の指揮をしていた方が似合っているようである。
命令系統が統一しないだろうから、提督代理は象徴にしないといけないだろう。
「マーガレット‘パラベシーノ司令官を総司令官に任命する。受理できるか?」
「拝命しました。して閣下の立場は?」
「陸戦隊司令官そのままにして、提督代理は象徴にしたい。」
「形象と外交用だけと。」
「そうだ。戦略的発動は総司令官から命令してくれ。」
「ありがとうございます!精神精鋭頑張ります!」
「コーA’I、総司令官の辞令を全員に発表してくれ。」
「お待たせ、コーヒーと紅茶です。総司令官殿は紅茶、われらが司令官にはコーヒー。航宙技官殿にはコーヒー。」
緊張感漂う場に脳筋娘が入ってきたので、俺の下心である現場専従を見越されたとしても、それ以上の追及を代わせたことで、現場に専念できることに安堵した。
ようやく、コーヒーが届き眼下に見える街を眺めると、四角い壁の中央にあるキンキら建物から、煙があがっている原因は、眼下は乱世中だと確認できた。
司令室を後にして、自室のベッドに横になり、そのまま寝いった。
マーガレット司令官を総司令官に任命したことで、肩の荷を少し下したためか、帰還の可能性がある思ったためか、すっきりと目覚めた。
シャワー室に入り、思いっ切り頭からお湯を浴びた。
非常事態宣言以降は遠慮していたが、今日は遠慮なく流すつもりになった。
軽めの携帯食料とコーヒーで朝食とるが、インスタントコーヒーながらも、いい香りはする。
今後の展望を思いめぐらしながら、前線基地確保に向けての案をめぐらした。
戦略作戦によるが、偵察と前線基地確保が主なる任務になるだろう。
安全のためには、偵察と前線基地確保は別作戦で行い、情報の少ない同時進行は危険性が高い為に、先に精鋭にて偵察し、前線基地予定地が安全ならば、偵察隊がその地域を確保したのち、すぐさま陸戦隊全員による防御確保体制のち、輸送艦着陸に備えなければならない。
司令室入ると総司令官はいないが、透明な強化壁から夜の青紫惑星に目を向けると、夜の灯は見えないが、所々に街と思しき所で火事らしき明かりが見えるのは、青紫惑星はやはり戦国時代なのだろうかと再思案させられる。
「おはようございます!閣下」
閣下との呼び名は、止める様に申し出たが、今後は補佐として振る舞いたいと、申し渡された訳は軍事作戦中であり、軍隊の維持と規律、序列に基づいていると、総司令官殿に忠告された。。
「私は補佐として徹しなければなりません。特にこれからは、軍隊を作り、国を興す必要があります。」
総司令官の主張は現在軍事作戦中であり、今後のためにも規律と序列は軍隊を維持する為にも必要であり、軍隊の基づくことだと改めて強調された。
俺の任務は、前線だけにいたいと思う心を、矢張り見透かされていたようである。
「これからの作戦は、決まりましたか?」
と、言って、それ以上の議論から逃げた。
やはり、輸送艦の着地区の確保が目的で、前哨戦設定は偵察と前線基地確保にある旨を伝えられた。
「五名の強行偵察隊を選抜します。その後は前線基地確保に、残り七名の陸戦隊を降下させて下さい。」
「降下させて下さい。とは、閣下も偵察隊として行かれると。」
「安全率を高める為には必要であり、司令官であるが隊長でもあります。」
「了解です。二十四時間後、住居用脱出ポットで、降下していただきます。」
陸戦隊全員を集め、今後の作戦を説明し、
トーマス’ワシントン上級陸戦曹長
ビリー’ホワイト一等陸曹、
ヤン’リン一等陸曹、
ポール’ジャイアント三等陸曹等を強行偵察隊に選抜した。
トーマスに調理一式、焼き肉二セット、食器は各自で用意し、細胞及び土壌調査感知器、
レーザーガンは各自携帯、小型レールガン砲三門、火炎放射器一門、防護アーマー着用して戦闘態勢装備にて、二十四時間後に降下する事を伝えた。
「キャンプですか?あたしも行きたい。」
ムキムキ娘が甲高い声で叫んだので、皆が爆笑して緊張していた顔がなごんだ。
俺には矢張りこのメンバーと行動するのが、精神状態がよろしいと確認した。