特別緊急異常事態宣言
宇宙区間において、現在地不明であるが、生存可能な惑星を見つけ出して、生存できそうな希望が見えてきた。
特別緊急異常事態宣言
答えは、出ている。
しかしながら、決断がつかない悩みに入っている。
現在の作戦は失敗であり、作戦継続は不可能である。
20名もの命の確保は絶対であるが、進める距離は星座引力を使って燃料節約に努めても、60光年までである。
目的点のないワープなど論外である。
生き残るには、救助待つ生存可能な星を見つけることが基あるが、生存可能な星を探すために探査船を出す事は、目的地進行作戦中止の命令がなければならない。
現時点での中止命令は、アーロ星にいる総督だけである。
現場での作戦変更は現在の作戦中止命令を受け、新しい作戦行動命令を承れなければならない。
作戦発動や中止の権利者は、現地区の総督だけである。
現在、特別緊急異常事態宣言を出せるのは、現状艦長代理の私である。
特別緊急異常事態宣言が出たとき、階級が上位にあるものが、その地区の司令官であり、本部から総督が指名されてない地区だと、複数の司令官がいた場合、上位にあたる者が
自動的に総督代理になる。
司令官資格者は、航宙軍においては私であり、陸戦軍は鹿島上級陸戦三等陸佐で、
どちらも司令官の資格はある。
そして、司令官は総督代理となるが、私と鹿島上級陸戦三等陸佐の階級は同じであるが、上任者は鹿島上級陸戦三等陸佐であり、鹿島上級陸戦三等陸佐が資格者である。
「シーラー’カンス陸士長入ります。」
司令室入り口にエプロンドレス姿のモーレツ娘がいる。
「あら、どうしたの?」
「差し入れで~す。コーヒー、紅茶、マテ茶どれになさいますか?」
「紅茶」
「ミルクとレモンどちら?」
「レモン」
シーラーは、大きな保温機能付ポットを抱えている。
「おいしいわ~」
「でしょう。うちのひょっとこ陸士、コーヒー店でアルバイトしていたから。」
「大きなポットだけど、みんなにの分?」
「勿論、許可いただきたいのですが?」
「もちろん、お願いしたいわ。すごく張り切っているはね。」
「うちの隊には、いい男がいないので、航宙軍に私好みの良い男がいましたので、
唾つけていい星見つけたら二人で降りていきます。」
シーラーは航宙技官にコーヒーを給いで、せわしくスケボー操り、通路の角から消えていった。
帰還絶望的なのに、シーラーの軽くて楽天な考えにうらやましさを感じた。
シーラーに刺激され、あまり深く考えないで、気楽に行動してみることにした。
「リカー、鹿島陸佐を、第一会議室へ呼んで。」
艦長代理より帰還絶望との説明があり、隊員たちの推測は、正しかったことを確認する羽目となった。
「座標確認の為、五千万年光年先まで調査したのは、理解しました。常に星座は移動していると、学んだ記憶があります。その為に座標軸は常に不安定性なのでは?」
「共動距離のことですね、それも計測済です。座標計測技官とリカーで、100%信頼できます。一つの座標に対し、20回以上シミレーションしました。」
「すみません。疑うわけでなく、希望の糸を掴みたかったもので。」
「解ります。私も何度も計算し直すように、要求しました。」
「救助要請は、どのように?」
「現在地不明では、救助要請弾丸は、打てません。そこで相談です。」
「できる相談であれば、乗ります。」
「特別緊急異常事態宣言です。」
「現在の作戦変更のためと、理解してよいのですか?」
「それが一番の、目的です。」
「理由では?なく。」
「理由は全員の命です。」
「特別緊急異常事態宣言の発令者は、私ですか?貴官ですか?それとも他の人ですか?」
「わたしです。」
「救助後、特別緊急異常事態宣言の発令者は、現在の作戦関係者の査問会議をきり抜けられないと、特別軍法裁判になると思いますが?」
「覚悟しています。」
「私が発令者でも構いませんが?」
「陸佐が全員の上位者でも、航宙軍艦内で特別緊急異常事態宣言発令なさいますと、陸戦隊のクーデターと記録されます。」
「では査問会議では、最悪の事態にならないよう、全身で弁護します。」
「その時はよろしくお願いします。当てにしています。」
発令後、緊張が解けたのか、体が軽い。
鹿島提督代理に司令官席を譲ったが、彼は一度も使用したことがないし、あまり指令室に現れない。
輸送物資が自由に使える事で、陸戦隊から連絡通信が全くなくなり、少し寂しさも感じる。
25個の惑星探査機は30%前後だと、12か所発見したが未だに、90%以上の生存可能な惑星を見つけきれない。
あと60万年光年内に、見つかることを祈るばかりだ。
「お飲み物とケーキ如何ですか?」
モーレツ娘の晴れやかな声に、思わず苦笑いした。
二人だけの女子会では、ケーキ作成会を立ち上げたが、これがなかなか難しい、スポンジの部分が均等に膨らまないのである。
ケーキに目をやると、丸い30センチ位一個を、8等分にカットしてあるが、それとは別にスポンジが凹んだ一切れが小皿に乗っている。
「あ、わたしに二個?」
「違います。私のです。レーダー技官室でお茶会です。」
レーダー技官マークは、座標計測技官でもある。
この艦の乗務員は、二つ以上の技官資格者が多い。
「今この艦では、休む暇もない位、彼が一番忙しいでしょう?」
「そう、毎日電卓を叩いて、頭の中が心配で見守っているの。前艦長みたいになったら嫌ですもの。自分で計算しないでリカーに聞けばよいのに、私だったらそうするわ。」
「リカーは軍用だから、難しい計算は無理、固まってしまう。」
「じゃ~。インターネットプログラムから、教育用タブレットをダウンロードしてしては?わたしいつも利用しているわ。」
衝撃的と表現出来る、天命を受けた。
まだ可能性はある。
「マーク技官、グレン技官!第2格納室へ。」
忘れていた。輸送品の中に、S,S,Sのコンピューターがあたったのだ。
「今、計算中だが!」
「捨おけ!」
「グレン了解です。」
「提督!緊急案件です。陸戦隊全員第2格納室へお願いします!」
「装備は?」
「輸送品の荷ほどきです。」
「すぐ向かいます。」
グレイコンピューター技官は、パブレットを見ながら、
「凄い、教育用スリーS、最新型!低学年から大学院研究専門科用。企業の特許盗み放題できる位の銀河連合すべての知識が入っていますよ。惑星いや、銀河システムコンピューター並以上だ。プログラマーはミスター’小柴!これはもう凄いですね。」
「リカーIC,に接続できるかしら、軍用だとセキュリティーは万全だろうが、短時間でできますか?」
「Ⅿ’r小柴のプログラムされたICなら十分でO'Kでしょう。同化するのでなく、吸収してしまうでしょうが。」
「座標の計算出来るのですか?」
「細かいことは分からないが、知識は全て可と出ています。」
しかしながら、マークとグレン達協同作業の甲斐なく、座標は見付られなかった。
「リカー、探査機の状態及び連絡は?」
「、、、、、、、、、、、、、、」
「リカー、」
「教育補佐プログラムAIを、お呼びでしょうか?」
「AIどういう事?」
「私は、リカー、ではありません。」
「じゃ~。リカー、二世?」
「、、、、、、、、、、、、」
「どんなのが好み。」
「できれば、私のプログラマーから~」
「小柴、コー」
「コー、すばらしい、いい名です。」
「座標が見つからなかったと。」
「見つからないと思います。」
「何故」
「推測ですが、世界が違うと思います。座標が見つからない原因を調べると、ワープ中の映像から、輸送艦はあなたの世界の光線上から外れ、時間さえも何もない空間を真っ直ぐに飛び、この世界の光線上で止まったと思えます。仮説の理論となら発表できます。検証してみますか?」
「今はいい。探査機の状態及び連絡は?」
「探査結果の再見直しで、不可と判断された惑星でしたが、98%生存可能と思われる惑星を見つけました。」
「なぜ不可と判断したのだ?」
「大気中に、未知なるエネルギーが感知されため、大気分析中に正確なデータを阻害したようです。」
「その惑星の映像出せる?」
スクリーンに、青紫の色の惑星が映しだされた。
「生命エネルギーの感知ありますか。」
「近くの探査機を、惑星軌道上に配置すれば、生命エネルギーの調査は可能です。」
「優先的に調査して。」
優秀なのか、I'C的には離脱しているような?感情があるような?それでAI?”
「航宙技官、左45度下方1度、出力同じ5%、前進。」
コーのことを考えると、まとまらない複雑な気持ちで、仮眠をとることにした。
「艦長、探査目的の惑星は、生存率可能型惑星です。生存可能95%、生命エネルギー多数。」
コーAIに起こされ、ベッドから跳ね起きた。
「コーAI詳しく報告。探査機十機を周回軌道での調査可能に設定せよ。一機降下し大気調査。」
絶望的闇の中、光陽がさした。
「もう悪いことは起きない。ついている。」
指令室に向かいながら、期待に顔のほてりを感じ、気持ちと共に身体は足早に進んでいた。
今、誰かと一緒に歓声を上げたい気持ちになった。
気持ちを落ち着かせようと、深呼吸をして艦長席についた。
「コーAI生存率可能型惑星の七千㎞手前を目的点にして、座標軸を探し座標設定せよ。併せて、目的点の方向角度調整を航宙技官に伝えよ。」
「前方、左六㎜、下方三㎜に調整。距離四十九万光年。」
「航宙技官、目的点方向に出力二十%で、前進。」
陸戦隊員たちは、対敵戦闘マシーンに、喜々ようようしている。
不安を取り払うような、がむしゃらな攻撃訓練だ。
皆不安だろうが、誰も口に出さない。
たまに、ムキムキ娘がいなくなり、その後でケーキの差し入れがあるので、みな気にしなくなった。
「総督、司令室へお越しください。」
艦長の高揚した声で、対敵戦闘マシーンから離れて対敵防護服を脱いでいると、隊員たち全員が無言で周りに集まった。
トーマスにタブレット渡し、
「生存可能な惑星を見つけたら、連絡する。上陸作戦に必要な物のリストを作成してくれ。」
みんなが。ガッツポーズを決めている。
「まだ、準非常事態中なのです、気引き締めていてください。」
と告げて、その場を後にした。
また、ステップ足になりそうな気持を抑え、通路を左側に曲がると、通路奥の指令室に出迎え体制の艦長は、笑顔と直立姿勢で待っているが、艦長はそのままの体制から、ジャンプしたとしても不自然さはないにこやかな顔である。
分かりやすい表情は、情緒豊かな心の性格だろう。
司令官席を進められて着席すると艦長は横に立ち、前方スクリーンに青紫の惑星が映し出されると、この星ですといった。
「コーAI。提督に生存可能な惑星の説明をして。」
「生存可能95%惑星、距離四十九万光年先、大気分析結果、生存率可能型惑星で、
気圧80窒素70%酸素28%他2%、地軸角度五度、気候は、赤道付近は熱帯性で、極地付近の寒冷地を除き、75~80%は温暖気候です。続けてよろしいですか?」
退屈な気持ちを、コンピューターに見抜かれたように感じがしたので慌てて、
「危険性生物は、居るのですか。」
「どの基準から、危険と判断しますか?生物の進化は周りからの危険を防衛するためです。」
「主な生命体、割合辺りを。」
俺とコーA’Iのかみ合わない会話に、業を煮やして艦長が割り込んできた。
「ヒューマン似と、爬虫類種の説明を。」
コーA'Iの説明から、ヒューマン類似においては、十五億前後で、ほとんどの人類似は、強固な壁の中で生活している。
生活は、農業が主体で、鉄加工は手作業で戦用が主であるらしく、まだ工業化はされてない。
人類似は五千万位の集団グループに分かれて、戦いあっている状態らしい。
銅貨、銀貨、金貨が主な貨幣で、流通は発展している。
文字はあり、動物の皮を用いた書籍もあるが紙はない。
姿は同じ人類に見えるが、顔立ちが若干違うものもいる。
平均身長は165センチ前後。
爬虫類に置いては、十五~七メートル前後の大型爬虫類は八千万頭前後、七メートル以下の中型爬虫類は二五億頭前後、三メートル以下数の判断は計測不能。
スクリーンに映し出される、人間顔、耳長種人間似顔、猫顔、に驚いた。
爬虫類と聞いてトカゲモドキかと思ったが、恐竜型で大型爬虫類はティラノサウルスそっくりの恐竜である。
映像からの動き方は、トカゲモドキ以下である。
頭の中は長い説明に飽和状態であるので簡単に説明してほしい。
三時間の説明は、長すぎる。マジで提督を辞退したいと思いう。
長い説明の後、艦長はコーA’Iに言語の取得方法、コミニケション、政治体制他、細かく質問を繰り返していた。
探査作戦完了を宣言し、青紫色の惑星へ周回軌道上作戦発動を艦長に伝え、ジャンプ時間を知らせるよう命令して、ふらついた足取りで司令室を退出した。
小ホール室に肩を落としながら入ると、皆はうつぶせ寝している。
「どうしたみんな、何があった。」
ムキムキ娘が、手を挙げて、
「わかるように説明して!」
情報共有の為に映像をオープンにしていたが、陸戦隊には理解できにくい専門的な知識を持つコーA.Iの説明では、余計に混乱したようである。
ヒューマン似がたくさんいて、戦争をしている。
大きな恐竜が、闊歩している。
森林は陸地の80%占めている。
海は惑星表皮の65%である。
鉱物は、豊富で地面から十メート前後のとこが多い。
説明は簡単に済ませた、それだけで隊員たち全員が、理解したようである。
わが隊は、俺を含めて脳筋ぞろいらしい。
ひょうきん者のホルヘ‘ゴンザレス陸士は、
「トカゲはすべて駆除しましょう。」
と言って、調理室へ向かった。
調理室から、コーヒーの匂いが漂うと、陸士達がカップを全員の前へ置いていき、ホルヘが皆に給仕してまわった。
コーヒーの香りを楽しんでいると、艦長からの、ジャンプ時間帯27分間も付け加えられて、60分後のジャンプ予定を知らせてきた。