再対戦カントリ国
再対戦カントリ国
商人風な、なりをした火の国の戦士等と別れて、元来た跡をたどりながら、元陸戦隊がキャルドを倒した辺りで、迎えのエアークラフトが現れてたので、絶命したキャルドを捨てておくわけにもいかず、七百キロはあると思われる十二頭をエアークラフトに乗せるのは無理と判断して、乗せられる肉と皮だけを持ち帰ることにして、残り大半の身はすべて炭になるまで焼き尽くしながら、焼けた肉で朝食にした。
エアークラフトで移動中に、運営委員会から連絡を受けた内容は、サンビチョ州の国境沿いに二万のカントリ国軍が集結中であるらしい。
農奴と奴隷の開放は必要であるが、、運営委員会としてはカントリ国を併合したくない希望も伝えられたその訳は、明確な理由があった。
カントリ国の独特の恨文化であり、恨を持つことで常に被害者であるという理屈である。
五百年前に猫亜人の好意を逆手に取り、支配したが逃げ出された挙句に何とかカントリ国を建国できたが、猫亜人への恨みとそれ以前までは大陸の半分を支配していたのに、自國人に追い出された支配者層の怨みが、自分の不幸は猫亜人と自分らを追い出した國人のせいにする恨となって、いまも恨だけを引きずりながら周りを混乱させている状態を、運営委員会は恨と向き合いたくないのである。
恨をほぐす努力をさせても、その説得者に新たな恨を発生させるので、長い時間をかけて引きずってる恨を、自主的に解消させるしかないが、恨につける薬が欲しいのだが有れば欲しいものである。
間違った行動をしても、自主正当性を周りの恨に頼って、それが正しいと思われるまで嘘を続けるようなので、やっかいなカントリ国風土である。
運営委員会はそんなカントリ国には、関わりたくないのが本音であろう。
エアークラフト内は急遽作戦室となり、カントリ国との戦争に備えて、元陸戦隊ビリー教育将校をサンビチョ州方面司令官に任命し騎馬隊とエミュー隊のエルフ戦士三千兵とサンビチョ州兵三万に加えてヒット州兵二万の指揮をさせたうえに、
元陸戦隊トーマス元帥に二名の副教育参謀少将除いた、残りをサンビチョ州方面副司令官に任命して、各兵団の参謀兼任するよう併せて任命した。
トーマス元帥と二名の副教育参謀少将には、トロンボ州兵とゲルググ州兵六万を指揮して、キョクトウ君陣営に賛同してきた兵と、大蛇丸配下である神降臨街兵とを加えた、ムー帝国打倒を目指す旗印のキョクトウ君を補佐する様に指令を出した。
各州兵にとっては、これまでの経過から、ムー帝国とカントリ国に対しては復讐戦を含んでの戦いであるために、かなりの犠牲者が出るだろうと思ってしまう戦いであるので、万全の用意をするように指令を出した
神降臨街に着いたそのままに、キョクトウ君を加えた全体作戦案を披露して、眠気の気配なくサンビチョ州方面ビリー司令官は、カントリ国と戦うために、装備の手配をして軍勢を整えて、機動車輌と騎馬隊の三八式歩兵銃を携えてたエルフ戦士三千を従えて軍旅した。
何故か聖騎士団メイディ法務長官も、三百のエミューに乗った聖騎士団を従えて後を追っていくが、追いつけないであろう。
マーガレットの住居となった特別高級VIP室に向かい、チャイムを押すとマーガレットは、ドアを開けるなり抱き付いてきた。
居間の方から、複数の笑い声が聞こえるので、居間に入ると来客がすでにいた。
マティーレと手伝いの猫娘たちに混ざり、見たことのない子供がいるので、
「どこの子供です?」
と尋ねると、
「一万年老樹霊です。」
と、答えた。
一万年老樹霊はコスプレ姿で十歳位の年齢に変身していた。
こんな姿で怪しげな稼ぎ方をしてたのかと思い、社会的に許されないだろうと怒りがこみ上げてきたが、
「これは特別に今日からです。」
と、一万年老樹霊は俺の感情に気づいたのか、何の兆候ないのに俺の怒りを否定してきた。
「私たちの子供と一緒に成長したいので、この姿での許可をもらいたいと訪れたのよ。」
と、マーガレットはおどけ笑いをした。
俺たちの子供を守るとの約束を、果たそうとしてるらしいが、社会的責任が頭をよぎり、複雑な気持ちである。
「老樹霊は、男でも女でもない無性だと、初めて知ったわ。それに、いろんな感情はあるのに、恋する感情だけが理解できないようなの。」
と、マティーレもおどけた声を出した。
「子供の物心がつくまでは女の子で、それから先は男の子になるそうです。」
と、マーガレットは笑い出した。
何が可笑しいのかわからないが、一万年老樹霊の精いっぱいの取引だろうと理解した。
朝起きて、白いご飯に久々の和食定番の焼き魚にほほう鶏の目玉焼きである。
「子供の名前が決まりました。私の子供は節です。あなたがガイア様に呼ばれた、礼、信、節、義から選びました。」
「俺に相談なく決めたのですか?」
「あなたに任せていても決めきれないでしょう。」
確かにかなり前から催促されていたが、決めかねていたのであった。
コーA.Iから通信が入り、ヒット州知事ミクタの二万の軍がサンビチョ州に入った辺りで、
監視衛星がカントリ国の遊撃隊と思われる三千からなる国境を超える軍を発見して、ヒット州知事ミクタに知らせたところ、攻撃したいとのことで許可を願いたいと、サンビチョ州方面司令官に連絡して許可をいただき、ヒット州兵はサンビチョ州側に陣を築いています。
カントリ国から見て、手薄と思ったヒット州側傍からの侵入を試みての事だろう。
スクリーンに映し出された、ヒット州軍の鶴翼迎撃態勢陣構えでいるのは、知事ミクタの采配のすばらしさを見た思いである。
「この大陸での戦いは、前面展開打撃戦だけと思っていたが、知事ミクタの采配のすばらしさですね。」
「私のシミュレーションでは、この戦い方が最適と出ました。」
確かに、大砲を前面に配置して、二千丁の村田銃を持った兵で迎え撃ち、側面からは伏兵にした槍と剣部隊配置は、火器類に精通してないと思い浮かばないだろう。
ミクタ知事はコーA.Iによく相談するとは聞いていたが、戦術までも相談するとは、驚きである。
ヘレニズとトマトマとの戦い前のシミュレーション訓練のとき、コーA.Iとミクタ知事同士が組んで、亜人協力国と戦った時に、ミクタ知事はコーA.Iをほめちぎっていた様に思えた。
カントリ国兵はミクタ知事軍の伏兵に気づくことなく、二千丁の村田銃を持った兵に向かって、密集して楯を持った前面展開打撃戦で鶴翼陣形の中へ進んでくる。
ミクタ知事軍の村田銃火器の強さを知っていたならば、攻め方は違っていただろうが、知らないので仕方のないことだろう。
カントリ国兵はミクタ知事軍の伏兵に気づくことなく、鶴翼陣形の中入ってしまったところで、大砲と三八式歩兵銃が一斉に火を噴いた。
カントリ国兵の楯は用をなさずに、砲弾と弾丸の前では無力の物であった。
砲撃がやむと、側面の伏兵は槍と剣で突進して、カントリ国兵の後方と側面に攻撃しだした。
二千丁の三八式歩兵銃には長い銃剣が装備されていて、槍と剣の役割をしている。
カントリ国軍とミクタ知事軍の魔物の表皮楯と槍と剣にも差があるうえに、更に圧倒的な兵の数において、ミクタ知事軍の一方的な攻撃である。
数十分の戦いは終わったが、カントリ国兵の生存者はいないであろう。
ミクタ知事軍の容赦ない攻撃は、この大陸では当たり前の事であるし、我々銀河連合軍においても、トカゲモドキも蟲も捕虜にしないで殺してしまうし、トカゲモドキも蟲も我々を捕虜にしないで、餌にするのは、どちらも戦う前の優劣は関係なく、同じ対等な殲滅戦である。
サンビチョ王都での捕虜確保は、シーラー教育参謀中将の銀河連合結成前における戦いにおいて、捕虜人権保護の歴史的良心であったが、他の銀河連合者にとっても人間との戦いは、本心は苦悩であるはずだろうが、個人の尊厳を大義名分として戦い、戦いが終われば何時か故郷に帰れる希望を、胸の片隅に閉まって戦っている事だろう。
今日はマーガレットの操縦でエアークラフトに乗り込み、パトラの弓で赤い矢をスケジュ皇帝の兜を射的予定である。
眼下には、スケジュ皇帝の打倒を目指す旗印のキョクトウ君は、キョクトウ君陣営に賛同してきた兵と、大蛇丸配下である三八式歩兵銃を装備したエミュー隊千名に、エミューに引かせた大砲六十門と、神降臨街屯田兵とを加えた五千の軍を率いて進んでいる。
キョクトウ君を補佐する様に指令を出したトーマス元帥と二名の副教育参謀少将は、機動車輌にレール砲を搭載して、火炎放射器搭載軽車両十台を引き連れて、トロンボ州兵とゲルググ州兵の合流地点を目指していた。
マーガレットの操縦でエアークラフトは、ムー帝国宮殿を眼下に見据えながら、スケジュ皇帝が姿を現すのを待つために、宮殿上空を旋回しながら待つことにした。
宮殿前の広場と凱旋門までかなりの兵が集結していただけでなく、城壁外の兵を合わせると十万はいるだろう。
宮殿のベランダに大将軍トローチと甲冑姿の評議員が揃って姿を現したと、コーA.Iから連絡が入った。
我らもエアークラフトで午前十時の太陽の輝きの中心で待機した。
宮殿前の広場と凱旋門までいる兵の歓声が轟くと、大きな日傘に身を隠すように重甲冑姿のスケジュ皇帝が現れたが、ベランダの手すりまでは進んでこない。
スケジュ皇帝は赤い矢を恐れているようで、陽射しを避ける様に大きな日傘に身を隠したままである。
スケジュ皇帝がベランダにて、慣例通りの軍を鼓舞する演説を行わないことで、兵の動揺するざわめきが起きだした。
大将軍トローチは兵の動揺を鎮める為に自ら演説を始めた。
パトラは、一つの弓に赤い矢を二本添えて、エアークラフトのドアを目いっぱい開けた状態の前で、仁王立ちして二本の赤い矢を弦からはなした。
二本の赤い矢は、大将軍トローチとスケジュ皇帝の兜を射抜き、兜ごと窓木枠に刺さった。
大将軍トローチとスケジュ皇帝の頭つむじ真ん中髪の毛は、無残にも鏃により頭皮ごと剥されていた。
周りの驚き声に、大将軍トローチとスケジュ皇帝は何が起きたのか理解できずにいたが、
つむじと額の冷たさに気付き額に手を当てると、指先は血に染められていた。
二人は卒倒してしまったようで、周りの護衛兵により運ばれて、ベランダから居なくなり、宮殿前の広場と凱旋門まで続いている兵の動揺したかなりの唸り声が、エアークラフトまで響いてきた。
パトラの弓の腕は当たれと念じるとはいえ、神業だと思いながら敵に回さないで良かったと思い、エルフ種族と共に亜人協力国を興してくれたマーガレットにも感謝した。
パトラとマーガレットは、エアークラフトのスクリーンに映った大将軍トローチとスケジュ皇帝のつむじを確認して、
「パトラ。やればできるじゃん。」
「エルフ族においては、これぐらいできないと族長ではないよ。」
と、パトラは鼻高々である。
流石に百八十年の貫禄であるが、近頃は俺と共に赤い微粒子の集め方も覚えてきたようで、てんこ盛りとはいかないが、手のひら一面に赤い微粒子を集めきれるようになっていた。
突然パトラは俺の腕を握りしめて、
「元豊潤の森と、紅葉の森に、緑豊かな森の耳長族長たちにより、子供たちの名前が決まりました。ガイア様の【礼、信、節、義、持つものよ、世に平和と安泰を】の言葉から、
信は閣下だし、節はマーガレットの子供だから、女の子は礼で、男の子は義に決まりました。つぎの子供は、平和と安泰らしいです。」
勝手に俺の許可なしに決まったようであるが、喜ばないわけにいかないので、
「いい名前だけれど、次の子供って何?」
「あたしたちにもわからないけど、二万老樹霊はそう言っていたわ。」
「いい知らせだから、久しぶりに酒を飲みたいが、ジュースにしよう。」
四日夜の儀とマーガレットの誕生日以降は、決して酒をもまないと誓っているので、
寂しいけれどもジュースにせざるを得ないと思った。
「大丈夫よー。三人で飲み明かしましょう。」
「今は軍事行動中なので、まずいと思う」
「みんなに任せておけば、すべてうまくいきます」
「そうです。閣下は自分で行動したがりです。」
その夜はトーマスの妻ジャネックに脳筋娘と老樹霊たちを交えて、女子会が開かれた中に、ジュース片手に一人聞き役になりながら、一晩中付き合いさせられた。
リアルタイムで送られるタブレットパソコンには、サンビチョ州での戦いにおいて、サンビチョ州で二番目に大きな二重城壁のある丘の砦街は、既にカントリ国に攻撃されていた。
街を守る城壁は二重だけど、土壁だけの貧弱で魔獣と猛獣の対策しかなく、丘の砦街住民は皆、五千の守備隊がまもる奥の砦に避難民しているようである。
街を守る外側土壁城壁は、二万のカントリ国に三度目の攻撃で一ヶ所のほころびが出て、守備隊は奥の砦の中に逃げ込んだ。
奥の壁も土壁であるが、厚さと高さは街を守る外側土壁城壁よりはましであり、二日後に着く予定の援軍が来るまでは何とか耐えきって欲しいものである。
女子会は終わってるようで、パトラを起こさないように静かにベッドからすり抜けると、皆はあちらこちらで毛布の中に転がっている。
仕方がないので、誰も居ない台所の隅でタブレットパソコンを開いて、戦場の状況を確認した。
砦の丘街の攻防戦は一晩中続いているようで、それでも砦兵は活発な動き方で攻撃を防いでいる。
ビリー司令官と二名の教育参謀中将に副参謀一人は、レール砲を搭載した高機動車輌二台と共に、エルフ戦士騎馬隊を伴い、遅れているエミュー隊を引き連れながら、砦の丘街までは一時間で着く区距離まで迫っていた。
ビリー司令官と教育参謀達は、キョクトウ君救出後からの行動を推測して、まだ一日後でないと着かない予定のはずが、いつ睡眠をとっていたのかが気がかりな強行前進である。
コーA.Iに砦の丘街の指揮官をズームアップしてもらい、しばらく観察することにした。
砦の丘街の指揮官は、宿舎の屋根に指揮番所を設けており、四方の状況を常に観察しているようで、四人の手旗信号操者をせわしなく動かしていた。
手旗信号操者のことをコーA.Iに尋ねると、古い教育参考映像では映し出したが、活用方法としては説明しなかったし、この惑星で手旗信号操者をみるのは、コーA.Iも初めて見る光景だといった。
コーA.Iに手旗信号を解析するように指示して、内容を知らせるようにさらに指示した。
コーA.Iの手旗信号解析が判明したとの連絡で、手旗信号操者の動きをズームアップしながら、信号の文字を表示しだした。
カントリ国の攻撃が弱まったところの守備隊には、
「順番に休んで、食事をしろ」
と伝えている。
苛烈に攻撃されている所には、予備の兵をまわしているようで、予備と思われる兵は常に動き回り、予備配属先の兵が不足すると、そこに移動して待機するようであり、連続で守備するのではなく、常に守備兵の入れ替えを行いながら、砦を守っているようである。
一点突破しようとカントリ国の兵は攻め立てているが、砦の丘街の指揮官はそこに次々と予備兵を増強して、相手が攻めあぐむと守備兵も減らしている。
会ってみたい砦の丘街指揮官である。
砦の丘街の救援に駆け付けたビリー司令官等は、コーA.Iの砦の丘街の救援は必要ないとの助言により、攻撃目標をカントリ国の本隊と本陣への攻撃に切り替えたようで、映像配信はレール砲から発射された爆発群を映し出した。
カントリ国の本隊と本陣は突然の爆裂で混乱している。
一秒間に十発の初めて体験する爆裂弾丸では逃げ惑うだけで、状況を理解するのは困難であろう。
本陣跡にエルフ戦士騎馬隊が到着してるが、生存者はいないようであると通信が入った。
エルフ戦士騎馬隊は逃げ去るカントリ国兵にかまわずに、砦の丘街を取り囲んでいる兵団にむかっていく。
レール砲から発射された爆裂弾丸は、逃げ去る群を壊滅するかのように、大きな群を選別して攻撃している。
エミュー隊も騎馬隊に合流して、包囲軍を背後から攻撃し始めたようで、包囲軍は攻撃の薄いところから零れる様に逃げ出している。
カントリ国兵の攻撃が止むと、砦の守備隊と住民が各門から次々出て来て、エルフ戦士の攻撃から逃げ惑う包囲軍のカントリ国兵を追いかけている。
住民はカントリ国兵の落とした剣や槍を拾って、逃げ惑う兵や戦意喪失した兵にも攻撃している。
やはり捕虜交換事件をみんなが知っているようで、情け容赦なく攻撃しているのは、約束をほごにしたカントリ国の払う大きな犠牲の責任は重いのである。
累々と横たわっているカントリ国兵の数は、一万以上であろうが、カントリ国ハラグ王
と思しき遺体は見つからなかった。
コーA.Iに戦闘時のナビ映像を確認してもらうと、ハラグ王と思われる人物は本陣には居なくて、包囲戦の指揮と取っていたようであり、本陣と本隊が攻撃されてる最中に、すでに逃亡していたようである。
食糧を満載した猫亜人の運転でトラック三台が現れて、砦が丘街の住人に配給しだしているようであるのは、陸戦隊時代にも周りの状態を観ながら、隊の必要な物を常に用意してたビリー司令官の配慮であろう。
猫亜人とエルフ戦士族による配給に、住民は近寄りがたくしていたが、指揮番所で指揮をしていた男が、猫亜人とエルフ戦士族にお礼を述べだすと、住民みんなも亜人達にお礼を言い出して、配給前に進み出てきた。
亜人も人も同じ人間であると、理解し合える日も遠くないようである。
トラック三台は引き揚げたが、エルフ戦士達はゲルとテントの設置班と、砦が丘街の片付けに分かれているようである。




