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水よりアイス(千鶴)

作者: 狼花

  「ただいま。」

「お、おかえり」

廊下に這いつくばった桃花が帰宅直後の私を出迎える。

・・・今度はなんの遊びを始めたのかしら?・・・

そんな砂漠で水を求める遭難者みたいな出迎えはやめてほしい。

「なんかいうことない?」

・・・なんと言えばいいの?・・・

別に思うこともないし

強いていうなら

「その遊び楽しい?」

「そこは普通何があったのって聞くとこじゃないの」

「すぐ終わる話?」

「お母さん。接し方冷たい」

「いつも通りよ」


 「アイスがなくなったんだ」

はー、と頷く私。

それを聞いてもそれがどうしたとしか思わないし

「買いに行けば。外は炎天下です。今日気温30度超えてるんだよ」

家はクーラーを効かせてるので快適な気温だというのにアイスなんて贅沢な

「あんたより、外で汗だくで働いてる人に渡したいわよ」

「ハーゲンダッツ」

はー、うるさい。

求めてるのは水じゃなくてアイスだったのね。

でも、この子なら砂漠で遭難していてもアイスを求める気がする。

砂漠で水源を見つけたこの子が

  

   「ほしいのは水じゃないんだアイスなんだ」


 と言ってる姿を想像すると自然と笑ってしまう。

ハーゲンダッツ、ハーゲンダッツと連呼する小学5年生。

・・・さて掃除でもするか・・・

無視してリビングへ行こうとすると桃花は私の足を両腕でつかみだした

・・・重い。遭難者の次はゾンビとは芸がこまかいわね・・・

相手にせずそのまま引きずって行く。

・・・鉄の重りのついた足かせをはめるとこんな感覚なのかしら・・・


 ピンポーン

突如インターホンが鳴る

「ほら、宅配屋さんが来たから離して」

「やだ、ハーゲンダッツ」

 ガチャ

と施錠していない玄関の扉が開く

「七野、遊びに来たぞー」

・・・どうやら宅配屋ではなく桃花の友達のようね。・・・


 桃花は友達と知った瞬間私の足を素早く離して起き上がった

「何やってんの?」

と友人の問いかけに

「え、えとね」

と言葉を詰まらせる。


  ・・・あんたにも恥じらいというものがあったのね。安心したわ・・・


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