表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
繋ぐ者
77/77

違和感

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 俺ちゃん / 古本屋店員

 ・マスター / 僕 / 古本屋店主

 ・サトリ / 依頼主

病院帰りに見つけた美味しそうな弁当を3つ下げて古本屋の入り口に向かったら、そのままドアにぶつかった。

自動ドアが、作動していないだと・・・。

こっちは、怪我してるんだから頼むよ。

デツには、行ってそうそう怒られるし・・何なんだ。

そう思いながら、裏口に向かうと開けっ放しになっている。

よし、今度はちゃんと開いてるな。

中に入ると・・・ん??・・何か違う。

何だ??よくわからない違和感だ・・。


「あ、お帰りなさい。」


サトリが、出迎えてくれた。

弁当を持ち上げて見せて、


「お昼にしよう・・。

 マスターは??」


「お帰り~。

 どうよ、綺麗になったと思わない。」


マスターの衝撃の一言が、脳細胞を刺激した。

あ!!そうか、違和感の正体は、綺麗になったことか。

弁当をテーブルに置きながら、ゆっくりと眺める。

確かに、バックヤードだけだが、綺麗になっている。

ゴミ(推定)と思われていた謎の物体が駆逐され、部屋全体も明るく見える。

曰く、要らないものを捨てて、埃を落としただけらしいが。

なるほど・・・ここを綺麗にするのは、マスターのやる気ではなかったって訳か・・。

・・・そりゃそうだな。


「やっぱり、しばらくお店は休んで、店内を綺麗にしようと思って・・。

 この状態じゃ、お客さんも商品選べないから。

 ただ、力仕事は、俺ちゃんがいないと進まなくて。」


”俺ちゃん”か・・・。

確かにマスターじゃ、力仕事は直ぐにギブアップだろうな。


「それは構わんが・・手が治ってからだな・・。

 また、デツに怒られる。」


「あ!!やっぱり怒られた??

 ごめんね~支払いのこと忘れちゃって・・・。」


謝る気のない顔で、口だけ謝ってくるマスターにウンザリしながら、


「支払いは今度マスターが、直接払いに来いと・・。

 ご指名だったぞ。

 怒られたのは怪我の方だ。

 何をしたらこうなるんだと・・・。」


唸りながら頭を抱えるマスターを、無視してテーブルに弁当を広げる。

サトリは、冷蔵庫からお茶を持ってきた。

3人で、テーブルを囲むと、賑やかな食事が始まる。


「美味しい!!!」


サトリが、満足げに声を上げる。

マスターも美味そうに喰っている。

お気に召したのなら良かった。

2人を眺めながら、自分も箸を進める。


食卓の話題は、今日の掃除がどうだっただの・・古本屋としての心構えがどうのと、他愛もない話だ・・。

だが、日常に置ける普通の食卓。

1人増えただけで、雰囲気が変わるものだ。

この感じは、久しぶりだ・・・。


「あのさ、前から募集していたバイト決まったんだよね。

 しかも、住み込みで!!!」


突然の発言に、弁当からマスターに視線を向ける。


「ご紹介します、ツグミちゃんで~す。」


と、マスターの御発声に合わせて、サトリが立ち上がり深々とお辞儀をした。


「色々と慣れませんが、宜しくお願いします。」


・・・・”ツグミ”???

・・・・ああ、新しい名前か。

そうだな、このままじゃ・・色々不都合あるだろうしな・・。


「そうか・・こちらこそ面倒をかける。

 宜しく、ツグミちゃん。」


「今までに習って、ツグミって呼んでください。

 俺ちゃん!!」


満面の笑みを向ける。

”俺ちゃん”・・・そうだな。

俺はこれからも、”俺ちゃん”が煩わしくなくて良いかもな。


「はい、では、了承も出て、紹介も終わりましたので、ツグミちゃんの部屋は、2階の空き部屋に決定。

 隣の部屋だからって、悪さしちゃだめだぞ!!

 家具は何もないから、今度買いに行こうね。

 あ!!そうそう、服もいるね。

 僕はいかないけど、俺ちゃんが全部付き合ってくれるからね。」


マスターの話を、嬉しそうに万歳して喜ぶツグミを眺めならお茶を飲む。

今日は、よく笑う。

いや・・これが、本来の姿なんだろう。

伊達と手島の記憶にある、まだ何も知らない時のサトリの笑顔が重なってくる。


「さて、私片付けますね。

 こういうのは、ちゃっちゃとやるのが、片付くコツです。」


そう言って、テーブルの上を片付け始めた。

そんなツグミの後姿を眺めていると、足元に目がいった。


「そのスニーカー、履いてるのか。

 こんな日に履いてしまうと、汚れるだろうに・・。

 それに、こだわりのタグは、どうした?」


「何言ってるの、俺ちゃん!!

 スニーカーなんだから、履いてなんぼ!!

 タグは、危ないから取っちゃった。

 あ!!捨ててはないよ。」


そう言って、また満面の笑みを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ