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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
繋ぐ者
75/77

似合わない男

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 俺ちゃん / 古本屋店員

 ・マスター / 僕 / 古本屋店主

 ・サトリ / 依頼主

 ・曉院さおり / サトリの母

 ・伊達 / 曉院さおりの部下

 ・手島 / 曉院さおりの部下

 ・蒔田 / 曉院さおりの部下

彼が、軽いノリで返す。

チャラ男の時と、違って声が渋いね~。

彼が、その渋い声で詳細を聞かせる。

信じられないという顔をしながらも、突然現れた手島、態度が急変した伊達、視えた何か・・、話の辻褄が合っていることに徐々に納得していったようだ。


「さっきマスターも言っていたが・・手島も蒔田も詳しいことは何も知らなかった。

 2人とも、失踪したことに驚きながらも、心から心配していた。」


そう言って、彼は冷めたコーヒーを一口飲んだ。


「蒔田さん・・私のために・・。

 あの時も、怪我はないかって・・。

 自分が、大怪我してるのに・・・・。

 それに私・・必死に守ってくれてた俺ちゃんにも・・酷いことばかり・・。」


ポソリと・・小さな声を出すと、そのまま大粒の涙を流し始めた。

黙って見つめることしかできない僕は、彼に視線を移した。

その彼も、俯いて・・ただ黙ってコーヒーを飲み続けていた。


緊張が緩んだのか・・相当疲れていたのか・・。

彼は、そのまま眠ってしまったサトリちゃんに毛布を掛けていた。

また、このパターンか・・。


「マスター・・古本屋が気になるな。」


「そうだね。」


2人で静かに部屋を出ると1階に降りて、しばらく黙り込んだ。

今回は、すごく疲れた。

バックヤードの椅子に腰を下ろしてからの沈黙の長さが、今回の疲れを表している。


「まともに寝ていなかったのか・・相当、緊張していたんだろうな。」


唐突な彼の言葉に、耳が痛かった。

ここしばらく、サトリちゃんを安心させてあげられなかったのは、僕の不徳と致すところだ。


「薬のことは?」


「もう伝えてある・・飲まなくても大丈夫だって・・。」


彼は、安心したように頷いている。

今の彼は、古本屋に似つかわしくない。

服装が悪いのかな・・・。

そう思って、ラフな格好を想像してみるが・・それも可笑しかった。


「笑うところは、無いはずだが?」


憮然として言い放つ彼に、


「ゴメン、ゴメン。

 いや、古本屋と君があまりにも違和感あってさ。」


僕からの釈明を聞いた後も、彼は憮然としていた。


「ところで・・向こうはやっぱり君のこと監視してたの?」


「ああ・・監視というか・・包囲網を張られていたようだ。

 薬を届けに行く姿を捉えられて、そこから解析されていた。

 ちなみに、薬は睡眠薬入り。」


「なるほど、向こうも想定してたんだ。

 誘拐するにしても、暴れられるのは・・避けたいもんね。

 あ!!ところで、あの隠れ家は何??」


僕からの質問に、一瞬に返答に困る様子を見せた彼だったが、


「前話したろ・・チャラ男の彼女。

 大桃桜子の部屋だ。

 直ぐに切ると目立ちそうだったから、半年分の家賃を通帳に残しておいた。

 まさかこんなところで、役に立つとは思わなかったがな・・。」


そう言って、また、憮然とした表情に戻った。

そうだ、肝心なことを聞いておかないと。

その返答次第では、今後の展開が大きく変わる。


「一応、彼女は天涯孤独の身になったわけだけど・・。

 念押しで・・・・曉院家の方は、本当に大丈夫だよね?」


念のため改めて聞いてみる。


「大丈夫だ。

 もとより極秘の計画だからな。

 サトリのことを知っている人間自体少ない。

 その少ない人間にも、相応の脅しをかけてある。

 俺自身は、仕える人が亡くなった以上・・暇をもらった。」


「じゃあ、君には、古本屋としてバリバリ働いてもらわないとね。」


そう言って笑っても、彼の顔は憮然としていた。

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