呪文嫌悪
宜しくお願いします。
○登場人物
・俺 / 古本屋店員
・マスター / 古本屋店主
・大鷹玲子 / 今回の依頼人
・近所の人
・コーヒーショップの店員
さて、どうするか・・・とりあえず、予定通り
”探し人が姉をどうやって探したか ”
このラインから行くか。
俺たちの同業者っぽいところに頼んだか、自分で探したか。
どちらにしろ、調べるとするなら住んでいた場所界隈から情報を得るだろう・・闇雲に探すよりその方が早い・・と思う。
姉と暮らしだしたのが、半年前なら・・適当に聞いて回れば、誰か思い出すかもな。
となると・・・・
”まだか??至急、依頼者の写真送れ!!
情報送れ!!”
連絡を入れると、当然即レス・・が来ない。
来ねーのかよ!!!
最初から確認しておけよな。
あ~、明日からにすりゃよかった。
・・仕方がない、無駄足も嫌だしレスが来るまでコーヒーでも飲んで落ち着こう・・。
呪文を唱えるかのような注文を行う有名コーヒーショップを見つけたので休憩がてら IN。
って、休憩も何も、まだ何もしてないけどな。
コーヒーの良い香りが漂う店内で、客は皆、難解な呪文をスラスラ唱えている。
その難解な呪文を、スラスラと復唱し注文を取る店員。
金という名の MP を使って、コーヒーが召喚される。
ここで働いたら、これが普通になるのか?
俺には自信がない。
すっと、今日のコーヒーを注文し・・さあ、休憩と思ったら、受け取る寸前でレス着。
休憩の暇も与えないとは、どこかで見てるのか!!
まあ、いい、コーヒーは経費で落とすから許してやろう。
”依頼者は、親の離婚後しばらくは生家に、その後、生家を引き払って父親と隣町のアパートへ、大学生の時に父親を亡くし苦学して大学を卒業、就職して今のアパート。
詳細は、添付で確認してね。”
写真とともに送られてくる追加情報に、何もかもが後手だなと・・再認識。
コーヒーを一口、誰かに入れてもらったコーヒーは美味い!!
スマホの案内を見ながら、・・・依頼者の生家付近にやってくる。
普通の住宅街・・と言っていいのだろうな。
ここで暮らしていた間は、不自由のない暮らしをしていたのだろう。
一通り周辺を歩きながら様子を伺う。
さて、どの方法で話を聞こうかな。
一般市民の皆さんを相手に荒事はできないしな。
しばらく悩んで、正攻法で行きますかと、改めて周辺を動き回る。
できれば、家の外にいる人がいいな。
お、ナイス・・。
「すいません、私こういうものなのですが・・・」
と、警察手帳らしきものを一瞬見せる。
サッと、それっポイ物が認識できる程度。
この程度でも、人探し程度なら何とかなる・・はず。
相手は、一瞬ギョッとするものの、当たり障りのない笑顔を見せて少し話すと興味津々で喰い付いてきた。
「人を探しているのですが・・
しばらく前にこの女性のことを探していると
聞いて回っている人がいたとか
実際に聞かれたとかありませんでしたか?」
どの年代の写真で話を聞いているかわからないから年齢順に何枚かの写真を見せても無反応・・で、名前を出してみる。
「大鷹玲子さんというのですが・・。」
はい、くたびれもうけ。
その後、この辺を適当に回ってみたが、依頼人を覚えている人には巡り合うが、
” 聞かれた or 聞かれたらしい ”
という話には無反応。
危うく下世話な井戸端会議に巻き込まれそうになったりして退散した。
何やら、理由は不明だけど変な男(所謂、不審者)がウロウロしていた時期があったとかなんとか・・ってのが、ここで得た情報。
・・・ここでは、動きなしか・・・それとも、そもそも動いていないのか・・・。
もう皆の記憶に残っていないのか。
人の記憶というものは消えていく・・必要とされない記憶は、消えることに抵抗もなく早い。
そんなものなのだろう。
まあ、本当は消えているのではなく、保存した場所を忘れているだけなんだが。
とりあえず、正攻法という名の偽警察作戦は徒労に終わる。
「続きは明日にするか・・・・。」
コーヒーのレシートを握りしめ、重い足取りで本屋の二階へ引き返す。