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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
繋ぐ者
69/77

絶対守護

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 俺ちゃん / 古本屋店員

 ・サトリ / 依頼主

 ・伊達 / 曉院さおりの部下

 ・蒔田 / 曉院さおりの部下

8階って、結構高いね・・そう思っていたら、屋上は9階だった。

通路を塞ぐ様に、突然現れた車には見覚えがある。

運転席側のドアには、大きな傷もある。

静かだ、エンジンも掛かっていない・・。

ゆっくりバイクから降りると辺りを確認する。

用心しながら車の中を覗くが、人の気配はなし。


車の陰から、更に周りを見渡すと奥に人の気配がする。


「時間がない。」


そう言って、男は一歩前に出た。


「取り返しに来たぞ。」


車の陰から姿を出して答える。

男の立っていた場所に、倒れているサトリが見える。

気を失っているのか?

動く気配がない・・が、今はその方がいいだろう。

ヘルメットを取って顔を見せる。


「裏切りの理由。

 まだ、お前の口から聞いてないな。」


そう言いながら、伊達は一気に間合いを詰めてきた。

相変わらず、間合いを詰めるのが上手い。

まだ、十分に距離があると思っていたが・・甘かった。

ガードするので精一杯だ。

痛めていた左腕に、激痛が走る。

さっきの転倒が地味に効いてる・・ここまで計算づくか。

倒されると拙い。

伸びてきた左腕を切って、バックステップで距離を開ける。


「どうした。

 逃げていても始まらんぞ。」


「そんな、口数多い方でしたっけ?」


拳が飛んでくるのを寸でのところで躱し、反撃を試みた瞬間。

右肩から引っ張られてバランスを崩す。

そのまま引きずられるように、ブン投げられた。

な・・どんだけ、パワーあんのよ。

左手の戻しで、右肩掴まれたのは分かるが、そこからブン投げるって・・。

某未来から来たサイボーグじゃあるまいし。


まだ、起き上がり切れていない処へ、顔面を容赦なく蹴り上げてくる。

ちょっと待てって・・。

蹴り足を避けて上にいなし、そのまま軸足を払って地面に叩き付ける。

手ごたえあり、今のは結構なダメージのはずだ。

頭を押さえ唸る相手への追撃は控え、また少し距離をとり呼吸を整える。

深追いはしない。


「お前・・本当に手島か??」


ゆっくりと立ち上がる伊達は、一言そう呟いた。


「手島ですが、何か?」


「・・・・なら、俺は、今までお前を過小評価していたのだろうな。

 やはり、此処で決着をつけることにして良かった。」


褒め言葉として受け取ってもいいのでしょうね。

相手の動きを伺いながら質問する。


「・・秘密の場所に俺を連れていくわけにはいかないか・・。

 あんたは、彼女が死ぬことに何も思わないのか?」


「何の話だ。」


繰り出される拳を掻い潜り、チャンスを探る。

あの日を教訓にしているのか・・脳を揺らされることへのガードが堅い。

攻撃は当たりはするが、決定打には程遠い。


「"曉院さおり"のために"サトリ"が、死んでもいいと思っているのか?」


「問題ないな。

 そのための存在だ。」


わかってはいたが、平然と返す伊達に言葉が出ない。

その刹那、組んだ両腕が振り下ろされる。

何とかガードはできたものの、破壊力は凄まじく全身に衝撃が走る。

衝撃で動けない身体に、正面からの前蹴りをまともに喰らってしまった。

大きく体が吹き飛ぶ。

あらら・・・・全く体が動かない。


「今の話、本当ですか?」


この声は・・俺でもない・・伊達でもない・・第三者の声。


「また、裏切り者か。」


「私は、裏切ったわけじゃない。

 サトリお嬢様のことが心配だっただけです。」


ま・・蒔田か?

どういうことだ?

裏切り・・彼女も裏切っていたのか?


「お嬢様が死んでもいいとは、どういうことですか?

 伊達さん、説明してください!!」


「説明も何も、そのままだ。

 あれは、奥様のために死ぬべき存在なだけだ。」


彼女は返事をしなかった。

ただ俯いて、背中に手をやると一気に振り下ろした。


「そんなもので、実力差は埋まらん。

 こっちは時間がないんだ。

 手荒くいくぞ。」


そう言った伊達に対して、


「2対1なら、こっちの圧勝でしょう。」


と、代わりに俺が答えておく。

蒔田の横に並び、二人で伊達を見据えながら話しかける。


「何故だ?」


「あの時の、あなたの言葉が嘘だとは思えなかった。

 が、根拠がなかった。

 だから、あそこを出て探ったけど、何もわからなかった。

 途方に暮れていたとき、おかしな動きをしている曉院家の車をGPSで見つけた。

 それを追って来たら、こ・・。」


瞬間、伊達が動く。

一気に間合いを詰めると俺に蹴りを放ってきたが、その蹴りは俺に届く前に蒔田の警棒ぶん殴りに阻止された。

挙句、逆に俺からの蹴りを側頭部に喰らうことになった。


「いつも通り、頼りになる。」


手島の記憶にある蒔田とのコンビネーションを思い浮かべながら声をかける。


「私は、お嬢様の付き人だからね。」


凛々しいね。

伊達は、苦々しい顔をしながら立ち上がると、こちらを睨み付ける。

その時、伊達の動きが止まり懐に手をやり、スマホを取り出した。

スマホを眺める伊達の顔が、真っ青になったかと思うと・・一気に憎悪に満ちた顔に変化していく。

手に持っていたスマホが握りつぶされていく様は、とても現実とは思えなかった。


握りつぶしたスマホを投げ捨てると、両手を大きく開き、今度は蒔田に向かって突進して行った。

横から伊達の膝に向かって蹴り込むもこちらが弾かれ、勢いは止まらなかった。


「逃げろ!!」


先に蒔田の振り下ろす警棒が、伊達の頭部を捉えた。

しかし、倒れているのは、先に攻撃を当てた蒔田だった。

警棒での打撃をモノともせず、蒔田を腕で薙ぎ払い仁王立ちしている伊達は鬼のようだ。


「貴様たちのせいだ。

 もう、どうしようもない。

 何も必要ない。」


蒔田は・・・動か・・ない。

気を失っているのか?

伊達は、更に蒔田への追撃を狙って近づいて行っている。


「蒔田ぁ!!

 起きろぉ!!動け!!」


そう叫びながら、伊達の注意を引く。

こちらに顔を向ける伊達は、頭から血を流し憎悪をむき出しで正気と思えなかった。

固く握りしめられた拳を躱しながら、カウンターを入れる。

手ごたえはあるのだが、効いているのか?

伊達の動きが鈍っているようには見えない。

相変わらず蒔田が、動く気配もない。

少しでも、彼女から遠ざけなければ。

俺が死ぬのは構わんが・・彼女たちは守りたい。

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