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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
繋ぐ者
67/77

全力疾走と動かない身体

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 俺ちゃん / 古本屋店員

 ・マスター / 僕 / 古本屋店主

 ・サトリ / 依頼主

 ・曉院さおり / サトリの母

 ・伊達 / 曉院さおりの部下

根本的解決にはならないが、追加の薬を渡すことはできた。

これで、日数を稼げる。

周囲を確認しながら、目立たないようにサトリがいる場所から離れる。

さて、この後はどう動く・・・そう思案を巡らせ始めた時、スマホが着信を知らせる。


「薬について、デップと話してきた。」


そう言ってマスターは、顛末を話し始めた。

マスターの話す内容に驚きはしたが、腑に落ちる部分の方が多かった。


「なるほど・・繋がったな。」


「だね。」


暁院さおりは、長い間、自身の心臓疾患の治療を行ってきたが完治するには移植しかないことを悟る。

そこで、自身の持つグループの技術を使って、自分のクローンであるサトリを生み出した。

それが20年ほど前・・。

以後、専属の医師を傍に置き、自身とサトリの移植チェックを行いながら移植できるタイミングを待った。

死ぬ運命にあるサトリには、一定の教育を与えたが、実際は戸籍もなく、外出も自由にさせなかった。

病気であるため薬がないと生きられないと思い込ませ、曉院家から逃げ出せなくする周到さ。

が、誤算があった・・サトリの力と・・曉院さおりの急変だ。

緊急ではあるが、曉院さおりを救うため心臓移植を行う。

それは、同時にサトリの死を意味する。

それを察したサトリは、逃げ出し俺たちと出会うことになる。


「俺は、比較的新参者だったみたいだ。

 詳しいことは記憶にはないよ。

 もう一人の付き人、蒔田も詳しいことは知らないだろうな。

 首謀者は、曉院さおりと筆頭付き人の伊達・・だな。

 まあ、医者は、当然グルだけどな。」


「それ以外の・・秘密を知る者は死って・・ことなのかな?」


マスターの話を聞いて、不意に蒔田のことが心配になった。

俺の裏切りを知った時の悲しげな表情が頭に浮かぶ。

黙り込む俺にマスターが、


「とりあえず曉院家に、目立った動きはないみたい。

 というか、動きがなさ過ぎて、逆に気になる。」


と、言葉を残して、通話は終了した。

今は、少し休もう・・。

廃ビルに身を潜め、冷たい壁に背を預けて静かに目を閉じる。



どれだけ目を閉じていただろう・・。

辺りは、もう暗くなっている。

着信を知らせるスマホの振動で、目を覚ました。


「例の場所で、動きがあった・・。

 しばらく前から、伊達と思われる人物の姿が見えない。

 建物から出た人間や車はないんだけど・・。

 用心して・・。

 監視を想定して、こちらの知らない方法で外に出た可能性がある。」


「了解・・・。

 此処にある程度のものは置いていく・・。

 片付けと引き続きの監視は頼む。」


それだけ言って、マスターとの通話は終了した。

立ち上がり背筋を伸ばすと、身体に痛みが無いことを確認する。

バイクに跨ると全速力で廃ビルを後にした。



今、何時だろう、外は・・まだ暗い。

この部屋に来てから、横になって寝たことはない。

座ったまま・・膝に頭をのせて寝ているのか・・起きているのか・・その狭間を彷徨っている。

小さな物音にも敏感になり、何かあるとすぐに目が覚める。

鏡を見ることもないが・・きっと酷い顔をしているのだろう。

遠くから何か音がする、何の音だろう・・これは夢??

何かが擦れる音・・軋んでいる?

瞬間、一気に現実に戻される。

誰かが、室内に侵入してくる。

侵入者の感情が、自分を圧倒してくる。

・・焦り・・憎しみ・・悲しみ・・よくわからない。

身体がうまく動かない、頭もふらつく・・。


何処へ隠れてもすぐに見つかってしまう。

どうしよう・・。

働かない頭でそう考えている間に、ベランダの窓が開き、風が入ってきた。

カーテンが、舞い上がり侵入者の顔が見えた瞬間、身体が凍り付いた。

あ・・伊達・・さん・・。


「あ・・う・・・。」


思わず言葉にならない声が漏れる。

侵入者の顔が、静かにこちらを向く。

その顔は、既に険しい表情だったが・・・目が合った瞬間、押し寄せる感情とともに恐ろしいものへと変貌した。

無言で、自分の方に伸びてくる腕が、首に掛かる。

身体がうまく動かない・・何とか腕を掴み抵抗するも意味がない・・。

声も出せないまま、引きずり立たされる。

遮断しきれない・・突き刺さるような攻撃的感情を受けながら意識が無くなっていった。

俺ちゃんの嘘つき・・。

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