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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
繋ぐ者
57/77

誘拐犯

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 /俺ちゃん / 古本屋店員

 ・サトリ / 依頼人

 ・誘拐犯A 女

 ・誘拐犯B 男

壁に背を預けながら、スマホを眺める。

夕刻になり、人も増えてきた・・足取りも急いだ人が多い。

もう、いい時間だな・・トイレから出てくる彼女を見て、預けていた背中を浮かせると、


「時間も時間だし、行こうか。」


と、声をかける。

飲み物買う?夕飯どうする?コンビに寄ろうか・・などと、他愛もない話をしながら歩いていた時・・スーツ姿の一人の女性が、目の前に立ち塞がった。


「お迎えに上がりました。」


薄暗い中、目を凝らす・・当然、全く知らない人だ。

急に知らない人から声をかけられるって・・怖い。

誘拐犯は、俺の後ろに隠れる彼女に向かって、さらに声をかけてくる。


「お戻りください。

 時間がないのです。」


俺のことは、無視ですか・・そうですか。

残念だな・・。


「状況は、よくわかんないけど、知らない人について行っちゃいけないって習ったでしょ。

 当然、こっちもそういうふうに習ってるわけ。

 だから、ついていかない。」


一生懸命話す俺を睨み付けると、馬鹿にしたように鼻で笑って、


「お前とは話をしていない。

 それに、お嬢様は、私のことをよく知っている。

 知らない人間ではない。」


律儀に其処を訂正してくるんだ・・へぇ~・・・。


「誘拐犯は、そういうんだよね~。

 知り合いだとか・・友達だとか・・。

 何だか、しょうもな。」


そう言って肩をすくめる俺を更に睨み付けると、背中に手をやり身体の横で勢いよく振り下ろした。

シュンと音がしたかと思うと、誘拐犯の手元には特殊警棒が握られている。

あ・・やる気満々~。

この武器ヤバいよね。

当たると痛いんだ・・ってか、骨は折れるし、普通に致命傷になるからね・・。

どうしよう・・後ろにいるしな~不用意にかわせないよね。

と・・・悠長に考えている暇はなかった。


誘拐犯が、ゆらりと脱力したかと思った瞬間、間合いに入られた。

かわせば振り上げられた警棒が、彼女を直撃する。

俺がかわさないとふんでの攻撃か・・・。

この身体で、どこまでできるかわからないが、仕方なし。


身体を、後ろではなく肩から前に出し、誘拐犯が腕を振り切る前に体当たりする。

逆に身体を吹き飛ばされ、尻餅をつく誘拐犯は、意外そうにこちらを見る。


「ただのチャラ男だと思ってた??

 ざぁ~んねん。」


チッっと、舌打ちすると低い姿勢で足元を狙ってくる。

誘拐犯も、相応の手ほどきは受けているようだ。

正直、下半身を狙われるのは厄介だ。

攻撃を受けてしまえば、動けなくなる・・。


チラリと彼女に目を向け頷くと、彼女も頷き駆け出した。

それを見た誘拐犯は、彼女を追おうとするが、当然、俺がそれを許さない。


「追わせるわけないっすよね~。」


誘拐犯の前に立ち、ドヤ顔を披露する。

警棒を片手に動きの止まった誘拐犯は、懐からスマホを取り出すと画面をタップし、また懐にしまった。


「こっちも・・・一人で追っているとは言ってないけど・・・」


言い終わる瞬間に、また、間合いを詰められる。

警棒のキレも相変わらずだ・・コンパクトに的確に当てに来る。

何とかかわしているけど、このままじゃ疲れちゃうな・・。

まあ、こうなったら、仕方ないよね。

相手の振り下ろす警棒に合わせて、再び身体を当てると、そのまま腹部に拳を入れる。

こもった呻きとともに、誘拐犯の身体が後方に跳ね、地面に落ちる。


「女性を殴る趣味はないけど・・致し方なし。

 でも、ま、顔はやめな・・ボディ、ボディ・・ってね。」


片膝をついたまま、再び手を背中にもっていく誘拐犯・・まさか・・。

また、シュン・・という金属音とともに、特殊警棒があらわれた。

両手に警棒とは。

これは、まさか、BIGな人じゃないよね。

オミソスープとか言わないよね。

ドラム叩かないよね。

なんて考えている間もなく、また間合いを詰められる。

あっちも気になるし、面倒だから逃げようかな。

何よりも、疲れてきた・・俺ちゃん体力ないな~。


とりあえず相手の動きを止めよう・・。

誘拐犯も疲れてきたらしく、肩で息をしている。

そりゃ、そんだけ振り回してりゃ疲れるわ。

上下に打ち分けてくる警棒を、掻い潜りもう一度腹部に拳を入れる。


「ボディがガラ空きっす!!」


うずくまる誘拐犯に声をかけるが反応がないところを見ると、どうやらBIGな人のことも知らないようだ。

フゥ~・・疲れた。

さて、お暇しよう・・そう思ったとき、横から身体に衝撃が走った。

そのまま、地面の上を転がる。

痛って~・・・・腕逝ったか・・・・これ。

左腕を抑えながら立ち上がると、目の前に男が立っている。

ああ~・・もっと早くにお暇するべきだった・・。

そう思いながら、周囲を見渡す。

ゆっくりと近づいてきていた男の身体が屈んだと思った瞬間・・腹部に前蹴りを喰らった。

さっきの誘拐犯Aと言い、この誘拐犯Bと言い・・間合いを詰めるのが上手い。

前蹴りの衝撃は、自ら飛んで逃がした・・それでも、ダメージがある。


あ~・・どうしよう。

ヤバいな・・誘拐犯Aも立ち上がってきた。

流石に二人を相手にするのは、今の身体では無理だ・・。

何より初撃のダメージが深い。

武器を持ってくるべきだったな・・。

有効な対抗手段が、見当たらないまま・・間合いだけを詰められる。

ガードする腕に拳がめり込む。

なんて腕力だ・・身体が軋む、このままじゃ嬲り殺しだ。


何とか、間合いを取って懐に手を入れる。

誘拐犯’Sは、武器が出てくると思ったのだろう。

警戒し動きが止まる。

その瞬間、スマホで110番だ。


「助けてください!!!

 当然、路上で襲われてます!!

 住所は・・・・・。」


電柱に書かれている住所を、スマホに叫ぶ。

そのまま、スマホを相手に向ける。

誘拐犯’Sは、一瞬たじろいだ後、慌てるそぶりもなく静かに消えていった。

ヤレヤレ・・・何とか乗り切ったか・・。

大きくため息をつく・・。

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