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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
繋ぐ者
56/77

買物行脚

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 /俺ちゃん / 古本屋店員

 ・マスター /僕 / 古本屋店主

 ・サトリ / 依頼主

「ごめん、サトリちゃん。

 さっきの薬、ワンセット貰えないかな・・。

 調べて、もし分かれば、追加の薬をゲットできるかもしれない。

 ただ、一回分減るリス・・。」


マスターが全てを言い終わる前に、ピルケースが目の前に出ていた。


「はい。

 信用してるから。」


サトリは、そう言って、こちらを見つめる。


「ありがと。

 早速だけどサトリちゃんには、

 この後、彼と出かけて別の場所に行ってもらおうと思ってる。

 道中は、彼の指示に従って。」


俺をチラ見して、再びサトリに視線を戻すマスター。


「毎度おなじみの、俺ちゃんで~す。

 早速、準備しよっか。」


うん、馬鹿みたい。

何が ”俺ちゃん ”なんだか・・・。

自分というものを理解できているのか不安になってきた。

マスターからの冷ややかな視線を避けきれない状況を、何とか無言でスルーした。


「じゃあ、行ってくるっす。」


準備を済ませたマスターに声をかける。


「うん、気を付けて・・。」


パソコンに向かいながら、手を上げて、ヒラヒラと振っている。

そんなマスターを横目に見て、事務所を出た。


「よし、サトリちゃん!!

 直ぐに目的地に行くのも味気ないし、どこか行こうよ!!」


表に出るなり、そうサトリに声をかけた。


「え?いいの?」


「いいの、いいの。

 ただ、一つだけ俺ちゃんのいうこと聞いてね。」


人差し指を立てて、サトリの顔の前に近づける。

もの凄く怪訝な表情というか、警戒されたみたいだけど・・。

そんなことでは、へこたれない。


「じゃあ、行こっか。

 何処がいいっすかね~。

 あ、さっき欲しいものは買ってもらえたし、

 お供付きでお出かけもしたって言ってたけど、

 一人になって行きたいところある?」


スマホを眺めながら、サトリに問いかける。


「え・・どうかな。

 急に言われても・・。」


「いつもは、どうしてたの?

 欲しいものとか・・行きたい場所とか・・

 どうやって決めてたっすか?」


「それは、雑誌とかTVとかネットとか。

 健康の問題で、外出は制限されていたけど、

 何もかも制限されてたわけじゃなかったから。」


ふ~ん・・と頷きながら、しばらくスマホを眺めていたら、足に衝撃が走った。


「痛った!!!」


横を見ると、さらに蹴り込もうとしてくるサトリがいた。


「あ~・・ゴメン、ゴメン。

 謝るから、蹴るのはやめてね。」


そう言って、両手を前に突き出す。


「じゃあ、今日は俺に付き合ってよ。

 俺からのお願いも含めてさ。」


返事は待たずに、手を引いて地下鉄に向かった。

とりえずサトリは何も言わずに付いて来てくれた。


ド平日の日中、あまり人は多くないかな。

そう思いながら俯く。

話題が思いつかない・・まいった。

マスターのこと笑えないな・・と、顔を上げてガラスに映る見慣れない自分を眺めていると、


「ねぇ・・、そのスニーカー、タグ付いてなかった?」


ん??唐突な内容に、自分の足元を見る。


「タグ??」


「そう、プラスチックの・・。」


「ああ、付いてたよ。

 ムッチャ邪魔だったから、とって捨てた。」


「えええ??それって、そのスニーカーのことわかってて履いてる??」


さらなる問いかけに、


「ああ、わかってる。

 でも、邪魔なものは邪魔だし、本当はこの中途半端についてるコレも引きちぎりたい。

 デザインとしてギリギリのラインで我慢してる。」


と答えた。

サトリは、冗談じゃないというような顔をして俺を見ている。


「こんなのは、履く人の自由でいいでしょ。

 俺は、そこに拘りがなかっただけ。

 他のもタグは捨てた。」


この身体の元の持ち主の記憶から、このスニーカーがレアで大切にしていたことは知っている。

が、俺と価値観が違っただけだ。

スニーカーは、消耗品だし、履くのに邪魔なカニのタグは要らない。

どこかに引っかかって、怪我でもしたら大変だ。


「他にも持ってるの??」


「何足かあったな。

 何よ、サトリちゃんスニーカー好きなの??」


すぐさま頷くサトリは、嬉しそうだ。


「うん。

 見てるだけでも、楽しくなる。

 ただ、あまり外に出る機会もないから、買わなかったけど。」


「そうか~。

 じゃあ、ちょうどいいや。

 サトリちゃんのスニーカー買いに行こうよ。

 で、この間みたいにお茶して、目的地に向かおう。」


そう言って、サトリを見た。

嬉しそうなサトリは、そのまま俺の履いてるスニーカーの蘊蓄を語りだした。

まあ、知ってるけどな・・そう思いながら、目的の駅までサトリの蘊蓄を聞いた。


たくさんのショップで、サトリは嬉しそうに商品を見て回った。

試し履きをし、ああでもないこうでもないと、選ぶサトリは楽しそうだった。

ひとしきり見て回り、ようやく1足のスニーカーに決めたようだ。

新しいスニーカーを履くと、鏡の前で嬉しそうに眺めていた。

ちなみに、古い靴は、そのまま処分してもらった。


そろそろ、お茶でもしようかと、目についたスイーツショップに入る。

サトリは、ゆっくりとメニューを見ながら、スニーカーショップと同じように悩み始めた。

俺はコーヒーだけを頼み、サトリが注文を決めるのを眺めていた。


「さて、そろそろ、お願いを聞いてもらおうかな。」


「私も、お願いがある。」


お互いに笑いながら、お願いを聞きあった。

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