依頼快諾
宜しくお願いします。
○登場人物
・俺 /俺ちゃん / 古本屋店員
・マスター /僕 / 古本屋店主
・猫 / 古本屋のペット
・サトリ / 謎女
不意に、マスターの膝の上にいた猫が、サトリの膝の上に飛び移り、
「にゃ!!」
と、鳴いた。
サトリは、驚きながらも猫を優しくなでると話を続けた。
「少しの時間だったけど、一緒にお茶をして・・。
この人ならって思った。
だから、俺ちゃんから視えたものを追ってここまで来た。
そしたら、今度は、本当に何も視えない人がいた。
急に視えたり・・視えなくなったり・・。」
「ごめんね。
僕、その何かを意図的に消したり出したりできるんだ・・。
基本、普段は、いつも消してるんだ。
ただ、あの時は、気になったからサトリちゃんを試したんだ。
急に視せて、吃驚させたね。」
話についていけてないサトリに向かって、マスターは続けた。
「つまり、僕もサトリちゃんと同じ・・。
何かが視えるんだよね。
厳密に、僕の視ているものとサトリちゃんが視ているものが、同じじゃないかもしれないけど。
あの時、僕が視えていなかったってことは、近いものを視ているのは確かだと思う。
そっちの彼が、おかしなのは・・体質かな。」
そう言って、マスターは笑った。
「まあ、俺の体質かどうかはともかくさ・・。
そんな訳だからさ、信用してよ。
俺、悪いイケメンじゃないよ。!!!」
さっきスルーされたから再チャレンジ・・・が、やっぱりスルー。
つ・・辛い。
「私、殺される・・・。」
で、スルーからの~重い話~。
「・・こりゃ、物騒な話だね。
・・・・・・・誰に・・理由は??」
流石のマスターも口調が重くなった。
「家族に・・・理由はわからない・・・。
ただ、視えた・・私への殺意・・??私の死を望む感情??
何かわからない・・でも、此処にいちゃいけないと思った。
だから、外に出た時に逃げた。
俺ちゃんに会ったのは、一晩ビルの間で過ごした後・・。」
きっと、今回だけじゃなく・・色々なものを視てきたんだろうな・・。
俺には、何が視えているのかは、わからんけど・・普通に生きれない辛さはわかる。
ひょっとして、マスターに殺されたら、視えるようになるのかね??
と、世紀の思い付きをした時、マスターが口を開いた。
「サトリちゃんが、何か視えてること・・家族は知っているの??」
「・・・たぶんだけど・・・知らない・・・と思う。
勘の良い子だとは思われていると思うけど。
私から、はっきりと話をしたことはないし。」
返答を聞いて頷いたマスターは、こちらに視線を送ってきた。
「任せるよ。」
そう言って、コーヒーを口に運ぶ。
マスターは、頷くとサトリに向かって、
「僕たちは、こう見えても古本屋なんだ。
このビルの1階で営業している。
まあ、開店休業状態だけど・・・。
で、それとは別に副業をしてるんだ。
何でも屋なんだけど、依頼料さえ払ってもらえれば、なんでも請け負うよ。
依頼料は、案件次第。」
そう言って、サトリを見つめる。
長い沈黙の後・・、
「私のこと、守ってくれる??」
サトリの言葉に、マスターは返事をしない。
当然、俺も・・。
またしばらく沈黙があり、
「私のこと守って!!!!
支払うお金・・持ってないけど・・。
一生かけて支払うから、お願い・・。」
そう叫ぶように言ったサトリに向かって、
「OK!!」
にっこり笑ったマスターが、あっさりと返事をする。
「じゃあ、いろいろ聞かせてもらおうかな?」
それからしばらく、マスターとサトリの質疑応答が繰り返された。




