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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
繋ぐ者
50/77

チャラ男のドヤ顔

宜しくお願いいたします。


○登場人物

 ・俺 /俺ちゃん / 古本屋店員

 ・マスター /僕 / 古本屋店主

 ・サトリ / 新手のナンパ師 / 謎女

「遅かったね。」


事務所の扉を開けた彼に声をかける。


「いや~可愛い女の子から熱烈なナンパを受けてさ。

 美味しいスイーツ食べてきたっす。

 イケメンは、大変だな~。」


「いやいや、僕はお腹減ったんだけど。

 勘弁してよね。」


このチャラ男に、あの後どれだけ忙しかったかを、しっかりと聞かせないとな。


「ちょっと待っててよ。

 適当に作るっす。」


そう言って、シンクに向かう彼に向って、


「若い女の子にナンパされて、

 お茶するのは君の勝手だけどさ。

 お持ち帰りは、どうなのかな???」


彼が、帰ってきた時から気が付いていた。

階段付近で動かないなんて、明らかに不審人物。

そもそも、このビルの2階に用がある人間などいないのだ・・。


「あら~・・・撒いたつもりだったんだけどな・・。

 人ごみに紛れても、上手いことついて来たんすよね。

 ゴメン、マスター。」


「ゴメンて、言われても。

 階段から動く気配ないよ。」


彼をどうやって尾行してきたのか・・興味あるな~。

どうするか悩んでいたら、夕飯を作っている彼から、


「こっちは今、手が離せないからさ。

 しくよろー。」


の言葉をいただき、全てを諦めて溜息とともに立ち上がると、入り口に向かった。

ん・・!!??

そのまま、ドアを開け、階段向かって声をかける。


「そこにいても、仕方ないでしょ。

 とっとと家に帰るか、こっちに入ってくるか。

 決めてくんないかな?

 対面が悪いからさ。」


そう言って、ドアを開けたままにして部屋に戻った。

しばらくすると、入り口付近に影が見える。


「そんなとこにいないでさ、中入んなよ。

 お腹減ってるなら、一緒にご飯食べよう。

 あ~・・でも、パンケーキ食べたし・・そんなに減ってないか・・。

 とりあえず、コーヒーでも入れるから座んなよ。」


そう言って、彼がソファへ促す。

僕は、すました顔でテーブルに夕飯をスタンバイする。


「たいしたものなくて、ごめんね。

 無理して食べなくてもいいけど、我慢はしないでね。」


「マスターが、言うことじゃないっしょ。

 作ったのは俺なんだから。

 そういうのは、俺のセリフっす。」


シンクから聞こえる声を無視して席に着く。

とりあえず、僕はお腹が減っているから、二人がどうあれ、たくさん食べよう。

そう思って、前を向くと、彼女は立ったままだった。


「はい、コーヒー。」


彼は、彼女にコーヒーを渡すとソファに座った。

と、同時に彼女は、すかさず彼の隣に座った。


「あははははは、気に入られてるね。

 羨ましい。」


すでに食べ始めていた僕が、ニコニコ話しかけても彼女は能面のようだ。

う~ん・・嫌われたのかな??


「とりあえず、キャップはとったら。」


続けて声をかけると、黙ってキャップをとった。

そのまま、黙り続ける彼女に、彼が声をかける。


「う~ん・・・どうしたのかな?

 一応、サトリちゃんとは、美味しいスイーツを食べて、

 円満にお別れしたつもりだったんだけど?」


「へぇ~サトリちゃんて、名前なのか~。

 よろしくね~。

 僕はね~・・・僕は・・・・・・。

 マスターって呼んでね。

 でもさ・・ホイホイ知らない人についてっちゃ駄目だし、

 その後、知らない人をストーキングするのも感心しないな~。」


箸の動きを止めることなく茶々を入れる。


「・・ごめんなさい。」


「謝らなくてもいいんだけどね・・・。」


せっかくの夕食なのに、会話がない・・。

何だか、ものすごく切ない。

その時、彼が急にぶっこんで来た。


「で、どこから来て・・何から逃げてるの?

 誰に追われてるの?」


驚いた表情で、彼を見るサトリちゃん、当たり前でしょとドヤ顔を向ける彼。

ヤレヤレといった表情で、それを眺める僕。

と、彼が一口コーヒーを飲んで話し始めた。


「ビルの間から出てくる。

 被せたキャップをとろうとしない。

 一人ではなく誰かといることで、自分の存在を誤魔化そうとした。

 飲食店では、窓際を避け、終始周りに気を張っていた・・。

 まあ、言えば切りがないけど、わかりやすいのはこんなところかな。」


「あららら、結構わかりやすかったんだね。

 そりゃそうだ。」


ばつが悪そうに俯くサトリちゃんは、まだ一口もコーヒーを飲んでいなかった。

しばらく黙って様子を見ていたら、サトリちゃんは、うつらうつらと頭を上下させていた。

なんだ、黙っていたわけじゃなく、眠かったのか。

そう思っていると、彼が立ち上がり毛布を持ってきてサトリちゃんに掛けてあげた。


「へぇ~優しいね。

 まあ、懐かれると悪い気はしないよね。」


「俺は今、20代だからね。

 むしろお似合いなの。

 おっさんのマスターとは違うのさ。」


そんなチャラ男の発言は無視して、ソファで寝るサトリちゃんを眺めながら呟いた・・。


「気が付いてる?」

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