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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
奪う者
5/77

経費処理

よろしくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 古本屋店員

 ・マスター / 古本屋店主

 ・ソファ / 家具

「と、いうことだね。」


録音されたやり取りを聞き終えるころ、マスターがコーヒーを飲みながら俺の前に座る。

さほど広くない空間にごちゃごちゃとモノが置かれている・・そんな小汚い空間で


「俺の分は?」


不機嫌そうな顔で尋ねる。


「自分が欲しいものは、自分で動かなきゃね。」


この依頼、誰が働くと思ってんだ?バックレっぞ。

こう言うところだ、足りないのは。


コーヒーを飲みながら、ソファを眺めて、擦る、押す、もう一度眺める。


「ところで、このソファ・・もう駄目だね。

 変えたほうがいいね。」


と、唐突な一言。


「買ってくれんの?」


「いや、自分のものは、自分で買おうね。」


「俺の住居兼事務所なんだから必要経費だろ。

 大体、このビル自体倒壊寸前、

 お似合いのソファだよ。

 てか、ソファの方が、ランク上じゃね?」


「好意で、二階貸してあげてるのに

 散々な言いっぷりだね。

 出ていくかい?」


ソファを見ながら、コーヒーを飲む。

一度も、こちらを見ない。

どうも、俺との話より、ソファーの方に興味津々のようだ。


「俺は構わんけど、

 このビル、他に幽霊もいないだろ。

 借り手なんて、今後も出てこねーよ。」


「幽霊もいないのは、確かに寂しいね。」


フ~・・・・

なんだ、この意味のない永遠に終わりの見えない会話・・・・のっかった俺も悪いが、精神年齢が遥か彼方に上の俺には耐えられない。


「あ~もういい。

 で、依頼になりそうなのか?」


「だね。

 ま、いつも通り数日空けて

 連絡してみるつもりなんだけどね。

 あの雰囲気は・・・来るだろうね。

 それにしても、綺麗だけど、

 すごく青白い人だった。」


依頼を聞いてから、

冷静になる期間をワザワザ設けているのは、マスターなりの配慮。

勢いは怖い・・・ってのが、マスターの持論。

しかし、それで依頼がなくなるのは、マスターの落ち度。

コミュ障なのに、美人に目がないのは、マスターの性癖。


「相変わらず、そういうところは抜かりないな。

 仕事以外の会話は、できないくせに。

 依頼者の容姿を仕事のデキに影響させたら、

 プロ失格だぞ。」


「いいんだよ。

 見ているだけで、ホッコリするしね。

 大体、初対面なのに、

 仕事内容以外ポンポン話題なんてないね。」


「とりあえず、人探しなら

 荒事にはなりそうもないし

 クビもつながりそうだ。

 今回は、割りの良い儲け話になりそうだな。」


「ん~どうだろうね。

 僕は、来ると思ったけど、

 来ないかもしれない。

 依頼の中身がどう動くかも断言できない。」


嫌な言い方するな、マジで!!

ま、確かにそんな時もあったしな。

確定するまで本でも売って生きてくか、誰も買ってくれないけど。

それにしても、とうとう俺のコーヒー出てこなかったな・・。

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