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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
繋ぐ者
49/77

偽名

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 /俺ちゃん / 古本屋店員

 ・サトリ / 新手のナンパ師 /謎女

「あ~・・・名前教えてくんない?」


「普通は、聞いた方が先に言うものでしょ。」


そう言って俺の方を見てくる。


「ナンパしてきたのは、そっちなんだけどな・・。

 まあ、いいや。

 え~・・っとね、”俺ちゃん ”。」


「はぁ!!??」


「いや、名前は ”俺ちゃん ”で。

 そう呼んでくれればいいよ。」


すっごい見つめられている・・というか、睨まれてるのか??


「じゃあ、その ”俺ちゃん ”さんは、秘密のエージェントか何か??

 気の利いた偽名ぐらい、サラッと出てこないの??」


なんだよ・・その”ちゃんさん”って・・。


「いや・・”俺ちゃん ”で、”さん ”はいらないよ。

 それに、俺はエージェントなんて気の利いた身分じゃないよ。

 急にビルの隙間から腕つかんでナンパしてくる女性に伝える

 名前をとっさに思いつかなかっただけ。」


まあ、エージェントじゃないけど、副業で胡散臭い仕事はしてる。

言えないけどね・・。


「私は、サトリ・・。

 よろしくね、俺ちゃん。」


「どうも、サトリちゃんね。

 よろしく。

 受け入れてもらえて、助かるよ。」


自己紹介も済んだし、後は美味しいスイーツショップを探すだけ。

スマホを見せて、何処にするか意見を伺う。


「そうね、少しお腹が減ってるから・・

 このパンケーキのお店なんてどう??」


「おお、確かに男一人じゃ入りずらそうだし、いいね。

 せっかく可愛い女の子と一緒なんだから、こういうとこ行かないとね。」


顔を見合わせて笑い合うと、さっそくお店に向かった。


平日の午後ということもあって、目的のお店は空いている。

サトリに手を引かれ、店の奥の方へ。

窓際がよかったんだけどな・・そう思いながらも、別に意見もしなければ、抵抗もしない。


とりあえず席に座りメニューを眺めながら、サトリを観察する。

髪は短め・・大きな瞳の綺麗というよりは、可愛いが適当な女の子。

身長は、160cm位・・太ってはいない。

20歳・・前後か・・25はいってないな。

小奇麗な格好をしているが、ビルの間から出てきただけあって少し薄汚れている。

先ほど被せた帽子を脱ぐ気配はない。


「決まった??」


不意に聞かれて、ああ・・と、慌てて注文を済ませる。

甘いものが食べられれば、何でもいい。

「で・・なんで、俺なの??

 まあ、カッコいいから、その気持ちもわかるけど。」


「ん・・なんとなく。

 俺ちゃんなら、付き合ってくれるかなーって。

 チャラそうだし。」


そう言って笑ってくるけど、目の奥が笑ってない。

明らかに窓際を避けてるし、表から見えない位置に座っている。

これは、厄介ごとなんだろう。

関わり合いになるのは得策ではないだろうから、食べたら即解散しよう。

いわゆる食い逃げだな。


しばらくしてテーブルに並んだパンケーキは、思ったよりボリュームがあって吃驚した。

一心不乱に食べる彼女を眺めながら、こちらもスイーツを満喫する。

スイーツを食べようと考えた今日の判断は、間違ってなかったな。


「さて、楽しいティータイムも終了だね。

 そろそろ、買い物に行かなきゃ。

 今日の食材がなくなっちゃうよ。」


そう言って立ち上がると、伝票を握りしめた。


「え??もう、帰るの??」


「そ、残念だけどね。

 秘密エージェントに美女はつきものだけど

 しっかり仕事もこなさないとね。

 ボスに怒られちゃうよ。」


慌てて立ち上がるサトリに、


「可愛い女の子と美味しいスイーツも食べれたしラッキーだったよ。

 あ、そのキャップあげる。

 良かったら使ってよ。」


そう言って、会計を済まし外に出た。


「私が出すって言ったのに。」


慌てて追ってくるサトリに手を振り、予定通り買い物に向かった。

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