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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
視る者
46/77

事後処理と拘りの意味

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 古本屋店員

 ・マスター / 古本屋店主

 ・戸々谷茂 / 今回の依頼人

 ・戸々谷佳代子 / 依頼人の姉

 ・渋谷小五郎 / 交渉対象 & ホスト

 ・大桃桜子 / 交渉対象の恋人 & 行方不明

「通報はしておいたよ。」


マスターが、運転しながら話しかけてきた。


「ん、あんがと。

 仕事早いね~。

 なんて電話したのよ。」


「簡単だよ、場所を言って刃物振り回している奴がいるって。

 それだけ。

 あと、自演の悲鳴も入れておいた。」


控えめに鼻で笑うのと、遠くで鳴るサイレンを聞いたのは、ほぼ同時だった。


「お~、お~、大変、大変。

 とりあえずは・・保護??かな。」


「そうなるかな。

 怪我してるしね。

 近くに刃物が落ちてるけど。

 ところで、どうする?

 事務所戻る?」


マスターからの質問に、ハッとする。

ああ・・そうだな。

明日のこともあるし・・


「ああ、ごめん。

 その辺でいいよ。

 そこからは、電車で家に行く。」


マスターは、無言で車を道路脇に止める。


「身辺を片付けてから、事務所に帰るよ。」


そう言って、車を見送る。

やることはたくさんある・・毎度のことだが・・何事も後始末は大変だ。

とりあえずは、明日の土地の調査だ。

売るために土地の状況を確認したいと、調査をお願いした。

ついでに、庭の樹木も引き抜く。

きっと、何か出てくるだろう。

問題は、どれだけ出てくるのか・・・。

想像もつかないが、明日は長い一日になりそうだ。


色々考えている間に、大桃の家に着いた。

家に入り中を確認する。

誰かが来た形跡はなさそうだ・・・。

綺麗に整頓されたまま、何も変わっていない。

最後に来た記憶のままだ。

もう、ここに来ることはないだろう。

俺には、ここの記憶はあるが、ここへの想いはない。

ここへの支払いを止めれば終わる。

ただそれだけ。

最後に、半年ほどの支払いを入れて、それで終わりにしよう。

しばらく玄関から室内を眺め鍵をかけると、静かに部屋を後にする。



さて、ネットかTVか・・・面倒だな。

どちらも見ていよう。

確か午前中から調査と聞いているから、昼までには何かあるかな。

そう思いながら、今日は2階に引き籠もっている。

古本屋は、お休みです。

彼の晴れ姿は、ちゃんと見届けないとね。


朝から、スタンバったのに、速報が入ったのは12時少し前だった。


”個人自宅の庭から多数の遺体”


こんなような見出しだった。

少し時間がかかったような気もするが・・世の中の大人の事情だろう。

それから暫くして、


"容疑者は元家人 "


と、追加速報が出た。

ま、既に身柄は確保されていたわけだし、この辺はスムーズでしたね。

現在の持ち主ということで、彼がインタビューを受けていたけど、


”吃驚しました。 ”


と、雑コメントで終了していた。

事件に関係ない上にロクなコメントも言えないということで、直ぐにお払い箱になっていた。


結局、発見された遺体は11体・・。

ひょっとすると、この中には例の捜索リストに出ている人もいるかもしれない。

これ以上、事件が広がることなく防げたことに安堵する。

姉がこれを知っていたことは間違いないだろう。

ただ、いつから行われていたのか・・姉はいつから知っていたのか・・どれだけ葛藤し苦しんだのか。

弟に殺されるかもしれないという恐怖もあっただろう。

僕が、それらを伺い知ることはできない。

ひょっとすると、違法薬物に手を出したのは、このプレッシャーとストレスから逃げるためだったのかもしれない。


とにもかくにも・・今回の依頼は失敗。

あくまでも依頼としては・・だ。

個人としては、拘りに意味があったことを確認できたので満足だ。

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