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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
視る者
43/77

堕落理由

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 古本屋店員

 ・マスター / 古本屋店主

 ・戸々谷茂 / 古本屋の客 & 今回の依頼人

 ・戸々谷佳代子 / 依頼人の姉

 ・渋谷小五郎 / 交渉対象 & ホスト

 ・大桃桜子 / 交渉対象の恋人 & 行方不明

大きく一息ついて、助手席のシートベルトを締める。

少し息が切れた・・鍛え直さなきゃな・・。

シートベルトを少し緩め、ゆっくりと目を閉じて、あの晩のことを思い出す。



事務所の扉を開けると、

いつも通り、マスターがコーヒーの準備をしていた。


「お疲れ、早いね。

 短絡的の天才じゃない。

 得意分野なだけはあるよ。」


軽口をたたいてはいるが、俺の顔を複雑な顔で眺めるマスターは、沈んだままだ。

そんなマスターを、チラ見してソファに座る。


「やっぱ天才かもね。

 まあ、早すぎだけど・・。

 せっかくの夕飯も食べそこなったよ。」


「しかし、ずいぶん軽い感じになっちゃったね。

 初めて会うけど、確かにチャラい。

 服装は、さすがに地味なのに・・滲み出るチャラさだね。」


そういいながら、マスターはコーヒーを渡してきた。


「・・・とりあえず、髪は染める。

 服装も変える。

 装飾品は、全て処分。」


「で、短絡的な行動の結果を聞かせてよ。」


マスターは、そう言うと黙り込んだ。


「了解。

 まず、”戸々谷佳代子 ”を殺したのは、”渋谷小五郎 ”。

 理由は、持っている土地と家を早く金に換えたかったから。

 金が必要な理由は、行方不明になった”大桃桜子 ”を探すため。

 しかも、相当焦っていた。

 なぜなら、大桃が、薬物依存者だったから・・。

 渋谷は、大桃を薬物依存から助けようとしていた。

 大桃も、それを十分に理解していた。

 でも、ある日、喧嘩をして大桃は家を飛び出した。

 そして、戻らなくなった。

 警察に話をしても、形だけの対応・・薬物のことは言えない。

 どこかに依頼するにも金がない・・そんな時に戸々谷姉から話を持ち掛けられた。」


マスターは、沈黙したままだ。

話を続ける。


「条件はあるが、家賃収入が入って、

 将来的に金になる土地と家をタダ同然で手に入れられる。

 話を断る理由はない。

 ホストの収入に家賃収入・・前に比べて収入は多い。

 そう思っていたけど、思うようにお金は貯まらなかった。

 それは、失踪した大桃の家賃も同時に支払っていたから。

 大桃の帰る場所を無くすわけにはいかなかった。

 そんな時、大桃の家を片付けていたら、隠してあった違法薬物を見つけた。

 それが、戸々谷姉を殺した薬。」


ふう・・一息ついて、マスターを見る。

マスターは、コーヒーカップを手に目を閉じていた。


「続けてもいいかい?」


「もちろん。」


その一言を受けて、話を続ける。

おっと、その前にコーヒーを一口・・・。


「大桃が使っていた薬物については、聞いていたから

 少しネットで調べて準備に入った。

 上客である戸々谷姉には、簡単に接触できる。

 気分がよくなって美容に良いといったような事を言って、

 何度か服用させる。

 ただ、それは、分量をカプセルで少なめに調整したもの。

 少しして、計画通り戸々谷姉はもっと欲しいと言い出した。

 後は・・その中に適量以上の分量のカプセルを混ぜて渡すだけ。

 ただ、これは、賭けでもあった・・死なない可能性もあったからね。

 死ななければ、何度でもやるつもりだったし、

 そのうち中毒でどうにかなるとも考えていた。」


「じゃあ、依頼人は、この件に関しては無関係ということか・・。」


マスターが、ボソリと呟いた。


「そうなるね・・。

 おそらく機会を狙っていたとは思うけど・・。

 行動を起こしたのは渋谷が先だった。

 というか、戸々谷姉が薬を飲んだ。

 ・・・渋谷の記憶からわかるのは、こんなところかな。

 もっと、細かいことはあるけどね。」


コーヒーを飲んで、天井を見上げる。

今回は、すぐ終わったから疲労感はないけど・・気怠いのは変わらないな。

・・・・”渋谷 ”は、きっと根は悪い奴じゃなかった。

今でも、そう思っている。

そこに恋人が絡み・・金が絡み・・目的への強い欲求が、渋谷を歪ませた。

恋人への想いが、渋谷が堕ちた理由。

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