短絡的な方法
宜しくお願いします。
○登場人物
・俺 / 古本屋店員
・マスター / 古本屋店主
・戸々谷茂 / 今回の依頼人
・戸々谷佳代子 / 依頼人の姉
・渋谷小五郎 / 交渉対象 & ホスト
天井が汚い・・最近、何かと目につく。
チラリと時間を見てから、眼鏡を外して眉間を抑える。
もう朝なのか・・。
駄目だ、昨日のこともあって集中できない。
彼に言われた通り、今日からにした方が良かったか・・。
いや、これは言い訳だ・・。
現在、持っている情報では、見つけるのに時間が足りない。
「大丈夫ですか?」
ソファから起き上がった彼が、声をかけてくる。
挨拶をする余裕もない程、憔悴している自分に向かって、
「コーヒーを入れます。」
一言言って、彼は立ち上がった。
「ゴメン・・。
何も手掛かりがない。」
シンクに向かって声をかける。
彼は、ヤカンを火に掛けた後、顔を洗い、頭から水を被っていた。
「マスターも、顔ぐらい洗ってください。」
歯ブラシを片手に、振り向いた彼は、こちらの返事を待たずタオルを投げてよこした。
しばらく無言で顔を洗い、歯を磨いて、少しすっきりしたところで、目の前にコーヒーカップが差し出された。
「で、なんでしたっけ?」
「ああ、ゴメン・・まだ何も情報がない。」
ソファーに腰を下ろした彼は、コーヒーを飲みながらしばらく黙った後、
「そうですか。
確かに、情報が少なすぎますからね。
もう一度、整理しましょう。
私も、少し意見を聞きたいので・・・。」
「わかった。」
彼は、こめかみを抑えると、話し出した。
「依頼人は、生家を取り戻したい。
しかも、かなりの執着心を持っている。
依頼人の姉は、弟に生家を渡したくない。
生前に、条件まで付けて他人に売り払うほど。
現持ち主は、依頼主の姉との約束を守りたい。
亡くなった人との約束だから。」
「そうだね。」
「さて、ここで一つ・・。
今回の全ては、お姉さんが亡くなったことで事が動き出しました。」
「そうだね。」
「今、お姉さんが殺されたと仮定して、
違法薬物の入手経路を調べていますが、
この過程が正しいとすると、得をしたのは誰なんですかね?」
「ん??そうだね・・。
生死にかかわらず得をているのは、現持ち主だね。
ただ、もし不動産の売買がされていなければ、
・・弟・・なのかな??
実際は、そうじゃないけど。」
彼が、ゆっくりと目を開けると頷き、コーヒーを飲む。
「そうです。
というか、今回の話には、二人しか出てこない。
有料DLCの新キャラがいなければ・・ですが・・。
二人なら、話は簡単です。
今回は、短絡的な方法で行きましょう。」
「え??」
目を見開いて、彼を凝視する。
おそらくその目は、非難めいていたのだろう。
「そんな風に、こちらを見ないでください。
簡単な話です。
その二人に、お姉さんが殺された証拠を掴んだ。
もう少し証拠固めをしたら警察に通報する・・と話をすればいい。
後は、身を任せてみましょう。
何らかの答えが出ますよ。」
「出なかったら??」
「その時です。
少なくとも、二人はシロ・・。
今回の案件は、頑張ったけど交渉決裂・・ごめんなさい。
後は、ご一報して終わりです。」
淡々と話す彼に、返す言葉を見つけられない自分が情けない。
煮え切らない複雑な顔をしている自分を見かねて、
「大丈夫・・いつものことですよ。」




