謝罪の理由
宜しくお願いします。
○登場人物
・俺 / 古本屋店員
・マスター / 古本屋店主
・戸々谷茂 / 今回の依頼人
・戸々谷佳代子 / 依頼人の姉
・渋谷小五郎 / 交渉対象 & ホスト
・大桃桜子 / 交渉対象の恋人 & 行方不明
「恋人の行方を探したい・・か。
なるほどね・・。
僕らの仕事あるあるだね。
ちなみに、僕の方は、特に何も聞けなかった。
夜遅くに仕事から帰ってきて、
次の日昼頃起きたら、姉が起きた形跡がない。
で、部屋を見に行ったら、姉が亡くなっていた。
まあ、捜査資料に記載されていた内容だね。」
「さて、どうしましょうか・・。」
そう言って彼は、天井を見上げている。
シミでも数えているのかな?
キーボードを叩きながら、彼を眺める。
天井掃除するとか言わないよね~・・。
彼の気を逸らすため、話を振ってみる。
「依頼人は、お姉さんが違法薬物に手を出していたことは、
知らなかったみたい。
この件については、当時かなり吃驚したみたいだね。」
「どうやって違法薬物を手に入れていたかは、
判明しているのですか?」
「う~ん、残念ながら・・。
入手ルートは、薬物の種類から、こちらで追ってみるよ。
それと、ホスト君の彼女だけど・・”大桃桜子”さん??
確かに捜索願出てるね。
特に進展はないみたいだけど。
それにしても、うわ~・・結構、捜索願って出てるんだね。
単なる家出って案件もあるけど、
全く進展してないものもかなりあるね・・。」
捜索願の多さに驚きながら、
一口コーヒーを飲んで、パソコンのモニターから顔を上げる。
「・・・失踪・・・行方不明・・・。」
彼は、相変わらず天井を見上げたまま、今度はブツブツ言いだした。
大丈夫かな??
コーヒーでも入れてあげたほうがいいかな。
「確認ですが、依頼人は何かを隠しているか、
嘘をついているか・・。
とりあえず、何か不審な点がある。
と、いうことでしたよね。」
「そうだね。」
「加えて、それらが分かった上で、
あなたは、あえて依頼を受けるべきだと判断した。」
「またまた、そうだね。」
彼の方は見ず、傍に寄ってきた猫から目を離さず返事をする。
大丈夫かな??と、目で猫にサインを送るも、気にもしない様子で、膝の上に載ってきた。
「姉は、弟に土地と家を譲りたくない・・なぜ??
弟は、逆に家と土地に拘る・・。
お金には不自由していないのに・・なぜ??」
あまりにも大きすぎる独り言を聞きながら、膝の上の猫を撫でる。
こういう時は、邪魔をしないほうがいい・・と思う・・たぶん。
「マスター、申し訳ありません。」
な、なんだ急に。
唐突に謝られるようなことを、された覚えはないが。
「え!?何??気持ち悪い。」
「本当は意に反しますし・・・イレギュラーなんですが・・
どうしても行っていただきたいところがあります。」
何かと思えば、また急な申し出・・
確かに僕が、外での調査をするのはイレギュラー。
でも、僕もやる時はやる。
「何処へ?」
彼は立ち上がると、こちらに向かってきた。




