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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
視る者
37/77

譲渡理由

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 古本屋店員

 ・戸々谷佳代子 / 依頼人の姉

 ・渋谷小五郎 / 交渉対象 & ホスト

「なになに~。

 早いね~。

 もう買ってくれる人見つかったの??」


「いえ、そういうわけではありません。」


初めて会った例のコーヒーショップで、顔を合わせる。

相変わらず、チャラいな。

安定のチャラさだ。


「それ、”今日のコーヒー” ?」


「そうです。

 これが、好きなので。」


「好きも何も、日替わりじゃん。

 強がらなくてもいいと思うけどね~。

 一緒に、呪文唱えようよ。」


「そこが良いのです。

 最初に言った通り、呪文は唱えません。」


ふ~・・・本題に入れないこの状況を打破したいが、有効な策が見当たらない。

強行突破するか・・・そう考えていると、


「で、何?」


おっと、空気を読んでくれたのか?

よしよしと、話を始める。


「戸々谷佳代子さんが、亡くなった理由、ご存知ですよね。」


今回も予期せぬ質問に、交渉対象はあっけにとられている。

戸惑った様子を見せながらも、仕方ないといった感じで話し始めた。


「・・・・・・知ってる。

 俺のところにも警察が来てさ。

 何か知らないかって、いろいろ聞かれた。

 きっと疑われてたんだろうな。

 部屋も調べられたよ・・何も出てこないけど。

 でも、何でそんなことを?」


「いえ、戸々谷さんが、弟さんに土地と家を渡したくない理由が

 解決できれば売買に応じてもらえるかな・・と考えまして。」


へぇ~という顔をしながら、謎の呪文で召喚されたブツを吸い込む。

気に入った味だと言っていたから、おそらく前回と同じものだろう。

違っていても、俺にはわからないだろうが・・。


「う~ん・・まあ、それに納得できれば・・ね。

 でも、期待はしないでよ。

 余程納得しないと無理だからね。」


「わかっています。

 あくまでも、こちらが交渉手段として考えているだけですから。

 何か他に、お話聞かせてもらえるようなことないでしょうか?

 そうですね、土地と家を譲ってもらうことになったきっかけの話とか。」


手に持っていたカップをテーブルに置くと、迷っているのかジッとこちらを見る。

チャラい感じが、少し軽減されたような真面目な顔をしている。


「実は、お金が必要だったんだ・・・。

 あ、といっても借金とかそんな話じゃないよ。

 いくら必要なのかも、いまいちわかんなくてさ。

 付き合っていた女がいたんだけど・・いなくなったんだ。」


ん~・・世の中は、本当に似たような話が溢れているな。

こんな仕事をしている俺が悪いのか??

いや、こういう話は、いなくなった対象の立場が変わるだけで、よくある話だな。

そうだそうだ。


「彼女、俺みたいに夜の仕事しててさ・・。

 他に良い男でも見つけたんじゃないのって、

 警察はロクに探してくれないし。

 なら、専門の人に頼めばって考えたんだけど、

 いくらかかるかわかんないし・・悩んで。

 で、戸々谷さんに相談したんだ。

 そうしたら、条件付きで土地を譲る。

 条件さえ守ってくれれば

 最終的に売って金になるし、

 それまでの間は家賃も入れるから、

 今より、お金貯まるでしょ・・って。」


でも・・・交渉対象に土地と家を譲る必然性はないな。

これなら、誰でも良かったはずだ。


「で、依頼は出せたのですか?」


「いや、まだ・・。

 不動産が売れたら、依頼を出そうと思っている。

 急ぎたいんだけどね・・なかなか・・。」


珍しくトーンの低い返事をしながら、外を眺める交渉対象は、寂しそうだった。

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