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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
視る者
34/77

条件提示

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 古本屋店員

 ・戸々谷茂 / 今回の依頼人

 ・戸々谷佳代子 / 依頼人の姉

 ・渋谷小五郎 / 交渉対象 & ホスト

「購入希望者のお名前は、戸々谷茂という方です。」


隠しても意味がないな・・と、思いズバリ答える。


「はい、駄目ー!!

 交渉決裂。

 余地なし。

 言っとくけど、何があっても”戸々谷茂 ”には売らない。」


大きく両手でバツ印を作ると、きっぱり言い切り、

俺が何かを言う隙も与えず話を続けた。


「仮の別の人が購入者であっても、

 転売されて”戸々谷茂”に渡る可能性があるからね。

 それも嫌だから、売るには条件がある。

 条件は一つだけ。

 購入前に、今ある建物を壊し別の物を建ててもらう。

 それがしっかりと建ったら、即土地をその人に売るよ。

 これなら、生家がどうとか言ってる

 ”戸々谷茂 ”とやらも諦めるでしょ。」


おっと、相当、依頼者に譲ることに拒否反応を見せているな。

これは、一筋縄ではいかないか・・。


「ちょ・・ちょっと待ってください。

 どうして、そこまで”戸々谷茂 ”に譲ることを拒むのですか?」


「・・・・・

 元の持ち主との約束なんだよ。」


少し黙った後で、ポソリと呟いた。


「元の持ち主というと”戸々谷佳代子”。」


「そう。

 何度も来てもらうのも悪いし、面倒だから、

 信用して光雅には話すけど、戸々谷茂には言うなよ。」


自分が頷くのを確認して、交渉対象は話を続けた・・


「戸々谷佳代子とは、ホストクラブで知り合ったんだ。

 ま、客だね。

 何でか俺の事気に入ってくれて、

 可愛がってもらったわけよ。

 ホストクラブって場所を、ちゃんとわきまえた人でさ、

 入れ込むこともなく割り切って遊ぶ人だった。

 だから、俺もいろいろ話しやすくて、相談とかしてたんだ。」


「入れ込む人ではなかったということですか。

 良いお客さんだったのですね。

 逆にホストのあなたが、取り込まれそうになってますが。」


「あはははは、まあ、確かに。

 そんなある日、俺がした相談がきっかけで、

 土地と家を買わないかって言われた。

 それが、今話題の物件。

 当然、俺にはそんな金ないし、断ったけど・・。

 条件を守ってくれるなら、格安で構わないって。」


条件・・なるほど、それがさっきの・・

頷いて、先を促す。


「その条件ってのが、


 一つ、”戸々谷茂” の手に渡らないようにすること

 二つ、”戸々谷佳代子” が生きている間は秘密にすること

 三つ、”戸々谷佳代子” が死んだら、直ぐに家の明け渡しを要求すること


 だった。

 税金のこととか、いろいろ考えたけど、

 一つ目の条件を守れば売っても構わないって言われたし、

 譲った後、自分が住んでいる間は、しっかり家賃を払うって。

 だから、思い切って購入したんだ。

 ただ、一つ目の条件が、思った以上に面倒だったけどね。」


ここまで話をした後、ペットボトルのお茶を一気に飲み干して、

一息つくと、話はしたぞとこちらに顔を向けてきた。


「この条件を守っているわけですか。

 なるほど・・。

 確かに、売れませんね。」


「そ・・。

 ま、亡くなった人との約束だし、それくらいは守ろうかなって。

 だから、最初に言った条件で、売れるように探してもらう予定。」


そう言って、テーブルのスマホを取り上げると、


「わりぃ、そろそろ出なきゃ。

 また、連絡してよ。

 てか、ついでに俺の条件で買ってくれる人いないか探しといてよ。

 例のおっさん以外で。

 お礼はするからさ。」


「すいません、時間をとらせましたね。

 縁があれば程度で、気にかけておきます。」


そう言って、立ち上がると交渉対象の家を出た。

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