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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
視る者
33/77

交渉開始

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 古本屋店員

 ・マスター / 古本屋店主

 ・戸々谷茂 / 今回の依頼人

 ・渋谷小五郎 / 交渉対象 & ホスト

見たことのある風景だ・・。

しかも最近。

そしてこのマンションの名前にも聞き覚えがある。

これも最近。

デジャヴではない、誰かの記憶でもない。

交渉対象の写真にも、初めて見た時から、なんとなく見覚えがあるような・・。

嫌な予感を抱えつつ目的の部屋の前について、やっぱりと溜息をつく。

ガチャリとドアを開けて出てきたのは・・


「あれ??やっぱり!!!

 光雅じゃん!!!」


あ~・・マジか。

また、お会いしましたね。


「どうも、その節は・・。

 突然で申し訳ありませが、

 ”渋谷小五郎 ”さんは、いらっしゃいますでしょうか?」


「ん??それ俺の事。

 あれ、言ってなかったっけ?

 俺の本名 ” 渋谷小五郎 ”。」


やはり・・・絶句する俺に、ニコニコ笑顔向ける交渉対象。

せめて・・兄弟とか・・あるだろ。

当人て・・思わず、また溜息が漏れる。


「そうですか。

 ずいぶん印象が。

 この写真・・・。」


スマホを見せると、笑い転げながら


「うわ~、どっから持ってきたのこの写真、

 髪も染めてないし、目を二重にする前だね。

 やっぱ、顔が良いに越したことないじゃん。

 プチ整形ってやつ。

 あははははは。

 ま、入って入って!!」


こっちは、苦笑いしか出てこない。

マスターの奴・・何の写真を渡しやがった。

早々にグッタリと疲れてしまい、今日はもう帰ろうかと思ったのだが、そのまま部屋の中に通されソファに座るよう促される。


「ホイ、ペットボトルのお茶しかないけど。

 どうしたのよ~やっぱり、続けて働く??

 楽しかったよね~。

 いや~ぴったりの仕事だと思うけどな~。

 光雅がいなくなった後も、酒も飲まずに話術だけで

 盛り上げる奴がいるって話題になってたよ。

 住むとこないならさ、こないだみたいに此処に住めばいいし。

 光雅なら、ウエルカム!!」


ニコニコしている交渉対象を目の前にして、どう話を切り出すか悩む。


「あ~・・・実は、今日は別件でお伺いしました。」


「ん?なんだろ?

 金でも貸してほしいの?

 言っとくけど、あんまり貸せないよ。

 期待すんなよ~。」


「いえ、お持ちの土地と家を、お譲りいただけないかと。」


意外な話だったのか、相当吃驚したらしい。

ニコニコしていた顔が、急に苦悶の表情に変わり、

ゴホッと飲んでいたお茶を吹き出すと噎せ始めた。


「ちょ・・まっ・・ゴホッ・・・。」


激しく噎せる相手が静まるのを、暫し静観する。

俺もお茶をいただこう。


「な・・何よ急に。

 てか、何で??」


「実は、そのような仕事が本業でして。」


目が点になっていた。

そんなに意外だったのか??

滲み出るインテリジェンスは、隠しきれていないと思っていたのだが・・。


「じゃあ、あの時、しばらくホストクラブで働いたのは??」


「少しまとまった休みだったので、

 こういうのもアリかな・・と。

 まあ、かなり強引な勧誘もされましたしね。

 ・・強引というか・・人攫いですね。」


そう、あの時、連絡先の名刺出して終わりかと思ったら、

その後も、かなりの時間拘束され、引きずられる様にホストクラブに連れて行かれたのだ。

引きずられながら、この押し・・いや引きか??・・の強さが、仕事でも活かされているのだろうと感心したものだ。


「そうか~・・・。」


まだ、辛そうではあるものの、噎せるのは落ち着いたらしい。


「いかがでしょう?

 価格については、調査してしっかりと

 金額を出させていただきます。

 お譲りいただけないでしょうか?」


ジーッとこちらを見ていた交渉対象は、


「考えてもいいけど・・

 光雅が、買うの??

 んなわけないよな。

 とりあえず、購入者の名前を聞かない内は交渉しない。」


そうか・・やはり警戒しているのか・・。

てか、俺の呼び名は、もう”光雅” 固定なわけね。

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