理解と感謝
宜しくお願いします。
○登場人物
・俺 / 古本屋店員
・マスター / 古本屋店主
・猫 / 古本屋のペット
・戸々谷茂 / 古本屋の客 & 今回の依頼人
彼が帰ってくるまで、後2日か・・
一人棚卸を初めて、今日で4日目。
古本屋以外の依頼が舞い込んだりで、こっちに集中できなかったとはいえ・・何も片付いてない。
というか・・余計に酷くなっているような・・。
そう思いながら、スマホを見る。
時間空けたし・・もう冷静になっているだろう。
最終確認の連絡をする。
依頼人との会話は、片付かない店内とは正反対に簡単に終わった。
「即答だったよ。
依頼・・するんだってさ・・。」
足元の猫に話しかける。
鳴きもせず、ジッとこちらを見て、左右に首を振りながら去っていく後姿が切ない。
荷物が届くまでは、何もすることがないな。
仕方がないから、棚卸の続きでもやろうか。
何もやってないと、怒られそうだし。
何もかも気が滅入る・・そう思いながらも・・やらないと・・と、少しの使命感も芽生えていた。
ふぅ~・・・明日、筋肉痛にならなきゃいいけど・・・。
しばらく頑張ろう。
今日は、彼が戻る日。
片付かない店内。
目の前には、朝一届きたてホヤホヤの荷物。
送り主は、もちろん例の人。
フゥ・・届いちゃったか。
白目剥いちゃうよ。
でも、仕方ないよな・・届いちゃったしな・・。
開けたくないという気持ちを振り切って、なんとか荷物を開ける。
とりあえず、彼が来る前に情報の確認だけはしておかないと。
あ~その前に、コーヒーを忘れた。
情報確認のお供には、これがないと。
あ~っと、その前の前に、猫に餌あげないと・・現実逃避ばかりが思いつく・・。
事務所の中は、僕と依頼人の声しかしない。
そして、録音を聞く彼の顔は、とても険しい。
リフレッシュして帰って来て早々なのに、とても機嫌が悪い。
「この依頼を受けたせいで、棚卸ができなかったと・・・。」
「いや~、できなかったわけじゃないけど・・。
なんていうか・・捗らなかった?的な。
頑張ったんだけどね。
追いつかなかったというか。
ほらほら、あの辺なんて綺麗になったんじゃないかな~と・・。」
店内を指さしながら、必死の笑顔で説明する。
ギロリと、視線がこちらを向くが、目を合わせてはいけない。
ヤバいことになる。
「・・・で、どうなんですか?」
「え??何が??」
あれ?怒りのボルテージが下がった??
キョトンとして、聞き返す。
「この依頼です。」
「あ~凄く駄目な感じ。
嘘つかれているのかと思ったけど、
もらった情報とこちらで集めた情報に間違いはなかった。
でも、確実に何かを企んでる・・。
引き受けるのはかなり悩んだし、依頼料吹っ掛けもした。
でも、それでも、向こうは依頼を出してきた。
絶対に何かある。
それに・・僕自身、どうしても何か引っかかる。」
「何か言えないことがあるということですか・・。
それに、そこまで拘るのなら、
断ってしかるべき依頼ではあるが、
引き受けるべき依頼ということでしょう。」
彼の表情が少し緩んだ・・気がした。
ホッとしつつも、申し訳ない気持ちが多い。
棚卸ではなく、この依頼を受けたことだ。
断ることはできた。
何か引っかかる自分の考えを尊重してくれた彼には感謝しかない。
「ごめん。」
「似合わないですね。
とりあえず、依頼に関する情報をください。」
彼は椅子に座ると、左こめかみを抑えながら資料を読み始めた。




