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Memory Cage ~ メモリー ケージ ~  作者: アニマ
視る者
31/77

理解と感謝

宜しくお願いします。


○登場人物

 ・俺 / 古本屋店員

 ・マスター / 古本屋店主

 ・猫 / 古本屋のペット

 ・戸々谷茂 / 古本屋の客 & 今回の依頼人

彼が帰ってくるまで、後2日か・・

一人棚卸を初めて、今日で4日目。

古本屋以外の依頼が舞い込んだりで、こっちに集中できなかったとはいえ・・何も片付いてない。

というか・・余計に酷くなっているような・・。

そう思いながら、スマホを見る。

時間空けたし・・もう冷静になっているだろう。

最終確認の連絡をする。

依頼人との会話は、片付かない店内とは正反対に簡単に終わった。


「即答だったよ。

 依頼・・するんだってさ・・。」


足元の猫に話しかける。

鳴きもせず、ジッとこちらを見て、左右に首を振りながら去っていく後姿が切ない。

荷物が届くまでは、何もすることがないな。

仕方がないから、棚卸の続きでもやろうか。

何もやってないと、怒られそうだし。

何もかも気が滅入る・・そう思いながらも・・やらないと・・と、少しの使命感も芽生えていた。

ふぅ~・・・明日、筋肉痛にならなきゃいいけど・・・。

しばらく頑張ろう。



今日は、彼が戻る日。

片付かない店内。

目の前には、朝一届きたてホヤホヤの荷物。

送り主は、もちろん例の人。

フゥ・・届いちゃったか。

白目剥いちゃうよ。


でも、仕方ないよな・・届いちゃったしな・・。

開けたくないという気持ちを振り切って、なんとか荷物を開ける。

とりあえず、彼が来る前に情報の確認だけはしておかないと。

あ~その前に、コーヒーを忘れた。

情報確認のお供には、これがないと。

あ~っと、その前の前に、猫に餌あげないと・・現実逃避ばかりが思いつく・・。



事務所の中は、僕と依頼人の声しかしない。

そして、録音を聞く彼の顔は、とても険しい。

リフレッシュして帰って来て早々なのに、とても機嫌が悪い。


「この依頼を受けたせいで、棚卸ができなかったと・・・。」


「いや~、できなかったわけじゃないけど・・。

 なんていうか・・捗らなかった?的な。

 頑張ったんだけどね。

 追いつかなかったというか。

 ほらほら、あの辺なんて綺麗になったんじゃないかな~と・・。」


店内を指さしながら、必死の笑顔で説明する。

ギロリと、視線がこちらを向くが、目を合わせてはいけない。

ヤバいことになる。


「・・・で、どうなんですか?」


「え??何が??」


あれ?怒りのボルテージが下がった??

キョトンとして、聞き返す。


「この依頼です。」


「あ~凄く駄目な感じ。

 嘘つかれているのかと思ったけど、

 もらった情報とこちらで集めた情報に間違いはなかった。

 でも、確実に何かを企んでる・・。

 引き受けるのはかなり悩んだし、依頼料吹っ掛けもした。

 でも、それでも、向こうは依頼を出してきた。

 絶対に何かある。

 それに・・僕自身、どうしても何か引っかかる。」


「何か言えないことがあるということですか・・。

 それに、そこまで拘るのなら、

 断ってしかるべき依頼ではあるが、

 引き受けるべき依頼ということでしょう。」


彼の表情が少し緩んだ・・気がした。

ホッとしつつも、申し訳ない気持ちが多い。

棚卸ではなく、この依頼を受けたことだ。

断ることはできた。

何か引っかかる自分の考えを尊重してくれた彼には感謝しかない。


「ごめん。」


「似合わないですね。

 とりあえず、依頼に関する情報をください。」


彼は椅子に座ると、左こめかみを抑えながら資料を読み始めた。

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